無垢フローリングのお手入れ、メンテナンス、掃除
無塗装の無垢フローリングの場合
単純に何も塗られていない状態です。しかし、実はこの無塗装状態が一番難しいメンテナンスになります。
一概に無塗装と言っても、サンディング(紙ヤスリ、サンドペーパー)で塗装下地を作っている場合とカンナ仕上げ(超仕上げ)で表面が仕上がっている場合が有ります。
最近の無垢フローリングの無塗装品のほとんどがサンディング塗装下地状態で販売されているでしょう。当社でもザ・ストレートグレイン、木曽桧、桧柾目、賃貸用無垢フローリングマットはカンナ仕上げですが、それ以外の無塗装品はサンディングでの出荷となります。
サンディング塗装下地とは、無垢フローリング表面を#180~240のサンディングペーパーで毛羽立たせ、その毛羽立ちに塗料を絡ませ、塗料が硬化しての仕上げとなります。
あくまでもサンディングは「塗装下地」であり「仕上げ」では無いことをご理解ください。
サンディングとカンナ仕上げ(超仕上げ)の違いは明確です。「下地」か「仕上げ」かです。
サンディングの表面は粉をまいたようにさらさらに感じます。これは細かい毛羽立ちとサンディングくずが残っているからです。水滴を垂らしてみるとすぐに吸収され、しばらくすると毛羽立ちが残ります。裸足で歩くとまさに砂を撒いたような感触です。
また、無塗装(サンディング)はなんだか白っぽいと感じませんか?実は、この白っぽさは木本来の色ではないのです。私たちは、無垢フローリングの製造工程において人工乾燥機を使用します。その際に、水分や精油などの成分が木から出ていきます。その結果、干しシイタケやドライフルーツの様に白っぽく乾物の様な色や表情になってしまいます。
カラカラに乾燥していますのでかなりの吸水力が有ります。そうなると足裏の皮脂やコーヒーなども染み込みやすいという事です。
サンディングされた床材には基本的に何らかの塗装を施してお使いいただくようにお願いします。
たまに「無垢フローリングは、表面研磨(サンディング)できますから」という事を耳にしますが、ピンポイントでは削るのはそれほど手間ではありませんし費用も掛かりません。
しかし、お部屋全面または家全体の床材を表面研磨するのは現実的ではありません。
削れば削るほどV目地が無くなり、隙間が目立つようになるでしょう。
よほどでない限り、住宅なら研磨より貼り替えの方が安くつくと言われています。
カンナ仕上げ(超仕上げ)は、その名の通り表面をカンナで削った仕上げです。
カンナ仕上げは、木の表面を極限まで薄く削った仕上げの事です。
そうです。
カンナ仕上げはサンディング塗装下地ではなく「仕上げ」になります。
表面を極限まで薄くスライスする事で木材の細胞が壊れません。刃物でスパっと切った状態です。そのために水滴を垂らしても弾きます。
足で触れた感じとしては、“スーぴたっ”といった感じです。温かみも感じます。
ほどよい滑りとくっつき感があり、合板やウレタン塗装のようにペタペタしません。
日本中には外装が無塗装でありながら数百年ものあいだ風雨にさらされながら建っている寺社仏閣がたくさんあります。木材はシルバーグレーに変色しながらも腐る事なく建っています。
木材が腐り難いその理由の一つとして、カンナによって仕上られた木材は水が染み込み難くい、カビが生え難い。つまり腐朽菌が増えにくく、腐り難い仕上げだからだとも言われています。
以前の日本の住宅に使われる縁甲板などは、圧倒的にカンナ仕上げが多かったです。
しかし、西洋からサンディング文化が導入され、手間が掛かるカンナ仕上げから手軽で大量生産が可能なサンディングへと変化してきました。
どちらも間違いなく無塗装ですが先ほど述べたような違いが有ります。
昔は、ヌカ袋(湿式)を使って床板を磨いていました。カンナ仕上げだと艶が出て綺麗に光ってきます。しかし、サンディング塗装下地をヌカ袋で磨くと毛羽立ちが出てくるのであまり相性はよくありません。逆にヌカ袋が原因で変なシミになったりする可能性の方が高いです。ここでの毛羽立ちとは、無垢材の表面に浸み込んだ水分が乾燥する際に、木の繊維を持ち上げることで起こる現象のことです。あまり水分が多いと反りの原因にもなります。
昨今では、よほどカンナ仕上げの指定でもしない限り無垢フローリングの表面はサンディングだと思ってください。また、同じ無塗装といえどもカンナ仕上げとサンディング塗装下地とでは全く異なる表面状況であり、お手入れ方法もそれぞれ異なりますのでご注意ください。
無塗装品のフローリングを購入してDIY自分たちでオイル塗装を施そうというお施主様もいらっしゃいます。DIYが大好きな方以外はあまりお勧めしておりません。お引っ越し前のとっても忙しい時期に自分たちで浸透系のオイル塗装を施すということはそれなりの手間と時間が取られます。
現場でオイル塗装するのと塗装工場で塗装した時の差は以下のようなことが考えられます。
現場で塗装すると道具代、人工代の他に巾木や枠類をマスキングテープで養生しなくてはいけません。オイル塗布自体はそれほど難しい作業ではないのですが、掃除や養生など地味な作業はあまり面白くもなく疲れます。道具も繰り返し使う事はなかなか無いでしょう。
仕上がりに関しては、工場でオイル塗装を施すと乾燥後に軽くバフ掛けを行います。表面の毛羽立ちを少なくし、足触りを良くするための加工になります。現場塗装では通常行いません。美しい仕上がりになるとは限りません。住んでいるうちに羽立ちも順々に抑えられてきます。
無塗装無垢フローリング(カンナ仕上げ)の掃除と手入れ、メンテナンス手順
- 窓を開けられる環境でしたら、窓を開けてください。
無塗装(カンナ仕上げ)の場合は、表面に静電気が発生しにくいので埃(ほこり)が床にぴったりくっつく事はありません。
窓を開けて風通しを良くするだけでも、埃はある程度外に出ていきます。 - ホウキまたはフロアワイパー(ドライ)、乾拭き雑巾を使用して残った埃を取り去ります。
無塗装品(カンナ仕上げ)とオイル塗装はホウキと相性が良いようです。 - 家具の裏やフロアワイパー(ドライ)が入り込めなかった箇所は、掃除機を使用してホコリやごみを吸い取りましょう。
- 特に汚れている箇所を見つけたら、硬く絞った雑巾で拭きとってください。
フローリングの隙間に落ちた汚れの付着が気になる方は爪楊枝等で取り除いてください。 - それでも落ちない場合は、カンナを使用して削り取ってください。
紙ヤスリ、サンドペーパーは使わない方が良いです。 - 傷、凹みに関しては、程度にもよりますが凹み箇所にお水を掛けて必ず当て布をし、アイロンで水蒸気を送り込み凹みを膨張させてください。
- 磨いて艶を出したい場合には、ヌカ袋(湿式)をお使いください。
- カンナ仕上げの場合は特に塗装は必要ございません。何かワックスを塗布する場合は、蜜蝋ワックスとの相性がよいです。
無塗装無垢フローリング(サンディング塗装下地)の掃除と手入れ、メンテナンス手順
- 入居前に無垢フローリングに適したフロアーオイルを塗布しましょう。
工事の際に出た切れ端で試し塗りする事をお勧めします。
日常のお掃除やメンテナンスについては後述の「オイル塗装無垢フローリングの掃除と手入れ、メンテナンス手順」をご参照ください。