針葉樹 トドマツ(マツ科)

トドマツとマツがついているので、マツ属と思いがちですが、モミの仲間です。
木材もモミによく似ています。 トドマツはエゾマツと並ぶ北海道の代表的な樹木で、両樹種とも道内ではどこででも目につきます。
トドマツの樹皮は平滑で、エゾマツの樹皮はアカマツのような鱗片状をしているので、丸太が混在しているときでも簡単に区別できます。

心材と辺材の色の差はほとんどなく、全体にほぼ白色です。 早材から晩材への移行はかなり急で、そのため年輪ははっきりしています。
したがって木材は肌目が粗く、やや軽軟で平均気乾比重は0.40です。また材は割りやすく、乾燥、切削加工も容易です。

パルプ用材としても優れているので、エゾマツとともによく使われています。
北海道には、苫小牧市などを初め大きなパルプ・製紙工場がいくつかありますが、エゾ・トドの存在なしには考えられなかったはずで、
日本の紙・パルプ工業の出発点となった樹種として、忘れられないものです。

紙・パルプの製造技術は、つくりやすいエゾ・トドからスタートしてアカマツ・広葉樹を原料とするようになり、
現在はユーカリや熱帯産の広葉樹も原料として使っています。 パルプ用材のほか、建築用材として広く使われており、
土木用材、包装材、造作材、割り箸、まな板にも使われています。

トドマツは北海道では用途が広く、エゾマツとともに重要な造林樹種となっています。

モミ (マツ科) モミは比較的温かい地方の低い山にも生えている木ですから、東京でも高尾山に行けば見ることができます。
尾根に近い所に枝を斜め上に伸ばしている姿はなかなか立派です。

モミの仲間は日本には5種あり、生育環境によって違いがありますが、それぞれがほとんど同じような淡色の木材です。
モミはスギやヒノキに比べると少数派の木材で、一般にはあまりなじみがありません。

天然には、東北地方中部から南の本州一円と四国、九州に分布し、屋久島にも見られます。
木材の色はほぼ白色で、心材と辺材の色の差はわかりませんが、早材と晩材の違いははっきりしていて、年輪は明瞭です。

このため、材の表面はやや粗い感じがします。軽軟で平均気乾比重は0.44、耐朽性は低い木です。
日本では木材は芳香がないと低く評価されますが、モミの特徴は匂いや味がないことです。

この特性を生かして、かなりの量が使われているものに蒲鉾の板があります。
匂いがない、食品だから色の淡い方がよい、現在のところ使い捨てになることが多いので安価でなければならない、という条件にはモミはピツタリあっています。

ほかに白くて安い材料ということでよく使われるものに、卒塔婆があります。
良質のものは住居の造作、建具などに使われ、また匂いがないので保存用の箱(素麺、雛人形、茶道具、茶などの箱)、神楽太鼓の胴などにも使われるということです。

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