日本の本州中部の亜高山地帯にも分布していますが、市場で取扱われているものは、ロシア産のべニマツと呼ばれるものです。
中国の紅松から来た名でしょう。 中国東北部、朝鮮、シベリアなどに分布しています。
このマツの種子は大きく、食用になり、デパートなどのナッツの売場におかれていることがあります。
ベニマツは、マツ類を硬松と軟松にわけるときには、軟松のグループに入れられます。
日本産のものとしては、ヒメコマツが同グループに入ります。
硬松類に比較すると、年輪のなかの細胞の形の違いが少なく、そのため、年輪はずっと見分けにくくなり、木材は軽軟です。日本市場ではロシア産の針葉樹のなかでもっとも高い評価をうけています。
しかし、残念なことに、この樹種は、幹の中心部が菌の害をうけ易く、ほとんどといってよい程丸太は空洞になっています。
したがって、木材として利用する場合には外側の部分が使われます。 心材の色は淡黄赤色ないし淡紅色で、辺材は淡黄白色です。
一般に年輪の幅はせまいことが多く、したがって、肌目は精です。気乾比重の値は、0.34~0.41(平均値)~0.51で、軽軟な木材といえます。
耐久性は小ですが、加工し易く、乾燥も容易です。この類の木材は寸度の安定性があるため、古くから木型用材として使われる木材の代表的なものの一つになっています。軸方向細胞間道(樹脂道)があり、そこから滲み出る“ヤニ"で材面が汚くなっていることが普通です。