北海道南部、本州、四国、九州に分布します。福島県、宮城県、岩手県、島根県などに蓄積が多いとされています。食用にするクリを採取するために植栽されています。甘栗は中国原産で、シナグリ(C.mollissima)から採取されたものです。クリの名前から食用になるクリの果実のみを想像するかもしれませんが、木材も忘れてはなりません。今でもクリの多く生育している地方で、ほとんどの柱がクリでできている建物をみることがあります。このようなものは建築材料としての優秀性を示すよい例です。
木材
年輪の内側の部分(早材部)に大きな道管が帯状に配列して、環状になっている(環孔材)ので、年輪界がはっきりとしています。クリの道管は日本の広葉樹のなかではもっとも大きい部類に入ります。このため、肌目の粗い木材となっています。心材は褐色、辺材はやや褐色を帯びた灰白色で、両者の差ははっきりとしています。気乾比重は0.44~0.60(平均値)~0.78で重硬な木材といえます。心材の保存性は極めて高く、日本産材中では最高といえるでしょう。したがってよく水湿に耐えます。上述のように重硬で、強く、しかも保存性が高いことから、建築に用いると非常に丈夫なものが出来ることになります。このことは昔からよく知られており、家を建てる際には最小限でも、建物の土台にはクリが用いられてきました。最近では、このような例は少なくなりました。切削などの加工が難しく、表面の仕上がりは中庸です。