
住まいづくりにおいて、誰もが願うのは「家族の健康」です。
特に化学物質過敏症(CS)やシックハウス症候群でお悩みの方にとって、室内の大部分を占める「床材(フローリング)」選びは、非常に切実な問題かと思います。
「天然の木なら安心なはず」
そう思って私たち材木商のもとへご相談に来られる方も多くいらっしゃいます。今回は、木のプロとしての見解と、皆さまにぜひ知っておいていただきたい「科学的な事実」についてお話しします。
無垢材ならホルムアルデヒドはゼロ?天然木から発散される成分の真実
「無垢材ならホルムアルデヒドは出ない」と思われがちですが、これには正確な理解が必要です。
近年の研究では、「木材そのものからも、ごく微量のホルムアルデヒドが自然に発散されている」ことが明らかになっています。
- 天然由来の放出: 木材の主要成分であるリグニンやセルロースなどが、乾燥や熱などの過程で分解・反応し、ホルムアルデヒドが発生します。
- 樹種による差: 木の種類によって発散量は異なりますが、完全に「ゼロ」という木材は存在しません。
- 「F☆☆☆☆(エフフォースター)」の扱い: 無垢フローリングは「告示対象外」として、最高等級のF☆☆☆☆と同等以上に安全とされています。しかし、それはあくまで「接着剤による添加がない」という意味であり、天然由来の成分が含まれている事実は変わりません。
「天然成分」が刺激になることもあります
接着剤のような人工的な化学物質だけでなく、木材そのものが持つ「木の香り(精油成分)」に対しても、過敏に反応される方がいらっしゃいます。
- フィトンチッドへの反応: ヒノキやスギの強い香りで気分が悪くなる
- 天然の揮発性有機化合物: 木が本来持っている成分が、体質によって刺激となる
これらは一般的には「自然の恵み」とされるものですが、過敏症の方にとっては慎重に見極めるべきポイントとなります。
材木商ができること、できないこと
私たちは「木のプロ」として、以下のことは自信を持ってお手伝いできます。
- 樹種ごとの成分や香りの強弱に関する解説
- 化学物質を含まない「自然塗料」や「無塗装品」の選定
- 加工工程にまでこだわった製品の供給
しかし、「この床材なら、あなたの症状に絶対に影響を与えません」と断言することはできません。私たちは木材の専門家ではありますが、医学の専門家ではないからです。
化学物質過敏症の方が無垢フローリングを選ぶ際の3つの重要ステップ
化学物質過敏症の症状は非常にデリケートで、反応する物質や許容量は人によって千差万別です。せっかくの家づくりが、健康を損なう原因になってしまうことは、私たちにとっても本意ではありません。
そのため、以下のステップを強くおすすめしています。
- 専門医への相談: どのような成分(天然成分含む)に反応する可能性があるか、医師の診断を受ける。
- サンプルでの確認: 候補となる木材のサンプルを取り寄せ、実際に体調に変化がないか試す。
- 医師の指導のもとでの決定: サンプルを試した際の結果を医師に報告し、最終的なGOサインをもらう。
「最終的には専門の医師の指示に従って無垢フローリングを選ぶ」ことが、ご自身とご家族を守る一番の近道です。
結論として、化学物質過敏症の方にとって「無垢フローリング=安全」と一概に言うことはできません。
天然木であっても、体質によっては影響を受ける可能性があるため、最終的な判断は必ず専門医の指示に従うことが重要です。
このように、「自然のものだから100%無害」というわけではありません。だからこそ、私たちは材木屋としての経験則だけでなく、科学的な知見を前提に、お客様の主治医による医学的な判断を最優先に考えています。
【専門知識】研究機関が示す「天然木とVOC」の事実
「天然の木材なら安心」というイメージがありますが、専門の研究機関では、木材そのものから発散される揮発性有機化合物(VOC)について以下のような事実が報告されています。
- 天然由来のホルムアルデヒド:
木材の成分が乾燥や熱で分解される過程で、接着剤を使用していなくても微量のホルムアルデヒドが発生することが学術論文(早稲田大学など)で示されています。 - 天然成分「テルペン類」の影響:
森林浴効果の源である「α-ピネン」等の天然成分もVOCの一種です。高濃度や体質によっては、刺激や体調悪化を招く原因になり得ることが指摘されています(森林総合研究所など)。 - 樹種による発散量の違い:
樹種によって発散されるアルデヒド類の種類や量は異なります。特定の木に対してのみ反応が出るケースがあるのはこのためです(愛知県衛生研究所など)。
※参照:早稲田大学 博士論文「住宅における建材からのホルムアルデヒド放散に関する研究」、日本住宅・木材技術センター報告書、森林総合研究所「木質建材から放散される揮発性有機化合物の評価」
「自然のものだから100%無害」というわけではありません。
だからこそ、私たちは材木屋としての経験則だけでなく、
科学的な知見を前提に、お客様の主治医による医学的な判断を
最優先に考えています。
無垢フローリングと化学物質過敏症に関するQ&A
Q1. 無垢材ならホルムアルデヒドは「ゼロ」ですか?
A1. いいえ、厳密にはゼロではありません。接着剤を使用した合板とは異なり、木材そのものが成長過程や乾燥過程で生成する天然由来のホルムアルデヒドが微量に発散されています。多くの人には影響のないレベルですが、化学物質過敏症の方はこの微量な天然成分に反応される可能性も否定できません。
Q2. 「F☆☆☆☆(エフフォースター)」の認定品なら安心ですか?
A2. F☆☆☆☆は建材から発生するホルムアルデヒドの発散量を等級化した規格です。無垢材(無塗装品など)は「規制対象外」として最も安全な区分に属しますが、これは「接着剤を添加していない」ことを示すものです。天然由来の放出成分については、医師の助言のもとサンプル等で確認することをおすすめします。
Q3. どの樹種を選べば一番安全ですか?
A3. 反応には個人差が非常に大きいため、「この樹種なら100%安全」と断言することはできません。香りの強い樹種が苦手な方もいれば、特定の広葉樹に反応する方もいます。必ず専門医の指導のもと、実物サンプルで確認を行ってください。
サンプル請求・ご相談について
医師の先生とのご確認用として、無塗装品や特定の樹種のサンプル送付も承っております。材木商として、精一杯サポートさせていただきますので、お気軽にお申し付けください。
まずはショールームで、木の香りを確かめてみませんか?
化学物質過敏症の方にとって、実物の確認は非常に大切です。
無垢フローリング専門ショールーム「ゆらぎ」では、
主治医の先生とのご相談用サンプルのご用意も承っております。













