ほとんどのお施主様は、おおよそ5年以内には「もうそろそろ何かメンテナンスしないとなぁ…」と思います。新築の時には、床材のメンテナンス方法を聞いたかもしれませんが何年も前に聞いたメンテナンス方法なんて忘れていて当然です。
もう一度、杉のメンテナンス方法について考えていきましょう。まず、現状お使いいただいている杉無垢フローリングの表面はどの様な仕上げになっているのか?これが分からないと始まりません。大まかには、表面の塗装が無塗装かオイル塗装かウレタン塗装か最近ではガラス塗装かのいずれかだと思います。
杉は柔らかいからこそ、日々のお手入れでその温かみが一生続きます。まず初めに、杉無垢フローリングの表面がどの様な仕上げになっているなのかを確認することが必要です。
一般的には、杉無垢フローリングの表面仕上げは、無塗装、オイル塗装、ウレタン塗装、SSGガラス塗装などが多く見受けられます。杉無垢フローリングと言っても、お手入れメンテナンスする箇所は表面の塗装だと思っていただいてもいいかもしれません。杉無垢フローリングの表面仕上げを確認して、それぞれの仕上げに対してお手入れメンテナンスしていきましょう。
【塗装別】杉無垢フローリングのメンテナンス方法
無塗装の杉無垢フローリングのお手入れメンテナンス方法
杉フローリングの表面無塗装品には、サンドぺーパー加工(紙やすり、サンディング)とカンナ仕上げ(超仕上げ)がありますが、カンナ仕上げはリクエストしない限りほとんど塗装下地のサンドぺーパー加工だと思います。基本的にサンドぺーパー加工の(紙やすり)は、何かを塗るための塗装前提の塗装下地になっていますので細かな毛羽立ちが多く足裏の汚れが着いたり皮脂が染込んだりします。あまり清潔だとはいいがたいです。基本的には、サンドぺーパー加工を無塗装のまま使う事はありません。サンドぺーパー加工のフローリング表面に濡れ雑巾で雑巾がけをしてみると表面が毛羽立ちカサカサになってしまう事があります。毛羽立つ原因はサンドぺーパー加工という事になります。
現在では非常に稀ですが、カンナ仕上げ(超仕上げ)の場合のメンテナンス方法は硬く絞った雑巾でただただ拭きあげるだけになります。当社では、別部門で剣道場床工事を請け負っております。剣道場の床材は、フローリングの様に本実(凹凸)加工は施されていないことが多く一般的にイメージされるフローリングとは異なります。剣道場床の表面もカンナ仕上げとなります。一眼二足三丹四力と言われるように剣道では足捌きが非常に重要視されます。サンドペーパー加工(紙やすり)では、床表面に砂を撒いたような感触となりサラサラと滑ってしまいます。カンナ仕上げは、究極に平滑な仕上げ面なので足裏が吸い付くような感じがします。それほど平滑な表面なので、汚れは付き難く染み込み難いです。杉床材、杉フローリングの無塗装品だからと言ってお手入れメンテナンス方法どれとも同じという事はございません。
70年間使用した杉無垢フローリングを水拭きした様子
同じ現場に使用していた杉フローリング
左:雑巾がけ後 右:雑巾がけ前
参考:無塗装の無垢フローリングのお手入れ、メンテナンス方法
オイル塗装した杉無垢フローリングのお手入れメンテナンス方法
次に、オイル塗料を塗布した杉フローリングのメンテナンスについてです。オイル塗装に使用するのはオイルではなくワックスになります。
人間の化粧で例えると化粧水で下地を整えて乳液で仕上げる感じです。オイルで下地を整えて蜜蝋ワックスで防水防汚効果を高めるます。これは、オイルメーカーに問い合わせるとオイルだけで十分。ワックスメーカーに問い合わせてもワックスだけで十分と言われます。オイルとワックスの役割が異なりますので使い方も違います。
オイルとワックスは成分もよく似ています。
大まかにいうと、
オイルは、オイル成分:ワックス成分が7:3
ワックスはオイル成分:ワックス成分が2:8
くらいであり入っている成分は近似です。
日々のお手入れメンテナンスとしては、蜜蝋ワックスの塗布となります。キッチンや洗面所、脱衣所などの水回りは半年に1度くらい塗布。その他は、2~3年に一度くらいで良いと思います。ワックスの水弾きが悪くなったなぁと感じたら塗布してください。
YouTubeチャンネル 無垢フローリング専門店木魂-KODAMA-では、蜜蝋ワックスでのメンテナンス方法を解説しております。
杉無垢フローリングに蜜蝋ワックスを簡単に塗る方法
蜜蝋ワックスのかんたんな塗り方・無垢フローリング編
蜜蝋ワックス
参考:オイル塗装の無垢フローリングのお手入れ、メンテナンス方法
ウレタン塗装の杉無垢フローリングのお手入れメンテナンス方法
ウレタン塗装の杉フローリングのメンテナンスについてです。
無垢フローリングにウレタン塗装をして剥がれてきたらどうするの?残念ながら全面剥離してからの再塗装になります。ほとんどの無垢フローリングの第2次取得者はウレタン塗装は眼中にないと思います。ウレタン塗装は、フローリング表面に造膜しますのでほぼ仕上がりは合板フロアーと同等です。造膜型の塗装仕上げは、塗装がその床材としての耐久年数になるとお考え下さい。
住宅用の無垢フローリングは、隙間が目立ちにくいように、またササクレが起きにくいように面取り加工を施しています。表面を2~3㎜研磨することでその面取りは無くなり隙間が目立ちササクレが起きやすくなります。よってウレタン塗装を剥がしてオイル塗装にしたくても危険であるがためにできない場合が多くあります。ウレタン塗装のお手入れとしては、化学モップやフロア用シートなどでもいいかと思います。
ただし、ウレタン塗装がはがれかけて木肌が見えてきているようでしたら化学モップやフロア用シートの使用は止めて貼り換えをご検討いただければと思います。
例)ウレタン塗装の剥がれ 樹種:タモ
参考:ウレタン塗装の無垢フローリングお手入れ、メンテナンス方法
ガラス塗装の杉無垢フローリングのお手入れメンテナンス方法
ガラス塗装の杉フローリングについてのお手入れメンテナンス方法について。
最近では、ガラス塗装の無垢フローリングをお選びいただくお施主様も増えてまいりました。ガラス塗装は、造膜型でなく浸透型の塗料で肌触りはオイル塗装とほぼ変わりません。木肌に直接触れている感触があります。
オイル塗装とガラス塗装の違いについては、耐久性の高さと色合いです。ガラス塗料は、メンテナンスフリーとして販売されていることもあるようです。ガラス塗料メーカーとしては、メンテナンスフリーという表現は正しくないそうです。おおよそ5年毎に同じガラス塗料を塗布していただくことを推奨しています。色の違いについては、オイルはクリアーと言えども原料が植物性であることから若干黄色味を帯びています。ガラス塗料は無色透明です。仕上がりは、ガラス塗料の方が若干明るい感じがします。日々のお手入れやメンテナンスについては、雑巾での乾拭きや硬く絞った雑巾で拭きあげていきます。それでも落ちない汚れについては、中性洗剤を薄めて使っていただけます。これでも落ちない汚れは、紙やすりやサンドペーパーで汚れを落として再度、ガラス塗料を塗布していただくことになります。

YouTube:無垢フローリングにガラス塗料でメンテナンスを楽に
参考:ガラス塗装の無垢フローリングのお手入れ、メンテナンス方法
| お手入れ項目 |
オイル塗装 |
ウレタン塗装 |
ガラス塗装 |
無塗装
サンダー仕上 |
| 日常の乾拭き |
◎
最も推奨 |
◎
最も推奨 |
◎
最も推奨 |
◎
最も推奨 |
| 水拭き |
△
固く絞る
頻度は低めに |
〇
可能ですが
水分は残さず |
〇
耐水性が高い
ため安心 |
×
毛羽立ち・シミ
の原因に |
| 化学モップ |
×
吸着剤が
油分と反応 |
△
長期使用で
表面が曇る |
〇
基本的に
問題なし |
×
薬剤が染み込み
変色します |
| スチーム洗浄 |
×
専門家に相談 |
×
塗膜剥離の
恐れあり |
×
専門家に相談 |
×
専門家に相談 |
杉(スギ)無垢フローリングのお手入れに関するFAQ
Q: 杉(スギ)無垢フローリングの日常的な掃除方法は何ですか?
A: 基本的には、掃除機や乾いた雑巾、またはフローリングモップでホコリやゴミを取り除くだけで十分です。モップは薬剤不使用の物を使用してください。杉材は柔らかく傷つきやすいため、ブラシ付きの掃除機を使う際は注意が必要です。水拭きは、塗装の種類(オイル塗装や無塗装など)によっては推奨されない場合があるため、推奨される手入れ方法を確認しましょう。
Q: 杉無垢フローリングの水分によるシミや汚れはどうすれば良いですか?
A: 杉材は水分を吸いやすい性質があります。水分によるシミや汚れが付着した場合は、すぐに乾いた布で拭き取ることが大切です。水拭きをする場合は、硬く絞った雑巾を使用し、水分が残らないように注意してください。特に、オイル塗装や無塗装のフローリングは、水に弱いため注意が必要です。
Q: 杉無垢フローリングの塗装の種類ごとの特徴とメンテナンス方法を教えてください。
A: 杉無垢フローリングの主な塗装には「オイル塗装」「ウレタン塗装」「無塗装」「ガラス塗装」があります。オイル塗装や無塗装は、木材本来の質感を楽しめますが、定期的なオイルの塗り直しが必要です。ウレタン塗装は耐久性・耐水性がありますが、木材の呼吸を妨げます。ガラス塗装は、高い硬度と撥水性を持ちながら、木材の質感も保つとされています。
Q: 傷や凹み(へこみ)ができた場合、杉無垢フローリングは補修できますか?
A: 杉のような柔らかい針葉樹の無垢フローリングは、軽度な凹みであれば水を吸わせて修復できる可能性があります。凹んだ部分に湿った布を当ててアイロンの熱を加え、木材に水分を吸わせて膨張させる方法が一般的です。ただし、広範囲の深い傷や塗装の種類によっては専門的な補修が必要になります。
1. 用意するもの
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水(または霧吹き)
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脱脂綿、または清潔な布
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アイロン
2. 修理のステップ
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水分を染み込ませる: へこんだ部分に水を数滴垂らすか、濡らした布を置きます。
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放置(軽度の場合): 30分〜1時間ほど放置するだけで、杉の吸水性により元に戻ることがあります。
-
アイロンで熱を加える(重度の場合): 濡れた布の上からアイロンを数秒押し当てます。
注意点: 塗装の種類によっては熱で白濁する場合があります。必ず目立たない場所で試してから行ってください。
そもそも杉材とは
杉の床は柔らかくて傷がつきやすい、とお悩みではありませんか?実は杉はメンテナンス性が非常に高く、正しい方法を知れば驚くほど長持ちします。今回は専門店として、塗装ごとの最適なお手入れをまとめました。
杉材は、日本国内の針葉樹で現在一番植わっている樹種になります。
広葉樹、針葉樹合わせても杉が日本一ですね。杉材は戦後、東北から九州までいたるところで植林されてきました。杉の有名な産地としては、秋田杉(秋田県)、魚梁瀬杉(高知県)、吉野杉(奈良県)など銘木級として扱われる産地があります。その他にも、伊予杉や因幡杉など日本全国に杉は分布しています。しかし、これら銘木級の木材産地などでは、様々な理由から現在では保護林となり伐採禁止になっている産地も少なくありません。
一言で杉無垢フローリングと言っても、そのような銘木級のものが良い無垢フローリングや床材になるという事も簡単には言えません。杉無垢フローリングを作るには、それなりの設備が必要です。丸太は出せても、それから製材、乾燥、養生、加工、塗装と杉無垢フローリングとして商品になる為には沢山の工程が必要となってきます。
この様なことから、有名杉産地でも良い杉無垢フローリングや杉床材が生産できるといった訳ではございません。銘木級の有名産地で無くても、製材、乾燥、養生、加工、塗装の技を磨き上げ、付加価値を付けて市場に良い杉無垢フローリングをお届けできる産地が生き残っていくわけです。
さて、様々な産地がある杉無垢フローリングですが、全国各地で製造されているために全国で杉無垢フローリングを使われている方は多いはずです。
杉は柔らかいからこそ、足触りが良く、冬でも温かいという最大の特徴があります。傷を恐れるのではなく、メンテナンスを『木を育てる楽しみ』に変えるのが、杉と長く付き合うコツです。