2022年米国
令和4年度木材製品輸出拡大実行戦略推進事業の一環として農林水産省と経済産業省から支援を受け、アメリカのシカゴ、ラスベガス、ロサンゼルスに木材の視察と剣道場床の普及に行ってまいりました。
今回は、木材も剣道場床も剣道関係者の方々に大変お世話になりました。
シカゴでは、現地剣友会で現状の剣道稽古環境調査とニーズアンケートを実施。稽古にも参加させてただき、現在の剣道場床事情を実際に体感させていただきました。その後、現地の材木屋さんと工具屋さんx2件、THE HOME DEPO(ザ・ホームデポ)を見学。大変恐縮ではございますが、こちらではシカゴ在住の先輩剣士の方に全てご案内いただきました。
ラスベガスでは、全米剣道連盟 のサマーキャンプにミニチュアの剣道場床を持ち込んで感応調査アンケートを行いました。2年ほどコロナで中止となっていたこともあり、今回は300人もの参加者で大盛況でした。まだ集計が終わっていませんが、全米剣道連盟の先生方の協力を得て、半数くらいの剣士にはアンケートにお答えいただけたのではないかと思います。また、サマーキャンプ中だけでも実際に剣道場床を検討されていると相談を受けたのはおおよそ10件ありました。なんと、とある州の名誉領事さんも剣道の修行に励んでおられ「私の州に剣道場を作りに来てくれるのか?」とも相談をお受け致しました。
ロサンゼルスでは、日本総領事館、JETROに訪問し日本産木材の可能性について熱くお話しさせていただきました。領事さんが農林水産省の方でしたので今回の取り組みについてスムーズにお話しすることができました。その後、リトル東京のTerasaki Budokan を見学。現地の剣友会・Long Beach Kendo Dojo でも道場視察とアンケート調査にご協力いただきました。Long Beach Kendo Dojoでは、稽古にも参加させていただきアメリカの剣道道場床事情を実際に体感することができました。
3都市全てにおいて在米剣士の方々にご協力いただき、想定よりもはるかにスムーズな調査と普及活動となりました。全米剣道連盟の先生方には大変感謝いたします。
また、日本からも後方支援いただいたたくさんの先生方にも御礼申し上げます。どこに行っても「○○先生から聞いてるよ!」「なんでも遠慮なく言ってよ!」と駆け寄ってきていただけました。とっても心強かったです!ありがとうございました。
今後、私たちはアメリカでも日本産木材を使用した日本式の剣道場床の普及に努めます。来年、再来年はアメリカを中心に活動し、その後はヨーロッパに普及活動に行こうと思っております。世界中の剣士の皆さま、今後ともどうぞご支援いただきますようお願い申し上げます。
そして、今までは木材を輸入することが多かった日本ですが、政府は輸出にも力を注いでいくようです。国産木材を扱う木材業者にとっては大きなチャンスだと思います。日本国内では、国産木材関係の新しいビジネスモデルがいくつも立ち上がりますが、ふたを開けると中間流通を省いての安売り合戦だったり、いつの間にか異業種になっていたりしていることが多いのが現実です。
山に利益を還元しようとすると木材を見極め、価値を見出し、適正価格で木材を販売する。これはいつの時代でも不変だと思います。どこかに無理が掛かるような販売方法は続きません。しかし、これが非常に面倒くさくて難しいのです。
日々、あまり気にも留めていないかもしれませんが、山が荒れると川の水もどんどん汚れていきます。美味しいお水が飲めなくなります。なるべく山を更新させて綺麗な川で遊べる日々を過ごしたいものです。そのためにも自分自身で山に出向いて現状を知り、国産木材の活用がいかに日本にとって有効なのか、少しでも川下に伝える役割ができればと思っております。
だからと言って私は国産材ばかりを勧める訳ではございません。それはこの問題が世界中どこに行っても同じだからです。要は適切な植林と伐採を繰り返すことが重要なんだと思います。
木と人間とでは、時間の進み具合が少し異なります。ほとんどの場合、人間は自分達より先輩にあたる樹木を伐採し木材にして活用します。その場でじっと何十年も何百年も成長してきた樹木を使わせてもらっている方なんです。世界中どこの木でもありがたく使わせていただかなくてはいけません。そう考えると紙や木材の見方や扱いが今までと少し変わってくるかもしれませんね。
ちなみにアメリカの街中では9割以上の人がマスクを着けておりませんでした。剣道のサマーキャンプやそれぞれの稽古時には、連盟の指示に従ってマスクなどを装着していました。街中では、本当にマスクをつけていたら目立ちます。テレビでもCOVID-19の感染者数などのニュースは見ることがありませんでした。具合が悪かったら家で寝てるのかな?日本とアメリカの違いはあからさまでした。