無垢フローリングの経年変化について 1.反り・目地の透き・突き上げ 2.割れ 3.色の変化

無垢フローリングの原料となる木材は植物細胞で構成されています。製品では細胞は生体としての活動はしておりませんが、細胞の主成分であるセルロース・ヘミセルロース・リグニンや副生物であるさまざまな化合物(樹脂や色素など)・無機質の物理化学的性質から室内環境と時間経過に伴う変化が生じます。経年変化の主なものは3つ挙げられます。

1.反り・目地の透き・突き上げ
2.割れ
3.色の変化

 

1.反り・目地の透き・突き上げ
木材は、空気中の水分を吸収したり放出したりする性質を持っています。木材を内装に使用すると、この性質により室内の乾湿を緩和することができます。木材の細胞壁は水分を吸収すると膨張し、放出すると収縮します。このため、室内の湿度状況によっては、伸縮も大きくなり、反り・目地の透き・突上げなどがおきる場合があります。

 

2.割れ
フローリングが水分を含み、その後乾燥した環境にさらされると、一枚の材の内部で異常収縮が発生します。これにより材に割れ目(クラック)が入る場合があります。また、日光の直射をはじめとする様々な室内環境要因により、これと同様の現象が生じる場合があります。

 

3.色の変化
木材は、時間の経過とともに紫外線などの作用によって色が変化していきます。細胞の主成分のうちセルロースとヘミセルロースに色はなく(白色)、リグニンや副主成分が色を決めています。このリグニンや副成分は光りや化学反応によって変化するため、色の経年変化が生じます。この色の経年変化は様々な室内環境要因により、大きな差が見られ、使用状況によっては、リグニン及び副成分の急激な化学変化により灰白色の「脱色状態」に移行してしまう場合があります。このように木質フローリングにおいて、上に述べたような経年変化は自然現象として避けては通れないものであり、お客様にはその点に十分ご理解頂きますようにお願い申し上げます。風合いと生活上支障のない経年変化をゆったり楽しむか、小さな傷を気にしすぎてケミカルな住環境に身を置くかは考え方次第ですね。

その他にも無垢フローリングの経年変化無垢フローリングの経年変色もご案内しております。

3つの経年変化は、サクラブラックチェリークルミウォールナットチークナラオーククリマツパインなどなど、どの樹種に関しましても同じことが言えます。ただし、その経年変化の過程については、樹種によっても違いますし、製材加工方法、使用方法、メンテナンス方法など様々な要因で変化してしまいます。お施主様の生活スタイルに合わせたメンテナンスも考慮しながら無垢材をお選びいただければと思います。

木材コンシェルジュ

執筆・監修者情報:前田英樹(株式会社五感 代表取締役)

前田英樹氏は、無垢フローリングおよび剣道場床の専門家です。吉野材専門問屋や木材小売業での経験を経て、2008年に株式会社五感を設立。東京・新木場で無垢フローリング専門店「木魂」を運営し、ショールーム「ゆらぎ」では多種多様な無垢材を提供しています。

また、「剣道場床建築工房」を運営し、剣道場の床設計・施工を専門に手がけています。剣道五段の有段者として、国産スギ材を使用した剣道場専用床材を開発し、剣道に適した「弾性剣道場床」を推奨。足腰の負担を軽減し、剣士のパフォーマンス向上と安全性の確保を重視した床づくりを行っています。全国の大学や道場で採用され、高い評価を得ています。

FSCおよびPEFC/SGECのCoC認証を取得し、木材のトレーサビリティを重視。武道学会賛助会員。日本剣道振興協会賛助会員。各種メディアへの寄稿や講演も行い、業界内で信頼されています。

株式会社五感 公式サイト
無垢フローリング専門店木魂: https://www.muku-flooring.jp/
剣道場床建築工房: https://kendoujou.com/

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)