お客様から頂いたご質問です。
Q:「無垢フローリングにも抗ウィルス性能を持った塗装が可能ですか?」
A:はい。抗ウィルス性能を持った塗装は可能です。
可能ですが、現状ではウレタン塗装仕上げのみとなります。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により
上記のような質問が増えてまいりました。
そもそも木材は、抗ウィルス活性値が高く
ウィルスの不活性化に効果があると言われています。
以下は、新型コロナウィルス流行前にインフルエンザウィルスA型を
使って奈良県農林部がウィルスの不活性化について試験した結果です。
平成28年度「奈良の木で健康になる」実証事業
(奈良県農林部奈良の木ブランド課)
試験結果.4 ウイルスの不活化
【緒言】
日本では少子高齢化が進み、子供の健やかな成長と、高齢者の健康寿命の延伸が今まで以上に求められています。木材は健康に良いと言われますが、実証データは充分とは言えず、奈良県産材を用いた試験結果も見当たりません。そこで、奈良県農林部奈良の木ブランド課では、平成28年度に「奈良の木で健康になる」実証事業を実施し、奈良県産スギ材とヒノキ材が疾病予防につながる性質を有するかどうかを検証しました。
【実験方法】
(1)材料
奈良県吉野郡川上村の人工林で生育した約100年生と約70年生のスギとヒノキを使用しました。いずれも2016年に伐採されたもので、長さ3mの丸太のうち末の1.5m分を厚み20mmの板に製材し天然乾燥させました。試験には心材部分を使用しました。参考とするために、天然乾燥させた他県産のスギ材およびヒノキ材も使用しました。
(2)試験
ISO 18184(繊維製品の抗ウイルス性試験)を参考に実施しました。すなわち、スギ材
およびヒノキ材の木粉(1mmメッシュパス)0.4gをバイアル瓶に入れ、インフルエンザウイルスA型(H3N2)液0.2mlを接種し、25℃で2時間接触させました。SCDLP培地20mlを加え、木粉からウイルスを洗い出し、洗い出した液のウイルス感染価(感染力のあるウイルスの量)をプラーク法により測定しました。繰り返し数は3としました。比較のために、鉄粉またはポリプロピレン粉に接触させた場合および材料無添加の場合も試験をしました。
なお、本試験は、奈良県外の専門試験機関に依頼して実施しました。
【結果および考察】
下図に示すように、奈良県産のスギ材やヒノキ材に接触すると、感染力のあるインフルエンザウイルスの数が減少することが明らかになりました。
抗ウィルス活性値の比較
そもそも木材の調湿効果が高いことから、
抗ウィルス活性値が高いとしている訳ですが
木の表面を造膜する抗ウィルス性能を持ったウレタン塗装を施すことで
調湿効果は損なわれないのか?
私は疑問に思います。
参考:木材の調湿機能と塗装
また、無垢フローリングに抗ウィルス性能を持つウレタン塗装施すことで
無垢フローリング本来の特徴が失われてしまいます。
・夏はペタペタ、冬はヒヤッと冷たく感じます。
・抗ウィルスを覆ってしまうのでワックスは掛けられません。
・擦れあう度にどんどん塗装は剥がれていきます。
・メンテナンスがしし難くなります。
・結露しやすくカビが発生しやすくなります。
これってどうなんでしょうか…
無垢フローリングや挽き板フローリングで
無塗装やオイル塗装のランナップが無く
ウレタン塗装しか製造できない合板フロアメーカーが
御客の視点を逸らすためにセールストークとして発信し始めたのでは?
現状コロナ禍がこのままいつまでも続くとは思っておりません。
考えが甘いのかもしれませんが続いても数年くらいだと思います。
住宅の床材は数十年使う方がほとんどです。
床の抗ウィルス対策が気になるようでしたら
今は抗ウィルス対策のスプレーなどを使用してもいいのかなと思います。
「新しい生活様式」でどの様な形がスタンダードとなるのか
分かりませんが薬剤に頼りすぎるのもいかがなものかと思ってしまいます。
個人住宅では、できる限り自分自身で考えた
安心・安全な空間で生活したいですね。