水廻りにはウレタン塗装?無垢フローリングの傷補修方法|アイロンと水で直す簡単な手順

投稿日:2014年07月11日
ウレタン塗装剥がれ
無垢フローリングのウレタン塗装剥がれ
無垢フローリングのウレタン塗装剥がれ
タモ(アッシュ)ウレタン塗装
無垢フローリングのウレタン塗装剥がれ

よくいただくご質問のひとつに、 「キッチンや脱衣所などの水回りの床には、ウレタン塗装を施した無垢フローリングを採用したほうが良いでしょうか?」 というものがございます。ウレタン塗装は水を弾きやすいため、そのようにお考えになるのは自然なことかもしれません。しかし、一概に「水回りにはウレタン塗装が適している」とは言い切れません。

ブラックウォールナット無垢フローリングに鉄球を落とすとへこむ
ブラックウォールナット無垢フローリングに鉄球を落とすとへこむ

木材に限らず、特に色の濃い素材にはさまざまな影響が生じる可能性があります。たとえば、500gの鉄球をブラックウォールナット無垢フローリングに落とすとそれぞれの表面はへこみます。オイル塗装とウレタン塗装、さらに日本一表面硬度が高いとされる合板フローリングもへこみます。それぞれのへこみに対する影響を比較してみました。また、ドライバーを用いて表面を引っかくテストも行いました。

その結果、ウレタン塗装は表面に塗膜を形成しているため、衝撃により塗膜が剥がれ、白い線傷やひっかき傷が目立つようになりました。

水廻りにはウレタン塗装? (3)
ブラックウォールナット無垢フローリングのウレタン塗装

 

水廻りにはウレタン塗装? (5)
日本一硬いと言われているフロアー塗装

さらに、日本一の表面硬度を誇る合板フローリングであっても、500gの鉄球を落としただけでへこみが生じました。これは、小さなペットボトルと同程度の重量でありながら、十分なダメージを与えることを示しています。

 

一方、ブラックウォールナットの無垢フローリングでは、確かに凹みや傷が付きやすいものの、蜜蝋ワックスを塗布することで線傷やひっかき傷を目立たなくすることが可能です。また、へこみについてもアイロンを使用すれば、ある程度回復させることができます。さらに、サンドペーパーを使って軽く削ることで、表面の凹凸を整えることも可能です。

水廻りにはウレタン塗装? (2)
ブラックウォールナット無垢フローリングのオイル塗装

 

 

重要なのは、「床は必ず傷が付くものである」という点です。そのため、傷が付いた後にどのような対処ができるのかを考慮することが大切です。お住まいの床で何十年もの時間を過ごされることを想定し、適切な塗装方法を選択する必要があります。アイロンを使用してへこみを復元することも可能です。


フローリングのへこみをアイロンと水で補修する方法

無垢フローリングのへこみは、木材が水分を吸収し膨張する特性を利用して補修できます。以下の手順で修復を試みてください。

必要なもの:

  • アイロン
  • 水(ぬるま湯)
  • 乾いた布またはペーパータオル
  • スチーム機能付きのアイロン(なければ普通のアイロンでも可)

手順:

  1. 掃除をする へこみの部分のホコリやゴミを取り除き、きれいな状態にします。
  2. 水を加える へこみ部分に少量の水を垂らし、木材に浸透するようにします。深いへこみの場合は、数分間放置してしっかり浸透させます。
  3. 布をのせる 水を垂らしたへこみの上に乾いた布やペーパータオルを置きます。
  4. アイロンをあてる アイロンを中温(スチーム機能があれば使用)に設定し、布の上からアイロンを押し当てます。数秒ずつ様子を見ながら動かし、木が水分を吸って膨らむのを確認します。
  5. 繰り返し作業する へこみが戻るまで、この作業を数回繰り返します。場合によっては、再度水を垂らしてからアイロンを当てると効果的です。
  6. 仕上げ へこみが元に戻ったら、乾いた布で表面の水分を拭き取り、完全に乾燥させます。必要に応じて蜜蝋ワックスやオイルを塗って仕上げると、より自然な状態に戻ります。

この方法は、軽度のへこみに有効ですが、深い傷やえぐれた部分には適用できませんのでご注意ください。

ウレタン塗装の無垢フローリングを選択した場合、リフォーム時にすべて張り替えが必要になる可能性があります。ウレタン塗装は「剥がして再塗装できる」と言われることがありますが、実際の一般住宅ではこの作業が行われることは極めて稀です。研磨と再塗装には強いシンナー臭を伴うため、現実的な選択肢とは言い難いでしょう。これは営業トークとして用いられることが多いため、注意が必要です。
さらに、ウレタン塗装を剥がした場合、フローリングの糸面(小さな面取り)が失われるため、目地の隙間が非常に目立つようになります。また、削ることでこれまで見えなかった内部の割れが表面に現れることもあり、単純にオイル塗装へ移行することが難しくなります。

木目の美しさを保つためにも、自然素材を活かしたメンテナンスを行うことが理想的です。例えば、木目を引き立たせるためにオイルやワックスを使うことで、自然な風合いを長く楽しむことができます。また、家具を引きずることで床に傷がつきやすいため、定期的にワックスを塗布することでダメージを最小限に抑えることができます。

水廻りにはウレタン塗装? (4)
ブラックウォールナット無垢フローリングの塗装(オイルorウレタン)

一方、ウレタン塗装では、えぐるような傷がついてしまうと補修が難しくなります。そのため、定期的な手入れができる環境であれば、オイル塗装のほうが適している場合もあります。

ウレタン塗装とオイル塗装のどちらが優れているかは一概には言えませんが、重要なのは、お施主様がその床で何年生活されるのか、また何年後にリフォームを計画されているのかを考慮することです。単に新品時の美しさだけを基準にして「水回りにはウレタン塗装が適している」と断定するのは適切ではないかもしれません。

 

 

無垢フローリングのウレタン塗装と水周りに関するQ&A

Q1: 無垢フローリングを水周りに使う場合、ウレタン塗装と自然塗料のどちらが良いですか?
A: 水周りには、キズや剥がれを部分的に補修しやすい自然塗料(オイル・ワックス)を推奨します。ウレタン塗装は撥水性が高いですが、一度塗膜が剥がれると、その部分から浸入した水分が内部に閉じ込められ、腐食やカビのリスクが高まるためです。自然塗料は木の呼吸を妨げず、湿気が逃げやすい特徴があります。

 

Q2: ウレタン塗装の無垢フローリングにへこみキズができた場合、自分で補修できますか?
A: はい、へこみキズはアイロンと水を使って補修が可能です。ただし、ウレタン塗装の場合は、まずへこみキズとその周辺のウレタン塗膜をサンドペーパーで剥がす必要があります。塗膜を除去した後、水を垂らし、濡らした布の上からアイロンを押し当てることで、へこみを膨らませて戻すことができます。

 

Q3: 自然塗料の無垢フローリングの水周りでのメンテナンス頻度はどれくらいですか?A: キッチンや脱衣所などの水周りは、他の部屋よりも水濡れや摩擦が多い場所です。理想としては、半年に一度程度を目安に、使用しているオイルやワックスを塗り直すメンテナンスをおすすめします。表面の撥水性が落ちてきたと感じたら、頻度を上げてください。

 

Q4: ウレタン塗装が剥がれた部分を放置するとどうなりますか?
A: ウレタン塗装が剥がれた部分を放置すると、そこから水分が浸入し、塗膜が残っている部分がフタのようになり、水分が蒸発しにくくなります。これにより、木材が湿潤な状態に長くさらされ、腐食、カビ、黒ずみといった重大な劣化を引き起こすリスクがあります。

※追記※ 近年では「ガラス塗料SSG」という、自然オイル仕上げに近いメンテナンスフリーの塗装も登場しています。初期費用はやや高くなりますが、毎年蜜蝋ワックスを塗る場合と比較すると、2年目以降はコストメリットが生まれる可能性があります。

無垢フローリング お手入れ・メンテナンス関連情報

 

木材コンシェルジュ

執筆・監修者情報:前田英樹(株式会社五感 代表取締役)

前田英樹氏は、無垢フローリングおよび剣道場床の専門家です。吉野材専門問屋や木材小売業での経験を経て、2008年に株式会社五感を設立。東京・新木場で無垢フローリング専門店「木魂」を運営し、ショールーム「ゆらぎ」では多種多様な無垢材を提供しています。

また、「剣道場床建築工房」を運営し、剣道場の床設計・施工を専門に手がけています。剣道五段の有段者として、国産スギ材を使用した剣道場専用床材を開発し、剣道に適した「弾性剣道場床」を推奨。足腰の負担を軽減し、剣士のパフォーマンス向上と安全性の確保を重視した床づくりを行っています。全国の大学や道場で採用され、高い評価を得ています。

FSCおよびPEFC/SGECのCoC認証を取得し、木材のトレーサビリティを重視。東京木材問屋協同組合武道学会賛助会員。日本剣道振興協会賛助会員。

株式会社五感 東京都江東区新木場1-6-13 木のくに屋ビル4F 公式サイト
無垢フローリング専門店木魂: https://www.muku-flooring.jp/
剣道場床建築工房: https://kendoujou.com/

無垢フローリングのウレタン塗装が剥がれる原因とは?補修方法とオイル塗装への切り替えについて

投稿日:2009年09月22日
ウレタン塗装は表面にプラスチックの塗膜を作ることで汚れや水に強くなるのがメリットですが、長年使用していると経年劣化により「剥がれ」が生じることがあります。一度剥がれてしまうと、見栄えが悪くなるだけでなく、木材そのものが汚れやすくなってしまいます。この記事では、無垢フローリング専門店としての視点から、ウレタン塗装が剥がれる原因と、剥がれてしまった際の適切な補修方法、そして「オイル塗装」へ切り替えるという選択肢について解説します。

なぜ剥がれる?無垢フローリングのウレタン塗装が劣化する原因

無垢フローリングのウレタン塗装が剥がれる主な原因は、日々の生活による「摩耗」と「経年劣化」です。

経年劣化と摩耗

ウレタン塗装は木材の表面を樹脂の膜で覆っています。非常に硬い塗膜ですが、毎日歩いたり、椅子を引きずったりする摩擦によって少しずつ薄くなっていきます。特に、よく歩く場所(動線)やダイニングテーブルの下などは、局所的に塗膜が削れ、最終的に剥がれにつながります。

湿気や傷からの水分侵入

生活の中でついた微細な傷から水分が入り込むと、木材と塗膜の間に隙間ができ、塗装が浮き上がってしまうことがあります。これが広がると、パリパリと塗装が剥がれる原因となります。

【実例】施工から5年、店舗で使用された無垢フローリングの剥がれ

こちらは、実際に本物の無垢フローリング(タモ材・ヘリンボーン貼り)を施工して5年が経過した店舗様の床の様子です。

タモ(アッシュ)ウレタン塗装の剥がれ事例
施工から5年経過した店舗の床。ウレタン塗装に着色仕上げが施されています。

店舗という土足環境であるため、住宅に比べて傷みは激しくなります。床を見るとこのお店が相当繁盛していることが分かりますが、着色されたウレタン塗装が剥がれ、地肌の木の色が見えてしまっています。

着色ウレタン塗装の場合、傷がついたり剥がれたりした際に、塗装の色と木材本来の色の差がはっきりと出てしまうため、劣化が目立ちやすいという特徴があります。

ウレタン塗装が剥がれてしまった場合の対処法・補修方法

では、塗装が剥がれてしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

DIYでの部分補修はおすすめできない理由

「剥がれた部分だけニスを塗れば直るのでは?」と思われるかもしれませんが、ウレタン塗装の部分補修は非常に困難です。新しく塗った部分と古い部分のツヤ感や厚みが合わず、かえって補修跡が目立ってしまうことが多いためです。

プロによる「サンディング(削り直し)」での再生

最も確実できれいな方法は、フローリングの表面を専用の機械で薄く削り取る「サンディング(削り直し)」です。古くなった塗膜と汚れを一度すべて削り落とし、新しい木肌を出してから再塗装を行います。

これにより、新品同様の美しさを取り戻すことが可能です。

「再塗装」か「オイル仕上げ」か?ライフスタイルに合わせた選択

サンディングを行って塗膜をリセットする際、再び「ウレタン塗装」をするか、浸透系の「オイル塗装」に切り替えるかを選ぶことができます。

傷ついた無垢フローリング

用途によって有利な点と不利な点を理解する

ウレタン塗装が剥げる度に業者に依頼して再塗装をするべきなのか? それとも、自分でお手入れができるオイル塗装にして、毎日磨き込むことで経年変化を楽しむのか?

それぞれの特徴を理解して、ご自身の生活スタイルに合った仕上げを選ぶことが重要です。

  • ウレタン塗装: 日頃のメンテナンス(ワックスがけ等)はほぼ不要で楽ですが、傷がついたり剥がれたりした際の補修は大掛かりになります。
  • オイル塗装: 定期的なオイルの塗布が必要ですが、傷がついたとしても、その部分だけサンドペーパーで削ってオイルを塗ればご自身で簡単に補修ができます。

床材はどんな材料でも、生活していれば100%傷がつきます。「傷がつかない床」を探すのではなく、「傷がついたときにどうなるか?」「どう直せるか?」を床選びやメンテナンスのポイントにすることをおすすめします。

まとめ:ライフスタイルに合わせて塗装を選び直す機会に

ウレタン塗装の剥がれは、床のリフレッシュ時期のサインでもあります。そのまま放置せず、専門業者によるメンテナンスを検討してみてください。

当店では無垢フローリングのメンテナンス方法や、塗装の違いについても詳しくご案内しています。以下のページもぜひご参照ください。

無垢フローリング お手入れ・メンテナンス関連情報

無垢フローリングの塗装に関するよくある質問

無垢フローリングのウレタン塗装が剥がれる主な原因は何ですか?

主な原因は、歩行や椅子の使用などによる日々の「摩耗」と「経年劣化」です。また、小さな傷から水分が入り込み、塗膜と木の間に隙間ができることで塗装が浮き上がり、剥がれにつながる場合もあります。

剥がれたウレタン塗装をDIYで補修することはできますか?

DIYでの部分補修はおすすめできません。新しく塗った部分と古い部分のツヤや厚みを合わせるのが非常に難しく、かえって補修跡が目立ってしまうことが多いためです。プロによるサンディング(削り直し)と再塗装をおすすめします。

ウレタン塗装とオイル塗装、メンテナンスしやすいのはどちらですか?

「傷の直しやすさ」で言えばオイル塗装です。オイル塗装は傷がついてもサンドペーパーで削ってオイルを塗れば自分で補修できます。一方、ウレタン塗装は日々の拭き掃除などは楽ですが、傷や剥がれが生じた際の大掛かりな補修が必要になります。ライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。

木材コンシェルジュ

執筆・監修者情報:前田英樹(株式会社五感 代表取締役)

前田英樹氏は、無垢フローリングおよび剣道場床の専門家です。吉野材専門問屋や木材小売業での経験を経て、2008年に株式会社五感を設立。東京・新木場で無垢フローリング専門店「木魂」を運営し、ショールーム「ゆらぎ」では多種多様な無垢材を提供しています。

また、「剣道場床建築工房」を運営し、剣道場の床設計・施工を専門に手がけています。剣道五段の有段者として、国産スギ材を使用した剣道場専用床材を開発し、剣道に適した「弾性剣道場床」を推奨。足腰の負担を軽減し、剣士のパフォーマンス向上と安全性の確保を重視した床づくりを行っています。全国の大学や道場で採用され、高い評価を得ています。

FSCおよびPEFC/SGECのCoC認証を取得し、木材のトレーサビリティを重視。東京木材問屋協同組合武道学会賛助会員。日本剣道振興協会賛助会員。

株式会社五感 東京都江東区新木場1-6-13 木のくに屋ビル4F 公式サイト
無垢フローリング専門店木魂: https://www.muku-flooring.jp/
剣道場床建築工房: https://kendoujou.com/