硬い木と柔らかい木

投稿日:2016年04月09日

無垢フローリングをお選びになられる際に
お施主様が「硬さ」について悩まれる事があります。
硬さによって感じ方が異なる点としては
足あたりの感触、傷や凹みの付き方、
床全体の弾力などで迷う事が多いようです。
足あたりの感触は、床表面に触れた時の温かさや冷たさに関わるのかな?
傷や凹みの付き方は、柔らかいと傷が付きやすいのでは?
床全体の弾力は、立ち仕事などをした際の疲れやすさなのかな?
フローリングを選ぶだけでも疑問は多いものです。
『足あたりの感触』に関しては、
もちろん柔らかい木の方がたくさん空気を含んでいるので温まるのは早いです。
ちなみに木材(無垢材)は熱は発しませんので何をとっても温かくはありません。
無垢材は、冷たくは無いくらいに思っておいた方が良いと思います。
この場合も、無塗装やオイル塗装に限られ、
ウレタン塗装品の表面は木本体に触れているのではなく
石油化学製品に触れていると言う事になり、
ほぼ触れている箇所は合板フロアーと同じになります。
『傷や凹みの付き方』に関しては、
やはり硬い方が傷が付きやすいと言えます。
但し、傷が付いても目立つものとそうでないもの
がある事を覚えておいた方が良いと思います。
例えば柔らかいと言われる桧フローリングで例を挙げてみると
桧節無しフローリングひのき節有フローリングでは
どちらが傷や凹みが目立つことになるでしょう?
やはり節無しの方は傷が付いたら目立ちますよね。
そもそも初めから節や色むらのある節有なら目立ちません。
と、言うように例えば傷が付く事が容易に想像できる子供部屋や
たまーに手が滑って物を落としてしまうキッチン周りや
水の輪染みが目立つかもしれない脱衣場などには節有を使った方が
桧節無しフローリングよりも傷や凹みなどは目立ちにくくなります。
これは見た目の好みにもよると思いますので、
時間を掛けてお部屋ごとにご検討いただければと思います。
『床全体の弾力』に関してですが
これは今のところ私は勉強不足で難題です。
同じ人が生活しているのであれば、
柔らかいとされている杉や桧でも表面が圧縮されて
ある程度の硬さで止まってしまうのではないかと思います。
杉を10kg/cmで圧縮してもナラを10kg/cmで圧縮しても
折れたり割れたりしない限り同じ硬度になるののかなぁ?と思っています。
木材実質の比重(真比重)は樹種による差はほとんどないので
圧縮されたらどの樹種でも
同じ硬さになるのではないのかな?と思っています。
そうすると、表面が固まって硬くなるまでにどれだけ時間が
掛かるか掛からないかだけの事でどの木を選んでも
あまり変わりはないのかなぁと思っています。
摩耗で削れる分を考えても最終的には同じ表面硬度になると思います。
また、現在の住宅の床下地材はかなりしっかりしています。
当社でも、無垢フローリングの下地には
必ず合板を捨て貼りする様にお願いしております。
床下地材は、一般戸建て住宅なら24mmや28mmの針葉樹合板、
マンションの二重床なら20mmのパーチクルボードを使用するのが主流です。
そもそも、以前の根太工法とは違いそれぞれの床下地材が
面で無垢フローリングを支える為に根太間のたわみ等は皆無です。
現在の一般的(主流)な工法では
木材のたわみはなかなか感じる事はないでしょう。
ちなみに下の画像は、様々な木材の走査電顕像です。
森林総合研究所・日本産木材標本の画像データベースより
木材を極限までアップにした画像です。
気乾比重の平均値順に並べています。
上(サワラ)~下(ケヤキ)まで
柔らかい木~硬い木 に並べています。
倍率は、大体同じですが異なるものも
いくつかあるので注意して見てください。

気乾比重(ru)
水の重さを「1」とし、
それと比較して出した重さの割合を数値として表しています。
比重が1を越えたものは同じ体積であれば、
水より重いという事になります。
次にこの「気乾」とは何をさしているのかいうと、
木材を乾燥させ、含水率が15%になった状態を表しています。
木に含まれている水の量は一定ではないので、
乾燥させ水分量を一定にする事で、
その木が持つ重量を正確に測る為の指標として、
この気乾比重という単位が使われています。

サワラ 気乾比重:0.28~0.34(平均値)~0.40

サワラ

 

スギ  気乾比重:0.30~0.38(平均値)~0.45

スギ

 

ヤクスギ 気乾比重:0.38~0.40
屋久杉

 

ヒノキ 気乾比重:0.34~0.44(平均値)~0.54

桧

 

ホオノキ 気乾比重:0.40-0.49(平均値)-0.61

朴の木

 

カラマツ  気乾比重:0.40~0.50(平均値)~0.60

カラマツ

 

ツガ  気乾比重:0.45~0.50 (平均値)~0.60

栂

 

アカマツ  気乾比重:0.42~0.52(平均値)~0.62

赤松

 

クロマツ  気乾比重:0.44~0.54(平均値)~0.67

黒松

 

オニグルミ 気乾比重:0.42-0.53(平均値)-0.70

オニグルミ

 

クリ  気乾比重:0.44~0.60 (平均値)~0.78

栗

 

 

シイ 気乾比重:0.50~0.61 (平均値)~0.78

スダジイ

 

ヤマザクラ  気乾比重:0.48~0.62(平均値)~0.74

山桜

 

ブナ  気乾比重:0.50~0.65(平均値)~0.77

ブナ

 

ミズナラ 気乾比重:0.45~0.68 (平均値)~0.90

ミズナラ

 

ケヤキ 気乾比重:0.47~0.69 (平均値)~0.84

ケヤキ

スカスカからしっかり詰まった画像まで木でも色々あります。
この構造を形成している部分(セルロース、リグニン、ヘミセルロース等)の
真比重がどの木をとってもほぼ同じです。
硬くても柔らかくても樹種によらず約1.5g/cm で一定です。
コレ。私的にはとっても面白い。
また、気乾比重でも最低値~平均値~最高値とかなりの差があります。
例えば・・・
ケヤキ 気乾比重:0.47~0.69 (平均値)~0.84(ru)
ヒノキ  気乾比重:0.34~0.44(平均値)~0.54(ru)
ということは、ヒノキより
柔らかいケヤキが存在する場合も有ると言う事になります。
平均値ではかなり差はあるのですが、こんな場合もあるのです。
スギ比重の差
早材部と晩材部など、比較する箇所でもかなり差が出ますよね。
まぁそんなこんなで木は一筋縄ではいかないと言う事です^^;
私自身基本的にはこう思っています。
どんな木でも強引な事をしない限りは基本的に人には優しいです。
どの無垢フローリングでも自身に傷や凹みを付けてで
も人や落下物を守ってくれます。
表面に変な塗装をしない限りは冷たくすることもありません。
ただ、木の我が儘を少し聞いてあげるだけで良いのですが
それが我慢できないのであれば無垢材と
あなたの相性が合わなかったと言う事で、
木に文句をガタガタ言わずに潔くあきらめた方が無難です。
木の我が儘とは、よく聞きますが割れたり、
反ったり、曲がったりが中心です。
我が儘と言うよりは木ってのはそういうヤツなのです。
強引に割れ、反り、曲がりを抑えようとするからおかしなことになります。
床材を例に挙げると無垢フローリングにウレタン塗装を施したり、
木材を薄くスライスして合板フロアーに姿を変えたりです。
表面が硬くて傷が付き難いけど、
ちゃーんと傷が付く床で快適に過ごせますか?
凹みに強くてかちかちでも、
やっぱり凹んでしまう床材はきれいに修理ができますか?
キャスターに強くても、キャスター傷が付く床で満足ですか?
比較対象は調べましたか?
擦り傷につよくても、
傷が付く床でさらに修理ができない床で満足ですか?
ワックスフリーで15年、
ワックス塗布で死ぬまで使えるのであればどちらを選びますか?
防ダニ加工が施されている床の上で
赤ちゃんを安心してハイハイさせられますか?
静電気が発生して埃を寄せ付ける床で清潔に生活ができますか?
結露→カビ→ダニ→アレルギー。
ダニ抑制作用の前に考えることは無いですか?
色んな価値観があるので何が正解と言う訳ではないのですが
私はできる限り人体に影響が少なくて
安心して長く使えるものを選ぼうと思っております。

木材コンシェルジュ

執筆・監修者情報:前田英樹(株式会社五感 代表取締役)

前田英樹氏は、無垢フローリングおよび剣道場床の専門家です。吉野材専門問屋や木材小売業での経験を経て、2008年に株式会社五感を設立。東京・新木場で無垢フローリング専門店「木魂」を運営し、ショールーム「ゆらぎ」では多種多様な無垢材を提供しています。

また、「剣道場床建築工房」を運営し、剣道場の床設計・施工を専門に手がけています。剣道五段の有段者として、国産スギ材を使用した剣道場専用床材を開発し、剣道に適した「弾性剣道場床」を推奨。足腰の負担を軽減し、剣士のパフォーマンス向上と安全性の確保を重視した床づくりを行っています。全国の大学や道場で採用され、高い評価を得ています。

FSCおよびPEFC/SGECのCoC認証を取得し、木材のトレーサビリティを重視。武道学会賛助会員。日本剣道振興協会賛助会員。各種メディアへの寄稿や講演も行い、業界内で信頼されています。

株式会社五感 公式サイト
無垢フローリング専門店木魂: https://www.muku-flooring.jp/
剣道場床建築工房: https://kendoujou.com/

木材の真比重と気乾比重

投稿日:2016年03月11日

ちょいとメモ代わりに…
木材実質の比重は樹種による差はほとんどなく約1.5g/cm3で水に沈みます。
この比重のことを真比重と呼んでいます。

真比重に対して、木材を乾燥させた時の重さと
同じ体積の水の重さを比べた値を気乾比重と呼んでいます。
一般的に木材の比重と言う場合は気乾比重を指しています。
気乾比重は、木材の硬さや強度を表す基準とも言えるものですが、
計測する木材の水分含有量や、心材・辺材など木材のどの部分を
計測するかなどで値は変わってきます。

生材密度           生状態の密度

気乾密度(気乾比重)   気乾状態での密度

全乾密度(全乾比重)   含水率0%での密度

真密度 (真比重木材の空隙を一切取り除いた実質の密度で、細胞壁の密度と考える。)真密度(真比重)は、樹種によらず約1.5g/cm3 で一定。 


容積密度 未乾燥時の体積で全乾状態の重量を除したものどんな木でも真密度(真比重)は同じと言う事です。

 

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執筆・監修者情報:前田英樹(株式会社五感 代表取締役)

前田英樹氏は、無垢フローリングおよび剣道場床の専門家です。吉野材専門問屋や木材小売業での経験を経て、2008年に株式会社五感を設立。東京・新木場で無垢フローリング専門店「木魂」を運営し、ショールーム「ゆらぎ」では多種多様な無垢材を提供しています。

また、「剣道場床建築工房」を運営し、剣道場の床設計・施工を専門に手がけています。剣道五段の有段者として、国産スギ材を使用した剣道場専用床材を開発し、剣道に適した「弾性剣道場床」を推奨。足腰の負担を軽減し、剣士のパフォーマンス向上と安全性の確保を重視した床づくりを行っています。全国の大学や道場で採用され、高い評価を得ています。

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剣道場に使用する木材について

投稿日:2016年01月29日

木材に油(oil)が乗っているからあーだこーだという方がいらっいますが私は木に油があるとは思っていません。
もし、そこに油(oil)が有ればそれこそ日本は世界有数の産油国と言われることでしょう。

油とよく間違えられるのはエキスではないかと思います。
エキスが少ない木は、鉋で仕上げた際にパサパサ感が残りますし触った感触もピタッとこない事が多いようです。
自然乾燥をメインで乾燥した木材と人工乾燥で乾燥した木材とでは同じ鉋仕上げでも見た目も触った感じも異なります。
どんな人工乾燥機でも自然乾燥に比べて木材に負荷が掛かるでしょう。
人工乾燥は、自然乾燥に比べると急激な乾燥になるために水分と一緒にエキスが出ていったり内部割れが発生したりなど木材には少し酷な乾燥方法だと思います。
様々な人工乾燥機には、木酢と言ってエキスを貯める管がある事が多いです。
その木酢を薄めて木酢液として販売されている事も多いようです。
このエキスが有るか無いかで人の肌に合う合わないほどの差も出てきます。

時間は掛かるけれども急いで希望に沿わない材料を収めるよりも時間と手間が掛かるけれど納得のいく品物を納品する様に心がけています。
木材って設計士さんにはなかなかご理解頂けないのが残念でなりません。
建築士の試験内には、木材についての設問が1~2問だとか…そりゃ勉強しないよなぁ。。。
杉・上小節・カンナ仕上げ・含水率〇〇%位では、残念ながら同じスペックの木材は届きません。
そんなに自分が思うような木材を仕様に入れたいのならもう少し木材を好きになって勉強した方が良いと思います。

私たちが剣道場床で使用する木材仕様書には、原木の選別、製材工程、乾燥工程、加工工程なども記載しています。
例えば、自然乾燥する際の桟の大きさや高さまで指定しています。
もちろん乾燥期間も設けています。
それぞれ意味がって指定しているのです。
一般住宅などを主に設計する設計士さんとお城やお寺を設計する設計士さんどちらの設計士さんとも一緒に仕事はするのですが、どちらかはどれだけ説明しても分かってくれない設計士さんが多いです。
じゃぁ好きにすればと突き放すと、責任の所在が云々閑雲…  最近、設計士さんとの相性が悪いみたいです。

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木材コンシェルジュ

執筆・監修者情報:前田英樹(株式会社五感 代表取締役)

前田英樹氏は、無垢フローリングおよび剣道場床の専門家です。吉野材専門問屋や木材小売業での経験を経て、2008年に株式会社五感を設立。東京・新木場で無垢フローリング専門店「木魂」を運営し、ショールーム「ゆらぎ」では多種多様な無垢材を提供しています。

また、「剣道場床建築工房」を運営し、剣道場の床設計・施工を専門に手がけています。剣道五段の有段者として、国産スギ材を使用した剣道場専用床材を開発し、剣道に適した「弾性剣道場床」を推奨。足腰の負担を軽減し、剣士のパフォーマンス向上と安全性の確保を重視した床づくりを行っています。全国の大学や道場で採用され、高い評価を得ています。

FSCおよびPEFC/SGECのCoC認証を取得し、木材のトレーサビリティを重視。武道学会賛助会員。日本剣道振興協会賛助会員。各種メディアへの寄稿や講演も行い、業界内で信頼されています。

株式会社五感 公式サイト
無垢フローリング専門店木魂: https://www.muku-flooring.jp/
剣道場床建築工房: https://kendoujou.com/

製材所へ

投稿日:2015年12月23日

15年ほど前にさわっていた材料をしっかり覚えているもんですね。
まさか、産地の方でお世話になるとはあの時は全く思っていなかったなぁ…
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相互市場、八尾市場、全森連、吹上市場などなど懐かしい話ができました。
こんな出会いがあると本当に日々色々な方々に感謝しなくてはいけない。

 

木材コンシェルジュ

執筆・監修者情報:前田英樹(株式会社五感 代表取締役)

前田英樹氏は、無垢フローリングおよび剣道場床の専門家です。吉野材専門問屋や木材小売業での経験を経て、2008年に株式会社五感を設立。東京・新木場で無垢フローリング専門店「木魂」を運営し、ショールーム「ゆらぎ」では多種多様な無垢材を提供しています。

また、「剣道場床建築工房」を運営し、剣道場の床設計・施工を専門に手がけています。剣道五段の有段者として、国産スギ材を使用した剣道場専用床材を開発し、剣道に適した「弾性剣道場床」を推奨。足腰の負担を軽減し、剣士のパフォーマンス向上と安全性の確保を重視した床づくりを行っています。全国の大学や道場で採用され、高い評価を得ています。

FSCおよびPEFC/SGECのCoC認証を取得し、木材のトレーサビリティを重視。武道学会賛助会員。日本剣道振興協会賛助会員。各種メディアへの寄稿や講演も行い、業界内で信頼されています。

株式会社五感 公式サイト
無垢フローリング専門店木魂: https://www.muku-flooring.jp/
剣道場床建築工房: https://kendoujou.com/

木の導管が見えて感動した

投稿日:2015年10月29日

デジタル顕微鏡・Dino-Lite Premier M Polarizer 400x
使用して杉表面から導管を見る事ができました。
木材の様々な仕上げの違いを確認するために購入したのですが
刃物の違いや塗装の違いなど、私が見たいところまでは十分です。
doukan

 

 

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