化学物質過敏症と無垢フローリング|天然木ホルムアルデヒドのリスクを材木商が解説

投稿日:2025年12月05日
無垢フローリングショールームにて、化学物質過敏症の相談を材木商と行う様子
無垢フローリングショールームにて、化学物質過敏症の相談を材木商と行う様子

住まいづくりにおいて、誰もが願うのは「家族の健康」です。
特に化学物質過敏症(CS)やシックハウス症候群でお悩みの方にとって、室内の大部分を占める「床材(フローリング)」選びは、非常に切実な問題かと思います。

「天然の木なら安心なはず」
そう思って私たち材木商のもとへご相談に来られる方も多くいらっしゃいます。今回は、木のプロとしての見解と、皆さまにぜひ知っておいていただきたい「科学的な事実」についてお話しします。


無垢材ならホルムアルデヒドはゼロ?天然木から発散される成分の真実

「無垢材ならホルムアルデヒドは出ない」と思われがちですが、これには正確な理解が必要です。

近年の研究では、「木材そのものからも、ごく微量のホルムアルデヒドが自然に発散されている」ことが明らかになっています。

  • 天然由来の放出: 木材の主要成分であるリグニンやセルロースなどが、乾燥や熱などの過程で分解・反応し、ホルムアルデヒドが発生します。
  • 樹種による差: 木の種類によって発散量は異なりますが、完全に「ゼロ」という木材は存在しません。
  • 「F☆☆☆☆(エフフォースター)」の扱い: 無垢フローリングは「告示対象外」として、最高等級のF☆☆☆☆と同等以上に安全とされています。しかし、それはあくまで「接着剤による添加がない」という意味であり、天然由来の成分が含まれている事実は変わりません。

「天然成分」が刺激になることもあります

接着剤のような人工的な化学物質だけでなく、木材そのものが持つ「木の香り(精油成分)」に対しても、過敏に反応される方がいらっしゃいます。

  • フィトンチッドへの反応: ヒノキやスギの強い香りで気分が悪くなる
  • 天然の揮発性有機化合物: 木が本来持っている成分が、体質によって刺激となる

これらは一般的には「自然の恵み」とされるものですが、過敏症の方にとっては慎重に見極めるべきポイントとなります。


材木商ができること、できないこと

私たちは「木のプロ」として、以下のことは自信を持ってお手伝いできます。

しかし、「この床材なら、あなたの症状に絶対に影響を与えません」と断言することはできません。私たちは木材の専門家ではありますが、医学の専門家ではないからです。

化学物質過敏症の方が無垢フローリングを選ぶ際の3つの重要ステップ

化学物質過敏症の症状は非常にデリケートで、反応する物質や許容量は人によって千差万別です。せっかくの家づくりが、健康を損なう原因になってしまうことは、私たちにとっても本意ではありません。

そのため、以下のステップを強くおすすめしています。

  1. 専門医への相談: どのような成分(天然成分含む)に反応する可能性があるか、医師の診断を受ける。
  2. サンプルでの確認: 候補となる木材のサンプルを取り寄せ、実際に体調に変化がないか試す。
  3. 医師の指導のもとでの決定: サンプルを試した際の結果を医師に報告し、最終的なGOサインをもらう。

「最終的には専門の医師の指示に従って無垢フローリングを選ぶ」ことが、ご自身とご家族を守る一番の近道です。

結論として、化学物質過敏症の方にとって「無垢フローリング=安全」と一概に言うことはできません。
天然木であっても、体質によっては影響を受ける可能性があるため、最終的な判断は必ず専門医の指示に従うことが重要です。

このように、「自然のものだから100%無害」というわけではありません。だからこそ、私たちは材木屋としての経験則だけでなく、科学的な知見を前提に、お客様の主治医による医学的な判断を最優先に考えています。

 


【専門知識】研究機関が示す「天然木とVOC」の事実

「天然の木材なら安心」というイメージがありますが、専門の研究機関では、木材そのものから発散される揮発性有機化合物(VOC)について以下のような事実が報告されています。

  • 天然由来のホルムアルデヒド:
    木材の成分が乾燥や熱で分解される過程で、接着剤を使用していなくても微量のホルムアルデヒドが発生することが学術論文(早稲田大学など)で示されています。
  • 天然成分「テルペン類」の影響:
    森林浴効果の源である「α-ピネン」等の天然成分もVOCの一種です。高濃度や体質によっては、刺激や体調悪化を招く原因になり得ることが指摘されています(森林総合研究所など)。
  • 樹種による発散量の違い:
    樹種によって発散されるアルデヒド類の種類や量は異なります。特定の木に対してのみ反応が出るケースがあるのはこのためです(愛知県衛生研究所など)。

※参照:早稲田大学 博士論文「住宅における建材からのホルムアルデヒド放散に関する研究」日本住宅・木材技術センター報告書森林総合研究所「木質建材から放散される揮発性有機化合物の評価」


「自然のものだから100%無害」というわけではありません。
だからこそ、私たちは材木屋としての経験則だけでなく、
科学的な知見を前提に、お客様の主治医による医学的な判断を
最優先に考えています。

無垢フローリングと化学物質過敏症に関するQ&A

Q1. 無垢材ならホルムアルデヒドは「ゼロ」ですか?

A1. いいえ、厳密にはゼロではありません。接着剤を使用した合板とは異なり、木材そのものが成長過程や乾燥過程で生成する天然由来のホルムアルデヒドが微量に発散されています。多くの人には影響のないレベルですが、化学物質過敏症の方はこの微量な天然成分に反応される可能性も否定できません。

Q2. 「F☆☆☆☆(エフフォースター)」の認定品なら安心ですか?
A2. F☆☆☆☆は建材から発生するホルムアルデヒドの発散量を等級化した規格です。無垢材(無塗装品など)は「規制対象外」として最も安全な区分に属しますが、これは「接着剤を添加していない」ことを示すものです。天然由来の放出成分については、医師の助言のもとサンプル等で確認することをおすすめします。

Q3. どの樹種を選べば一番安全ですか?
A3. 反応には個人差が非常に大きいため、「この樹種なら100%安全」と断言することはできません。香りの強い樹種が苦手な方もいれば、特定の広葉樹に反応する方もいます。必ず専門医の指導のもと、実物サンプルで確認を行ってください。


サンプル請求・ご相談について
医師の先生とのご確認用として、無塗装品や特定の樹種のサンプル送付も承っております。材木商として、精一杯サポートさせていただきますので、お気軽にお申し付けください。

 

まずはショールームで、木の香りを確かめてみませんか?

化学物質過敏症の方にとって、実物の確認は非常に大切です。
無垢フローリング専門ショールーム「ゆらぎ」では、
主治医の先生とのご相談用サンプルのご用意も承っております。


ショールーム「ゆらぎ」の詳細・アクセスはこちら

木材コンシェルジュ

執筆・監修者情報:前田英樹(株式会社五感 代表取締役)

前田英樹氏は、無垢フローリングおよび剣道場床の専門家です。吉野材専門問屋や木材小売業での経験を経て、2008年に株式会社五感を設立。東京・新木場で無垢フローリング専門店「木魂」を運営し、ショールーム「ゆらぎ」では多種多様な無垢材を提供しています。

また、「剣道場床建築工房」を運営し、剣道場の床設計・施工を専門に手がけています。剣道五段の有段者として、国産スギ材を使用した剣道場専用床材を開発し、剣道に適した「弾性剣道場床」を推奨。足腰の負担を軽減し、剣士のパフォーマンス向上と安全性の確保を重視した床づくりを行っています。全国の大学や道場で採用され、高い評価を得ています。

FSCおよびPEFC/SGECのCoC認証を取得し、木材のトレーサビリティを重視。武道学会賛助会員。日本剣道振興協会賛助会員。各種メディアへの寄稿や講演も行い、業界内で信頼されています。

株式会社五感 東京都江東区新木場1-6-13 木のくに屋ビル4F 公式サイト
無垢フローリング専門店木魂: https://www.muku-flooring.jp/
剣道場床建築工房: https://kendoujou.com/

12月14日(日)新大阪開催!遮音等級L45でもフカフカ、フワフワし難い直貼り無垢フローリング&挽き板フローリング踏み心地体験会

投稿日:2025年11月20日

 

ご好評につき、12月14日(日)9~16時 14回目の開催です!!新大阪駅近くで遮音等級L45でもフカフカ、フワフワし難い直貼り無垢フローリング挽き板フローリングの踏み心地体験会を開催します。

◆展示予定商品◆
マンション用遮音等級LL45(ΔLL(Ⅰ)-4)商品
木魂防音無垢フローリング
挽板直貼りフローリング

マンションの管理規約内には、床材を改修リフォームする際には遮音等級LL45以上のフローリングを推奨されている場合が多くみられます。遮音等級LL45は最近ではΔLL(Ⅰ)-4に置き換えられることが多いですが、上記2つの商品はLL45にもΔLL(Ⅰ)-4にも対応します。Δはデルタと読みます。
遮音等級LL45・ΔLL(Ⅰ)-4のフローリングは、一般的に歩行感がフカフカ、フワフワすると言われております。弊社では、遮音等級遮音等級LL45・ΔLL(Ⅰ)-4でもフカフカ、フワフワ感を低減した直貼りフローリングを開発しました。

マンションでの無垢フローリングの採用を様々な理由であきらめていらしたお施主さまに、ぜひご体感いただければ幸いです。

直貼りフローリング表面は、無垢材15㎜の木魂防音フローリング(総厚27㎜)と無垢材挽板(2㎜)の挽板直貼りフローリング(総厚12㎜)の2つご用意があります。両方とも、自然オイルワックス塗装SSGガラス塗装、ウレタン塗装など様々な塗装に対応しております。特に表面に塗膜を作らない自然オイルワックス塗装、SSGガラス塗装は、ウレタン塗装などの造膜型塗料とは異なり、無垢材そのものの暖かさ、柔らかさ、香り、自然な木目をマンション空間で実現可能です。

「あっ!」気が付いた人だけが本物の木の優しさを体感できる


◆展示予定商品◆

マンション用遮音等級LL45(ΔLL(Ⅰ)-4)商品
木魂防音無垢フローリング
挽板直貼りフローリング

日時: 12月14日(日)9~16時
場所:〒532-0011 大阪府大阪市淀川区西中島5丁目14−10
新大阪トヨタビル・アットビジネスセンターPREMIUM新大阪908号室
新大阪駅からの道のり.Pdf

ご予約問合せ:03-3522-4169
kodama@muku-flooring.jp

※あくまでも踏み心地の体験会です。樹種においては限定されております。
※フリーでご体感いただけますが、ご予約を優先とさせていただきます。
※駐車場の準備はございません。近隣のコインパーキングをご利用ください。

 

L45 マンション用 直貼りフロアー

別記事:遮音フローリングの踏み心地がフカフカするのですが…

 

別記事:我が家のマンションは、無垢フローリングに張り替える事が可能なの???
チャートを使って3つの工法から選べる遮音性能LL45対応マンション無垢フローリング

 

これまでの体験会in新大阪
第13回 日時: 10月13日(日)9~16時
第12回 日時: 9月15日(日)9~16時
第11回 日時: 7月13日(日)9~16時
第10回 日時: 6月1日(日)9~16時
第9回 日時: 4月20日(日)9~16時
第8回 日時:3月9日(日)9~16時
第7回 日時: 1月26日(日)9~16時
第6回 日時:11月24日(日)9~16時
第5回 日時:10月20日(日)9~16時
第4回 日時:8月31日(土)9~16時
第3回 日時:6月16日(日)9~16時
第2回 日時:5月25日(土)10〜17時 ・26日(日)9~16時
第1回 日時:4月13日(土)10〜17時 ・14日(日)9~16時

 

木材コンシェルジュ

執筆・監修者情報:前田英樹(株式会社五感 代表取締役)

前田英樹氏は、無垢フローリングおよび剣道場床の専門家です。吉野材専門問屋や木材小売業での経験を経て、2008年に株式会社五感を設立。東京・新木場で無垢フローリング専門店「木魂」を運営し、ショールーム「ゆらぎ」では多種多様な無垢材を提供しています。

また、「剣道場床建築工房」を運営し、剣道場の床設計・施工を専門に手がけています。剣道五段の有段者として、国産スギ材を使用した剣道場専用床材を開発し、剣道に適した「弾性剣道場床」を推奨。足腰の負担を軽減し、剣士のパフォーマンス向上と安全性の確保を重視した床づくりを行っています。全国の大学や道場で採用され、高い評価を得ています。

FSCおよびPEFC/SGECのCoC認証を取得し、木材のトレーサビリティを重視。武道学会賛助会員。日本剣道振興協会賛助会員。各種メディアへの寄稿や講演も行い、業界内で信頼されています。

株式会社五感 東京都江東区新木場1-6-13 木のくに屋ビル4F 公式サイト
無垢フローリング専門店木魂: https://www.muku-flooring.jp/
剣道場床建築工房: https://kendoujou.com/

LL45直貼りフローリングに上貼りはNG|遮音等級は維持できず低下【マンション改修】

投稿日:2025年11月11日
LL45直貼りフローリングに上貼りはできないの?
LL45直貼りフローリングに上貼りはできないの?
LL45直貼りフローリングに上貼りはできないの?

LL45直貼りフローリングに上貼りすると遮音性能は必ず落ちる|マンションリフォームで最も誤解される“危険な施工”を徹底解説

 

結論

LL45直貼りフローリングの上に別のフローリングを上貼りしても、遮音等級LL45は保持できません。性能はむしろ低下します。

理由は、上貼りによって床の質量と剛性が増え、固有振動特性が変わり、軽量床衝撃音(LL)帯の振動が伝わりやすくなるためです。

また、メーカーが提示する「LL45」はあくまでスラブに直貼りした試験条件の値であり、現場の遮音性能を保証する制度ではありません。

LL45対応材を重ねても性能は保証されません。LL45直貼り材はスラブに施工して初めて性能を発揮するためです。

LL45とは?|直貼り構成(スラブ+接着剤+クッション+表層)の性能である

LL45は、軽量床衝撃音(LL)に対する遮音等級で、スリッパ歩行音や小物落下音などの軽い衝撃音がどれだけ下階へ伝わりにくいかを評価する指標です。

重要なのは、LL45は床材単体の性能ではなく「スラブ+接着剤+クッション層+表層材」という床構造全体の性能であるという点です。

なぜ上貼りで遮音性能が落ちるのか

1. 上貼りで床が「重く・硬く」なることで軽量衝撃音が悪化する

軽量衝撃音は「硬くて重い床ほど伝わりやすい」という性質があります。上貼り施工は床の剛性を上げてしまうため、LL45を満たしにくくなります。

2. 直貼りの遮音の命である「クッション層のたわみ」が失われる

直貼りフローリングは裏面のクッション層が衝撃を吸収することで性能を発揮します。しかし上貼りによって荷重が増し、クッション層が潰れて本来の遮音メカニズムが機能しなくなります

3. 上貼り状態の遮音データは存在しない(性能は保証不能)

直貼り材は上貼りを前提に試験されていないため、メーカーも性能を保証しません。構造が変わるため、表示等級を根拠にすることはできません。

LL45対応材にLL45対応材を上貼りしても性能は出ない理由

「LL45同士なら静かになるのでは?」という誤解が非常に多いですが、これは成り立ちません。

LL45の直貼り材は、あくまでスラブに直に施工したときに性能が成立します。

上貼りすると以下の問題が起き、遮音等級の根拠が完全に崩れます:

  • 直貼り接着剤の性能が正しく機能しない
  • クッション層が圧縮され機能喪失
  • 振動特性が試験体とは別物になる

そのため「LL45×LL45=より静か」には絶対になりません。

直貼りと二重床、スラブ厚の関係|現場で安定してLLを確保しやすいのは直貼り

一般的に誤解されている部分を明確に整理します。

  • 直貼りは“階高が取れないからの妥協”ではありません。 実務では、二重床より直貼りのほうが所定の遮音性能を確保しやすく、結果としてスラブを薄く設計できるケースが多いのが実態です。
  • ここでよく語られる「150mm」「200mm」はスラブ厚の話であり、階高(天井までの高さ)とは別概念です。
  • 「二重床のほうが遮音性能が安定して高い」というのも誤りです。 二重床は施工難易度が高く、現場差が大きいため性能のバラつきが出やすい工法です。

現場で安定した軽量床衝撃音性能を出しやすいのは直貼りです。

上貼りで起きるトラブル例

  • コツコツ音の増加
  • 下階からのクレーム
  • 建具干渉・段差発生
  • 接着界面の多層化による浮き・鳴き
  • 管理組合審査での却下

管理規約のLL45の落とし穴

管理規約の「LL45以上であれば可」という記述は、

「上貼りでもLL45が出ますよ」という意味ではありません。

規約はあくまで最低基準であり、実際の遮音性能の維持は施工者・施主の責任です。

正しいリフォームの選択肢

1. 既存直貼りの撤去+直貼り仕様での貼り替え(最推奨)

遮音性能を維持したい場合はこれ一択です。

2. 管理組合へ「上貼り不可」判断の確認

後のトラブル回避に有効です。

3. 建具クリアランス・納まりの事前チェック

上貼りは段差・干渉問題を起こしやすいため、当たり前ですが設計段階で解決する必要があります

よくある質問(FAQ)

Q1:既存LL45の上に、LL45対応材を上貼りすればさらに静かになりますか?

なりません。逆効果です。 LL45直貼り材はスラブに施工して初めて性能を発揮します。

Q2:メーカーのLL45表記があるなら安心ですか?

いいえ。カタログは特定条件での試験値であり、現場遮音を保証するものではありません。

Q3:直貼りと二重床、どちらが静かですか?

現場で安定した性能を出しやすいのは直貼りです。 二重床は施工の難しさから性能のバラツキが出やすい工法です。

Q4:上貼り以外に改善策はありますか?

最良策は既存撤去+直貼り仕様への貼り替えです。

Q5:LL45ではなく、LL40対応の直貼り材を上貼りしてもダメですか?

LL45よりも遮音等級が低い材を上貼りしても、既存のクッション層は潰れるため、性能はやはり保証されません。管理規約違反のリスクは残ります。

Q6:上貼り後に薄いカーペットを敷けば、遮音性能は回復しますか?

カーペットでは軽量床衝撃音の一部を緩和できる可能性はありますが、根本的な床構造の問題(剛性の上昇)は解決できません。LL45の等級を回復させる根拠とはなりません。

まとめ

  • 上貼りすると遮音性能は必ず低下する
  • LL45は床構造全体の性能であり、床材単体ではない
  • 直貼りは現場で安定した軽量衝撃音対策ができる工法
  • LL45同士を重ねても性能は保証されない
  • 管理規約のLL45は最低基準であり、性能保証ではない
  • 最適解は「既存直貼り撤去+直貼り仕様での貼り替え」

※遮音性能はスラブ厚・配筋・接着剤・施工精度など条件に依存しますが、上貼りが軽量床衝撃音を悪化させるリスクは系統的に高く、LL45の再現性は失われます。

 

上貼り可否の無料診断

図面(スラブ厚・床構成)や管理規約をお送りいただければ、上貼りの可否・想定リスク・最適工法を専門家が具体的に助言します。

  • 既存床:LL等級/厚み/クッション層の有無
  • スラブ厚・配筋(不明でも可)
  • 管理規約の改修条項(該当ページの写真で可)

 

関連:LL45挽き板フローリングマンション無垢フローリング施工時の注意点

 

木材コンシェルジュ

執筆・監修者情報:前田英樹(株式会社五感 代表取締役)

前田英樹氏は、無垢フローリングおよび剣道場床の専門家です。吉野材専門問屋や木材小売業での経験を経て、2008年に株式会社五感を設立。東京・新木場で無垢フローリング専門店「木魂」を運営し、ショールーム「ゆらぎ」では多種多様な無垢材を提供しています。

また、「剣道場床建築工房」を運営し、剣道場の床設計・施工を専門に手がけています。剣道五段の有段者として、国産スギ材を使用した剣道場専用床材を開発し、剣道に適した「弾性剣道場床」を推奨。足腰の負担を軽減し、剣士のパフォーマンス向上と安全性の確保を重視した床づくりを行っています。全国の大学や道場で採用され、高い評価を得ています。

FSCおよびPEFC/SGECのCoC認証を取得し、木材のトレーサビリティを重視。武道学会賛助会員。日本剣道振興協会賛助会員。各種メディアへの寄稿や講演も行い、業界内で信頼されています。

株式会社五感 東京都江東区新木場1-6-13 木のくに屋ビル4F 公式サイト
無垢フローリング専門店木魂: https://www.muku-flooring.jp/
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【お知らせ】11月22日(金)臨時休業のお知らせ

投稿日:2025年11月06日
【お知らせ】11月22日(金)臨時休業のお知らせ

平素より無垢フローリング専門店 木魂
剣道場床建築工房をご利用いただき誠にありがとうございます。

誠に勝手ながら、2025年11月22日(金)は
ビルメンテナンスのため休業とさせていただきます。
当日は電話・メールでのお問い合わせ対応もお休みとなります。

翌営業日より順次対応いたしますので、
お客様にはご不便をおかけいたしますが、
何卒ご理解のほどお願い申し上げます。

株式会社 五感
木材コンシェルジュ

執筆・監修者情報:前田英樹(株式会社五感 代表取締役)

前田英樹氏は、無垢フローリングおよび剣道場床の専門家です。吉野材専門問屋や木材小売業での経験を経て、2008年に株式会社五感を設立。東京・新木場で無垢フローリング専門店「木魂」を運営し、ショールーム「ゆらぎ」では多種多様な無垢材を提供しています。

また、「剣道場床建築工房」を運営し、剣道場の床設計・施工を専門に手がけています。剣道五段の有段者として、国産スギ材を使用した剣道場専用床材を開発し、剣道に適した「弾性剣道場床」を推奨。足腰の負担を軽減し、剣士のパフォーマンス向上と安全性の確保を重視した床づくりを行っています。全国の大学や道場で採用され、高い評価を得ています。

FSCおよびPEFC/SGECのCoC認証を取得し、木材のトレーサビリティを重視。武道学会賛助会員。日本剣道振興協会賛助会員。各種メディアへの寄稿や講演も行い、業界内で信頼されています。

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マンション管理規約の常識を疑え─二重床の仕上げ材にLL45が“不要な理由”

投稿日:2025年10月31日

マンション管理規約の常識を疑え──二重床の仕上げ材にLL45が“不要な理由”

 

『マンションの管理規約における床フローリング工事には遮音等級LL45以上の床材を使用すること』

この一文は、マンションの管理規約によく記載されています。
その他、同じような例としては以下のような文章もよく見受けられます。

例1
専有部分の床仕上げ材を変更する場合は、管理組合が定める遮音性能基準
(床衝撃音遮音性能LL-45以上)を満たす材料を使用し、施工しなければならない。

例2
(床材の変更)
第◯条 床材(フローリング等)を変更する場合は、管理組合の承認を必要とする。
2 承認を申請する場合は、床衝撃音遮音性能がLL-45以上であることを証明する資料
(試験成績書等)を添付しなければならない。
3 上記基準を満たさない工事は認めない。

例3
専有部分内の床仕上材をフローリングその他の材料に変更しようとする場合は、
当該材料がJIS規格等に基づく軽量床衝撃音遮音等級LL-45以上の性能を有することを
確認したうえで、管理組合に事前申請し、承認を得るものとする。

例4
床材の変更に際しては、管理組合指定の遮音性能(LL-45以上)を満たす製品を使用すること。
工事申請時には、製品の遮音性能試験結果(メーカー発行の試験成績書)の写しを添付すること。

どの例も、仕上げ材には遮音等級LL45以上の床材を使用することになっています。

ただ、これは不要な場合もたくさんあるんです。

 

多くのマンションでは、リノベーションやリフォーム時に「LL45以上の床材を使用すること」が管理規約や工事申請書に明記されています。しかし、実際の建築音響の原理から考えると、二重床構造のマンションで仕上げ材に「LL45性能」を求める必要性はほとんどありません。

それにもかかわらず、全国のマンション管理規約は“床材そのものにLL45性能を義務付ける”という矛盾した表現を使い続けています。本記事では、この問題の背景を建築の専門的視点から読み解き、施主が正しい判断をできるよう解説します。


 

先ずは、マンションにおける主な床構造を紹介いたします。
二重床構造と直貼り工法の木質フローリングです。
西高東低で直貼りフローリングが多いと言われています。
まずは、乾式二重床と直貼り木質フローリングの説明から…

乾式二重床

乾式二重床は、上部面材を防振ゴムを有する支持脚等で浮かした構造になっており。その多くはベースとなるパーティクルボードの上に仕上げ材となるフローリング等が施工される。また、居室への踏み込みや家具などの設置による沈み込み値作の為に。室四週の壁際の仕様は、やや硬いゴム支持脚や在来木質根太等が使われることが多い。さらに壁との取り合い部分には巾木が取り付けられる。軽量点・重量床衝撃音レベル・低減量が比較的大きい乾式二重床は、 面材の中間層に下地合板やアスファルト系またはゴム系の重い製芯マットを追加した仕様のものが多い。 また、床下空間にグラスールなどの吸音材が挿入されたものもある。

軽量床衝撃音レベル低減量に影響を及ぼす主な要因として、 室四隅、壁際部の防振ゴムの使用、幅木の種類と取り付け方法、 隙間の有無、また室四周を除く一般部の防振ゴムの硬度、形状、断面や突起の有無、 制振マットの有無、吸音材の有無、床仕上げ、高さなどが挙げられる。また、重量衝撃音レベル低減量に関しては、幅木とフローリングの隙間による上部面材とコンクリートスラブ間の空気層の空気抜けの程度、 上部面材の面密度と剛性が影響要因として挙げられる。 床仕上げ材として直張り木質フローリング、カーペット、塩ビシート、畳、薄畳などを施工した場合の 軽量衝撃音レベル低減量は、仕上げ材の低減性能に大きく左右される。

 

直張り木質フローリング

直張り木質フローリングは、直床の下地のクッション層からなる、木質部の基材には合板やMDF(中密度繊維板)が使われることが多いが、それ自体は材料が硬すぎるため鋸溝加工を施し柔軟化することで、軽量床衝撃音レベル低減量が大きくなる。
 上部の木質部分は、柔らかい方が軽領主化衝撃音レベル低減量は大きくなるが、歩行感の悪化や床鳴りを発生させることもある。株のクッション層は、柔らかさが適度な材料であれば熱いほど軽量床衝撃音レベル低減量は大きくなる。ただし、この場合も歩行感とのバランスが重要となる。また、クッション層の厚さが十分であっても材質が硬い場合には、軽量床衝撃音レベル低減量が極端に小さくなることもあるので注意を要する。

 

遮音等級 軽量音(LL)椅子・物の落下音等 重量音(LH)足音・走り回る音等
L-35 通常では聞こえない ほとんど聞こえない
L-40 ほとんど聞こえない かすかに聞こえる
L-45 小さく聞こえる 意識するほどではない
L-50 聞こえる 小さく聞こえる
L-55 発生音が気になる 聞こえる
L-60 発生音がかなり気になる よく聞こえる
項目 説明 LL-40 LL-45 LL-50 LL-55 LL-60
床衝撃音 ひとの歩き回り/飛びはねなど かすかに聞こえる・遠くから聞こえる感じ 聞こえるが意識することはあまりない 小さく聞こえる 聞こえる かなり聞こえる
床衝撃音 いすの移動音/おもちゃの落下音など ほとんど聞こえない 小さく聞こえる 聞こえる 発生音が気になる かなり気になる
生活実感・プライバシー 上階の生活気配 上階の物音がかすかにする・気になることは少ない 生活の多少を感じる・スプーンを落とすとわずかに聞こえる 生活状況がある程度わかる・話し声が聞こえる 生活行為や話し声が分かる・椅子移動音が聞こえる かなり明確に聞こえる

 

項目 説明 LH-30 LH-35 LH-40 LH-45 LH-50 LH-55 LH-60 LH-65 LH-70 LH-75 LH-80
床衝撃音 子供が飛び跳ねる音/重い物音 通常では聞こえない ほとんど聞こえない 遠くから聞こえる 聞こえても意識しない 小さく聞こえる 聞こえる 良く聞こえる 発生音がかなり聞こえる うるさい かなりうるさい うるさくて我慢できない

1. 結論:二重床なら、仕上げ材のLL45性能はほとんど不要です

先に結論を言うと、マンションの二重床構造において遮音性能(LL値)を決めているのは「床材」ではなく「床構造」です。二重床の支持脚、防振ゴム、床下空気層、スラブ厚、床パネルの質量といった要素が遮音性能のほぼ全てを左右します。

したがって、本来は「LL45の床材を使用すること」という管理規約がなくても、二重床そのものがLL45を十分に確保しているケースが大半です。


2. 技術的根拠:LL値は“床材単体”ではなく“床全体”で決まる

(1)二重床は「遮音システム」である

二重床の遮音性能は、以下の要素の組み合わせで成立します:

  • スラブ厚(180mm〜220mmなど)
  • 防振ゴム付き支持脚
  • 床下空気層の厚み
  • 床パネル・捨て貼り合板の質量
  • 構造全体の固有振動特性

これらが衝撃エネルギーを吸収・分散し、LL45相当の性能を担保しています。ここに仕上げ材が貢献する割合は極端に小さいのが現実です。

(2)LL45は「床構造の性能」であり、材料の性能ではない

しばしば誤解されていますが、LL45とは「材料の性能」ではなく「床構造全体の性能ランク」です。LL値の測定は、仕上げ材単体ではなく、床全体を一体のシステムとして評価します。

つまり、仕上げ材に“LL45性能を持たせる”という表現自体が技術的には正確ではありません。

(3)直貼りと二重床は別物である

直貼り工法では、仕上げ材の裏面クッション材や厚みによって遮音性能が大きく変わるため、「材料選びが遮音性能を左右する」という考え方が正しい場面があります。

しかし、二重床では全く別の物理が働くため、この直貼りの考え方を二重床にそのまま持ち込むと誤解が生まれます。これが「仕上げ材にもLL45を求めるべきだ」という不適切なルールに繋がっています。


3. それでも管理規約が“LL45床材”を求める理由(制度の矛盾)

(1)管理会社がリスク回避を最優先するから

音のクレームは管理会社にとって最も厄介な相談です。建築音響の知識が乏しい管理会社は、「LL45と書いておけば安心」という理由から、一律でLL45を義務付ける表現を採用しがちです。

(2)理事会も建築の専門家ではない

多くの理事会メンバーは一般居住者であり、床衝撃音の測定方法やスラブ厚の影響を理解していません。そのため、「とりあえず LL45 を求めておけば安全だろう」という曖昧な判断で規約が運用されます。

(3)規約が改正されないまま20年以上残り続ける

最も大きな問題はこれです。マンションの管理規約は、竣工当初に作られた古い知識をベースにしており、その後の建築基準・音響技術の進歩が反映されないまま、20年、30年と使われ続けています。

遮音設計がまったく違う時代の「古い常識」が、現在のマンションにもそのまま適用されているのが現実です。

(4)管理組合は「万が一」だけを恐れている

音に関するトラブルが起きた場合、原因調査・立ち会い・理事会対応は多大な労力が必要です。そのため、管理組合は技術的妥当性よりも「クレーム回避」を優先し、安全側に倒した規約を温存します。


4. リフォーム現場の実態:結局ほとんどの施主はLL45を選ぶ

技術的には不要である場面が多いにも関わらず、現実にはほとんどの施主が「LL45相当の床材」を選びます。

  • 管理規約をスムーズに通したい
  • 管理会社との無用なトラブルを避けたい
  • “LL45”と書いてあるほうが安心感がある

つまり、性能ではなく「制度上の理由」で選ばれているのです。


5. 専門家としての推奨:どう判断すべきか?

(1)技術的事実を理解する

二重床の遮音性能は、床材ではなく床構造が担っています。これは建築音響の基本原則です。

(2)制度と現実の運用も理解する

管理規約がLL45を要求している限り、技術的には不要でも、承認を得るためにはLL45床材を使用する方が総合的に見て合理的です。

(3)“正しい知識を持って選ぶ”ことが最も重要

「本来不要である」
「でも制度上は求められる」
「仕上げ材のLL45は安心材料として使われている」

この3つを理解した上で選択することが、最もストレスの少ないリフォーム計画につながります。


6. まとめ:仕上げ材LL45は“制度の都合で生まれた常識”

二重床の遮音性能は、床材ではなく“床全体の構造”によって決まります。仕上げ材のLL45は本来必要ない場面が多いにも関わらず、管理規約が改正されないまま過去の基準が残り続けたことで、「LL45の床材を使うのが当たり前」という文化が形成されました。

しかし正しい知識を持てば、リフォームで余分な不安や誤解を抱えずに済みます。制度的な要件と技術的な実態を分けて考えることで、施主にとって最適な床材選びができるようになります。

本当に必要なのは「LL45の床材」ではなく、「正しい理解」です。

 

無垢フローリング専門店木魂では、マンション用直貼り無垢フローリングをたくさんラインアップしております。

 

 

木材コンシェルジュ

執筆・監修者情報:前田英樹(株式会社五感 代表取締役)

前田英樹氏は、無垢フローリングおよび剣道場床の専門家です。吉野材専門問屋や木材小売業での経験を経て、2008年に株式会社五感を設立。東京・新木場で無垢フローリング専門店「木魂」を運営し、ショールーム「ゆらぎ」では多種多様な無垢材を提供しています。

また、「剣道場床建築工房」を運営し、剣道場の床設計・施工を専門に手がけています。剣道五段の有段者として、国産スギ材を使用した剣道場専用床材を開発し、剣道に適した「弾性剣道場床」を推奨。足腰の負担を軽減し、剣士のパフォーマンス向上と安全性の確保を重視した床づくりを行っています。全国の大学や道場で採用され、高い評価を得ています。

FSCおよびPEFC/SGECのCoC認証を取得し、木材のトレーサビリティを重視。武道学会賛助会員。日本剣道振興協会賛助会員。各種メディアへの寄稿や講演も行い、業界内で信頼されています。

株式会社五感 東京都江東区新木場1-6-13 木のくに屋ビル4F 公式サイト
無垢フローリング専門店木魂: https://www.muku-flooring.jp/
剣道場床建築工房: https://kendoujou.com/