木材関連用語集1

1. ISO
ISOは国際標準化機構(International Organization for Standardization)の略でイソまたはアイエスオーといわれている。物質やサービスの交流を容易にし、知的活動や科学、技術、経済活動の分野での世界相互間の協力を発展させるため、工業製品の国際標準化、規格化を目的とする機関。
品質管理(管理のためのマニュアル、記録、データ整理など)を認定するためのISO・9000シリーズといったものもあり、最近はハウスメーカーや木工機械メーカーの間でも、国際的契約を有利にしたり、外部に対する存在感を強めるため、このISO認定取得へ動き出している。とくにヨーロッパなどでは製品調達のうえで普及している。
専門分野ごとに認定機関があり、日本においてはそうした機関を認定する日本適合性認定協会がある。
2. ISO14000シリーズ
環境マネジメントシステムを評価し認定する、ISO14000シリーズがあり、そして森林の環境マネジメントシステムを検討、論議する動きも活発になってきている。
このところ林業の話題には必ず環境問題が含まれる。とくに外材輸入の増大などによって林業経営が経済行為として成立しがたいとされている国内林業の場合は環境維持、保全を強調することによって林業の果たす役割の重要性をアピールすることなどが多く見られるようになってきた。広い立場で森林管理を考えると、環境の視野からの管理を考えることも必要になってきている。
3 . アセットセールス(assetsales )
ニュージーランド(NZ )材の記事の中にしばしばアセットセールスという言葉が出てくる。アセットはもともと資産の意だが、この場合のアセットセールスはニュージーランド国有林の森林資源の販売、立木の入札による販売を指す。
平成3 年、日本のジューケン・ニッショウ社(広島の住建産業と日商岩井の共同出資による現地法人)が、このアセットセールスに参加、落札している。
ニュージーランドの植林面積はざっと110 万ha 、西暦2020 年における輸出可能量は2 , 000 万㎥にも達するといわれ、再生産可能な森林資源であり、南洋材資源の枯渇化にともない日本の合板メーカーなどが着目・活用している。
4 .厚板落とし込み工法
国産材スギ中目材丸太からの厚板を木造住宅の中での面材・パネルにする工場が見られる。
一例をあげれば、スギ面材の基準寸法は厚さ3cm 、幅15cm、長さ4m といったもので、壁の場合、この厚板を柱と柱の間に落とし込んでいく、いわゆる“落とし込み工法” である。厚板だから壁材に用いれば全面が強度を保つ筋違(すじかい)の役割を果す耐力壁となり、床材として使えば床下の根太は不要である。
一方、幅だけを集成接着したものもあり、厚、長さは上記のものとほぼ同様だが、幅のほうは繰り返せば集成によって90cm ほどにまで広くなったいわゆるパネルになっていて、やはり壁、床、天井といったところに向けられる。なお加工機械メーカーも無人化によるこうした面材加工機の開発に意欲的である。
5 . IT 革命(IT :情報技術)
IT 革命とはIT を活用して革命的な仕組みを構築することを意味する。先進各国市場の成熟化、グローバル化、さらに環境問題や資源問題などに対応した持続的な経済・社会構造への転換が求められ、国際競争が激化する中で企業の生き残りをかけたIT 革命が進んでいる。他産業ではインターネットを活用し、メーカーの小売化による流通革命、在庫極小化や受注生産への生産構造改革、オープンな資材調達サイトの形成による系列破壊と再編、マーケット動向に迅速に対応した製品供給体制(SCM )の構築などのIT 革命がダイナミックに進んでいる。木材産業においても、木材を含めた住宅資材のネット販売やトータル的な住宅供給・建築システム(CALS)の構築、住宅建築業者の電子入札システムなど先駆的なIT 革命の取組みが始まっている。木材産業が先導し21 世紀のわが国の国土や「木の文化」を守るには、産業自身が21 世紀を生き残るためのIT 革命が必要なのである。
6 . IDC :インターネット・データ・センター
IDC はe ビジネスを支援する新しい、IT サービスで、インターネット上の共同コンピュータ・センターである。インターネットで情報提供やEC (電子商取引)を行う場合、サーバと通信回線、基本ソフトやアプリケーションソフトが必要となりますが、IDC は高性能サーバ(基本ソフトを含む)や高速通信回線を共同利用したり、自前のサーバを預かってくれるサービスである。インターネットでは全て自前で設備投資する必要はなく、IDC の他にもASP ではアプリケーションの提供、マーケットプレイスではサーバとEC ソフトを提供するサービス等があり、自社のIT 能力レべルや要員の状況に応じて選択できる。IDC を利用することで、サーバ・通信回線といったハードウエア利用とその運用・保守管理や高度なセキュリティーサービスを受けることができ、利用者は業務に専念できる。インターネットは10 年余の歴史ですが、既に様々 なIT サービスが提供されビジネスチャンスを広げており、さらに日々 発展していくと期待されている。
7 .アプキンド ニッピンド
アプキンド(APKIND )はインドネシア合板の輸出業者の集りであるインドネシア合板協会。一方、ニッピンド(NIPPINDO)はそのアプキンドの日本における輸入窓口。アプキンドの合板はこのニッピンドを通じて日本の商社や合板流通業者に販売されてきた。当初、ニッピンドを通して販売されるアプキンドの合板は型枠に限られていたが、その後、薄物合板、フロア合板もニッピンド経由になり、さらに平成4 年からは全品目ともニッピンド窓口となり一本化された経過があった。
平成4 年の日本における合板輸入量はざっと300 万㎥だったが、このうちインドネシアからの合板が93 %を占めていた。当時インドネシアには約120 の合板工場がみられた。なお量的には少ないものの、平成5 年以降サバ・サラワクのマレーシアからの合板輸入量も倍々ゲームの形でふえていった。
(注)平成14 年度の輸入量はおおよそ450 万㎥ でインドネシアからがおおよそ6 割を占める。
8 . RC  SRC
毎月、新設住宅着工量が国土交通省から発表されるが、その際の木材業界の関心事のひとつは木造と非木造の割合、木造率である。で、非木造というと一般にはRC やSRC のことであるが、RC ( reinforced concrete )は鉄筋とコンクリートで組み合わせた構造材料、鉄筋コンクリートのこと。
SRC ( steel framed reinforced concrete )は柱、梁などの鉄骨部材のほかに鉄筋とコンクリートを用いた構造で鉄骨鉄筋コンクリートのこと。普通、鉄筋コンクリートよりは高層建築物の構造体として利用される。
なおPC という言葉を耳にするが、これはプレキャストコンクリート(precast concrete )のことで、現場ですぐ取り付けや組み立てができるように、あらかじめ工場などで製作されたコンクリート製品・部材の総称。部材化は木造、非木造を問わず時代の流れである。
9 .合わせ梁
合わせ梁は、重ね梁ともいわれる。
大断面の梁材等を必要とするとき、木材単体では強度や剛性はそれほど期待できないが、木材同士あるいは他材料との複合で、さらに優れた性能の部材として利用することができる。
例えば、構造用集成材や、上下弦材(フランジ)に平割材程度の製材とし腹材(ウェブ)に合板等の面材料を用いたI型梁、箱型梁等が代表的な部材で、これらは工場生産による。
また、構造設計で特に高い曲げ性能等を必要としなければ、容易に現場加工によることができる合わせ梁も有効なものとして活用されている。
合わせ梁の一般的加工は、① 正角材2 ~3 材を接着剤、ボルト、特殊金物等を用いて一体化し住宅の二階梁、小屋梁とする③ 大径の丸太や太鼓材を、ボルトや丸鋼のダボで2 ~3 段重ねてスパンの大きいログハウス梁とする等が行われる。一体化した梁は角材の合計した性能より一層の向上が期待できるものとなる。
10 .生節 死節 抜け節
木は葉で生産された養分が枝から幹に伝わって肥大成長する。したがって幹と枝は一体的なものだ。で、枝があると節になるわけだが、節を大別すると① 生きている枝からの生節、②枯れ枝からの死節、③ また同じ死節でも製材した場合に抜け落ちてしまう抜け節とがある。
板に製材した場合、同じ節でも生節なら最近ではデザイン的な効果も果すが、死節とくに抜け節はもっとも嫌われ、加工工場では抜けたあとを木片で埋め込んだりしている。
もともと枝が枯れるのは上の枝や、隣り合わせの木との間隔が狭くなり幹の下の木に陽が当たらなくなるためだ。そこで死節、抜け節をつくらないためには樹高の真ん中あたりから下の枝を落としてやること。そしてあと年数がたてば枝を落とした後の節を巻き込んで辺材部は無節材にもなる。
11 . EC ( ElectronicCommerce :電子商取引)
木材の相対取引では一般的に見積、発注、支払といった流れで取引を行う。こうした商流をネットワーク(コンピュータと通信回線)を使って電子的に行うことをEC という。
インターネットが普及し、写真や音声などを扱うことが可能になったことで、EC が加速的に拡大している。インターネットに加入すれば、日本にいながら誰でも簡単に海外のブランド商品を画面で選び買い物ができるのである。
店舗の代わりにインターネットに仮想店舗を作るネットバンク、店頭現物販売ではなくオンラインで注文を受けるコンビニなど、EC はただ単に情報交換を行うのではなく、取引の道具として新しいビジネス展開の芽となっている。
木村業界でも、乾燥材のオファーに対し在庫を持つ取引先から相見積回答があり、条件の良い仕入ができれば、個店のメリットだけでなく、多段階の流通在庫が減少するなど、EC が業界にとって大きな効果を生むことになる。
12 . EW (Engineering Wood )
EWはEngineering Wood・エンジニアリングウッドの略であり、一般に使用目的が明確であり、性能のバラつきが少ないこと、強度性能が保証された木材、いわゆる工業化木材のことで、近年大きく脚光を浴びている。
代表的なエンジニアリングウッドは① 集成材、② 合板、③ MDF (中質繊維板)、④ LVL (単板積層材)、⑤ OSB ・ウエハーボード(木削片を圧縮成形したもの)などだ。なお商品名パララムというPSL (積層材)もある。MDF は家具向けが多く、建築内装壁や収納ユニットなどの基材に使用される。LVL は長押、鴨居などの建築内装用に使われるが柱や梁などの構造用への用途が広まりつつある。OSB ・ウエハーボードは建築用の屋根・床の下地材に利用されるが、日本ではまだ生産されていない。PSL は米マツなどを原料に柱、梁、まぐさ、桁などに向く。
なおエンジニアリングウッドの基本は造林木を原料にしていることである。
13 . EDI ( Electronic Data Interchange )
EDI は企業間のあらゆる情報流をネットワークで電子的に行うもので、EC (電子商取引)の基幹を構成する機能である。情報先端産業である流通業界では、スーパーやコンビニが毎日数百から数千品目の発注品目を決め、注文書を書くのが大変である。このため、POS (販売時点清報システム)で収集した販売情報を補充発注(EDI )に繋げる仕組みを構築することで、daily 発注や多頻度発注が可能となり、スーパーでは新鮮な商品を安く確実に仕入れでき、コンビニでは売れる商品を常に店頭にならべることが可能となったのである。木材業界の場合、発注は電話やFAX で充分、EDI で何が良くなるのか疑問に思われるであろうか?EDIによる工数削減メリットはないかも知れませんが、商流と物流を分離することで、例えば、施工工程情報を関連業界が共有し建築期間を2~3 カ月に短縮できれば、売上拡大や商圏拡大に結びつけることができるかも知れません。EDIはその1 つの道具なのである。
14 .色物
色物はappearance timber(体裁がよく、立派に見える木材)で役物のこと。つまり並材に対する欠点の少ない上級材で小節、上小節、無節、柾目材の特等級など上質の製材品を指す。
もともとは関西材界の用語で、関東で役物と称していたものを関西では色物と言っていた。いまでは米材上級製品については関東でも色物と呼んでいる。
ただし、こうした色物も米材にしろ、樹齢100 年以上の良材丸太であるオールド・グロース(old growth )の減少で先細りの傾向にある。
上級材といえば米材の場合、クリアー(clear )材がある。これは米材規格品の品位別の上材であり、日本の製材規格のほぼ上小節に当たる。
15 . インボイス(Invoice )
送り状、仕切り状のこと。売買契約によって物品の受け渡しが国際間で行われているとき、輸出業者が輸入業者に送る荷物の内容や金額を記した商用文書。
木材の輸入数量などは一般に財務省の通関統計によって把握するが、日本木材輸入協会の針葉樹(米材、北洋材など)輸入統計は、このインボイスによる。だから財務通関と若干の誤差がある。
16 . ウエニー キャンツ
ウエニー(Waney )、キャンツ(Cants )は米材の太鼓挽き、耳付き盤のことで同じ。日本木材輸入協会はキャンツもウエニーに統一している。アラスカからのものが多い。
なお、こうしたウエニー、キャンツは半製品とも呼ばれており、小角などの完製品とは分類されている。
今日、アメリカの丸太輸出が大幅に減少し、またこうした半製品を再割りする工場についても減少している。
17 . AQ ( Approved Quality )認証
木質建材の品質・性能を保証する制度としては、従来からの「JAS (日本農林規格)」がある。製材や合板にはこれが適用され、その適用範囲も新製品開発に伴い逐次拡大されてきたものの消費者のニーズは一層多様化・高度化。このため「JAS」だけでは対応できない新製品が多くなっている。
そこで登場したのが、「AQ 」制度で、この制度は、新しい木質建材などについて品質性能試験を行い、優良な製品にはAQ マークの表示が認められる。つまりAQ マークはJAS とともに信頼の目印である。
企業などから申請のあった製品は、(財)日本住宅・木材技術センターが品質・性能試験などを行う。その結果、判定基準に適合し、生産状況などから品質の安定性が十分保持できると認めた製品を認証。認証を受けた製品には、前述のとおりAQ マークが製品に表示される。
18 . HS コード(Harmonized Commodity Description and Coding System ) 「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約」で定められた商品分類コード。国際貿易、貿易統計の収集、比較、分析を容易にすること等を目的としている。
HS コードは6 桁から成り、条約締結国が統一して使用する。6 桁の内、上2 桁を「類」、上4 桁を「項」、上6 桁を「号」と称し、99 の類が21 の部に分類されている。個別国がコードの適用範囲を変更することは許されないが、このコードをさらに細分するための、6 桁を超えるコードを加えることは許されている。日本の場合、6 桁のコードに3 桁の統計細分コードを付けて運用している。ちなみに薬剤等の処理をしていない針葉樹丸太のHS コードは440320 であり、このコードからは木材、木材製品であること(44類)、丸太であること(4403 項)、針葉樹丸太であること(440320 号)が読み取れる。日本ではこれに3 桁の統計細分コードを加えて、樹種の分類をしている。
19 . HDF ( Haakondahl Feet )
HDF はハーコンデルフィートのことで、NZ 材(ニュージランド材)の取引単位。新聞記事にもHDF とよく出る。
1HDF は0.03㎥、したがって1 , 000HDF は3㎥となるが、実際には100HDF ( 0 . 3㎥)で取引される。
NZ 材はラジアタパイン(マツ)が中心で、主として梱包材向け。造林木だが、産地では良材輸出をねらいに枝打ちにも力を入れている。日本の年間輸入量は(平成14 年現在)丸太を主に約150 万㎥となっている。
20 . SSソート(sort )
主にウェアーハウザー社の米マツや米ツガ丸太などの仕分け材のひとつ。セカンドグロス材(100 年生未満の若齢木、二次林木が多い)で、このセカンドグロス材はSS 、GC 、IS 、SC といった順に仕分けされている。とくにSC となると細木の低質材。マダラフクロウの保護から、オールドグロス(OG =100 年生以上の用材)は急速に減少、こうした目荒なセカンドグロス材が主流になっている。
ここ当分の間はSSより、むしろこれよりワンランク下のGC がふえる傾向にある。これは現地の二次林木がちょうど50 年生くらいの端境期にあるためで、あと数十年を経ればGC より上のSSもふえてこよう。
が、いずれにせよオールドグロスからセカンドグロスへの移行は現実で、こうした米材丸太の質的低下による業界への影響は極めて大きなものとなっている。
21 . S2S S4S
米材製品の記事のなかでS2S とかS4S とかいう用語がしばしば出てくる。S2S は2 面かんながけのこと、S4S は4 面かんながけのこと。
S2Sの場合はSURFACED(サーフェイシド・平にされた)、2 ( TWO ・ツー)、SIDES(サイド・側)の略。S4S は、2 が4 に変っただけである。
本国挽き米材製品のとくに柱・根太・筋かいのような構造用材は、荒挽き材でなくこうした二次加工品が主流になってきている。かんながけ製品の良い点は、① 見た目によい、② 歩切れがなく寸法が正確、③ 大工にすればスミがのりやすいことだ。
22 . SPF ( Spruce pine fir )
カナダBC 州の主として内陸部に生育するスプルース(とうひ属)パイン(松属)ファー(もみ属)を総称していう。
比較的小径木で、ツーバィフォー住宅用資材のカンナがけ製材品であるディメンションランバーなどに向けられる。堅い米ツガにくらべ釘が打ちやすく割れにくい特性を有する。
米ツガ・ディメンショランバーの関税は無税、SPFのそれは8 %であった。このため平成2 年当時、力ナダが「ガット(関税貿易一般協定)違反だ」と提訴、ガットのパネル(紛争処理小委員会)で審議されたが、「違反でない」と却下された経緯がある。
23 . Aソート Bソート
ニュージーランド材の製材用丸太には一般にA ソート(Sort )とB ソートとがある。A はB に対比して一番玉の上級材であり、普通、日本向け。長さ12m ものが量的に70 %、8m が25 %、4m が5 %といった混入率、末口平均径約35cm 。
B ソートはだいたいがニュージーランド国内向け、または韓国向け。長さ12m ものがおおよそ50 %、あと8m 、6m 、4m といったものがマチマチに混入されている。2 番玉くらいのもので末口平均径約27cm 。日本にもこのB ソートが少しずつ入っている。ニュージーランド材の製材用丸太は主に長さ、径級によって仕分けされており、米材のJ ソート(日本向け)、C ソート(中国向け)、K ソート(韓国向け)といった複雑な仕分けにくらべると簡素である。
24 . FAS
貿易用語で、① 船舶上で引き渡す本船渡しのFOB 、② また本船渡しの値段に仕向地までの保険料と運賃を加えたCIF のほかに③ FAS ( Free Alongside ship )がある。
FAS は船側渡し条件、舷側渡しのことで、売買する荷物を契約船の船側・舷側まで運べば売り手側の責任は終わる。この引き渡しは、ふ頭積みの際はふ頭の船側で済むし、沖積みのときはハシケ、または筏で船側まで運んで終了する。
これまで、このFAS は主として木材取引において行なわれてきたもので、米材丸太の多くは積み地の船側渡しで契約されてきている。船側から船への積み込み賃、運賃は買手側の負担となる。なお取引にはCIF にさらに手数料を加えた、つまり保険料・運賃・手数料込みのCIF & C などもある。
25 . FOB船 CIF船
主にロシア材に使われる用語で、FOB ( Free On Board )は本船渡しのこと。そのロシア材に例をとれば、売り主のロシアが、船積み港において買い主の日本側が手配した船舶に丸太を積み込み、船舶上で引き渡し、あとの運賃などは日本側の負担。分りやすくいえばFOB 船は日本船のことである。CIF ( Cost , Insurance and Freight )は上記の本船渡しの値段( FOB 値段)に保険料と運賃を加えたもの。つまり売り主のロシアが買い主である日本までの運賃なども負担するもの。だからこれも分りやすくいえばCIF 船とはロシア船のこと。
ロシアのCIF 船は通年就航しているが、日本のFOB 船は現地積み出し港が結氷することなどから就航はだいたい5 ~10月に限られている。
26 . F 値とE 値
室内空気の汚染が問題視され、最も一般的な室内空気汚染物質とされているのがホルムアルデヒドである。合板を用いた家具などから発散されたホルムアルデヒドによって目の痛みや頭痛を訴える例が出たことから、合板についてホルムアルデヒドの放出量によってランクを設け、0.05㎎/ℓ以下のものをFl 、0.5㎎/ℓ以下をF2 と定めた。
住宅資材としても合板が多く用いられるようになり、下地合板からのホルムアルデヒドによる室内空気汚染が問題となったことから、下地や新建材の台板に使用される合板のホルムアルデヒド値が注目され、木材建材業界においてもFl 、F2 という言葉が平成11年頃から一般化した。
また、合板に代わりMDF などの木質繊維板も多く用いられるようになったが、それらのランクはE で表され、E0 は合板のFl 、E 1 はF2 に相当する。ゼロという名称が付いているからといって、E0 の方がFl より上というわけではない。
(注)現行JAS  F☆☆☆☆ 0.5mg/ℓ以下、F☆☆☆ 0.5mg/ℓ以下など
27 . MSRランバー
( machine stress rated lumber )
木材の等級区分の方法には、節、丸身等の欠点を外観から評価した目視による区分、また強度とヤング係数との間に高い相関関係があることを利用した非破壊による機械的な区分がある。後者によってヤンク係数、曲げ強度等木材の強度性能を機械的(コンピュータを合む)に求め等級区分された材をMSRランバーと言う。
この測定因子となるヤング係数は、① いわゆるグレィディング・マシーン(木材に加わる荷重速度が比較的緩やかな場合のヤング係数と強度の関係を応用したもの)で算出する。これらはツーバイフォー製材、集成材ラミナ等小断面部材に適する。② 適当な荷重を加え、木材のたわみを検出して曲げヤング係数を測定する。③ 木材に打撃等衝撃を与えた時に発生する共振現象や振動を利用してヤング係数を算出する。が主な測定方怯である。
なお、「機械による曲げ応力等級区分を行う枠組壁工法構造用製材の日本農林規格」ではMSR製材としての規格が定められている。
28 . LVL :単板積層材
( Laminated veneer lumber )
LVL はロータリ単板やスライス単板を繊維方向をほぼ平行に積層接着した材料である。古くから馴染みの深い合板は単板を互いに繊維直行方向に積層した広板であり、また、集成材はひき板を積層接着している点で異なる。
特徴として、短材から長大材が作りやすい。さまざまな形状・デザインの製品が作れる。製品歩留まりが高く、高度な装置化が可能で、生産性が高い。薬品処理が容易である。使用単板の裏割れによる欠点が指摘される事もあるが、これら多くの長所から、利用拡大が急務のスギ造林木の利用法として注目されてきている。わが国の総需給量は平成14 年で概略19 万㎥、うち針葉樹68 %、輸入品75 %程度と推定される。現状では造作用が多いが、繊維方向の強度が高い木材の特性を生かした材料であるため、近年、木造建築における梁、根太など構造用軸材料としての利用があり、JAS でも「構造用単板積層材」として、別途、強度・耐久性などの性能が規定されている。
29 . MDF
木材を繊維状にほぐして成形熱圧し板にした製品のことを繊維板(ファイバーボード)と呼び、硬質繊維板(ハードボード)、軟質繊維板(インシュレーションボード)などがあるがMDF ( Medium Density Fiberboard メヂュアム・デンスティ・ファイバーボード)は中質繊維板のこと。
アメリカで生産されたのが始まりで家具用にもっとも多く使われているが、住宅の玄関・居間といったところの建築内装壁、また、収納ユニット・下駄箱などの基材として使用されている。素板のまま使用されることが少ないのでMDF が使われていることに気づかないことが多い。
国内の合板メーカーも生産しているが、エンジニアリングウッド( 工業化木材)として需要が高まり、最近は一定の輸入量が確保されている。
30 . OEM (相手先商標製品)
( original equipment manufacturing )
電気機械産業などでよく行なわれる方法で、自社ブランドを伏せて相手先ブランドによる部品や完成品を供給する際の商品のことである。大型小売店や大手商社などの自社ブランド商品の多くがOEM供給品である。
大型小売店や大手商社は大規模な販売チャンネルを持っているが、生産技術や生産設備を持っていないので、委託製品の形態でOEM 供給を受けるシステムをとっている。
OEM 供給には弱小メーカーが有名ブランドを頼って委託生産を受けるという下請け的色彩もあるが共存手段として利用することがある。
建築用製材品の場合でも製材メーカー自体が社名を刷り込まず、ハウスメー力一の社名が刷られた柱などを建築現場で目にすることがあるが、これも広い意味ではOEM であろう。ハウスメーカーの伸長とともにこの傾向は広まっていこう。
31 . OSB ( oriented strand board )
OSB (オリエンテッド・ストランド・ボード)は、繊維方向に揃えた、軸木のような木削片を接着剤で固めたボード。建築用の野地板とか床下地材などに使われる。アメリカやカナダで生産されているが、日本でも新しい木質材料として注目されてきている。樹種はアスペンなどが多い。
また、北米ではこれに似たウエハーボード(wafer board )も生産されているが、OSB との違いは木削片の並びが繊維方向にとらわれずランダムなこと。
品質についてはOSB のほうが上だとされている。
新しい木質材料が 次つぎと開発されてきた。
32 . 丘物問屋
丘物、水物については、輸入材に対する用語で、丘物は船から直接、陸地の岸壁埠頭へ下ろされ陸上に貯材された主に製材品。つまりアメリカやカナダなどで製材された現地挽き製品である。一方、水物は水中に貯材された木材、つまり外材の丸太やキャンツ(大鼓挽きの材)のたぐいである。水物は一度船から水面に落とされ、それが製材工場まで曳航されてきて製材品になる。丘物問屋は前段の丘物・現地挽き製品を扱う問屋のことで、製品置場・東京港15 号地を擁する東京新木場にはおおよそ300 軒(平成5 年現在)の丘物問屋がみられた。
今日、米材は製品輸入時代になっている。
33 .丘物 水物
輸入材に対する用語で、水物は丸太やキャンツ(太鼓挽きの材)のたぐい。船から水面に落下させて水中に貯材、それを製材工場などへ曳船することからきている。こうした引き取りを水面どりという。
丘物(おかもの)は主に現地挽きの製材品。これは船から直接、陸地の岸壁埠頭へ下ろすことからきており丘どりといわれている。米材、南洋材が丸太輸入から製品輸入へ移行したことにより、輸入港であった清水港(静岡)、田辺港(和歌山)などの製材工場の様子は激変している。
なお市売問屋、センター問屋といった呼称があるが、東京・新木場では現地挽き製品を扱う問屋のことを丘物問屋と呼んでいる。
34 .桶・樽
桶は細長い小幅の板(短冊状)を輪形に組立て、竹、銅、真鍮等のタガで組み締め木底をつけた円形の容器である。樽はこの容器に固定した木蓋(ふた)がついたものである。桶・樽の木製容器としての歴史は古く、天然サワラ、天然スギや年輪幅の均一な吉野スギ等の木材を用い、風呂桶、たらい桶、おひつ、漬物桶、また醤油・味噌樽、酒樽など日々 の暮らしに密接にかかわり利用されてきた。昭和30 年代中期からの家庭用電化製品、プラスチック容器などの台頭の中で姿を消したものも少なくないが、近年ではワインクーラー、花器、湯桶、すし桶等新たに多様な商品が製作され、自然素材の温かみ、手作りの良さ、健康志向等から見直されている。とりわけ、伝統的な器としてのイメージの中で、カラマツ、米マツ等木製の樽が耐水性、耐酸性や結露しにくいなどの特性を生かし、ビル内の飲料水を供給する木製貯水槽として、かなり利用されていることは特筆されよう。
35 .オールド・グロス セカンド・グロス
米材のオールド・グロス(Old growth )は老齢樹のことで、一般には天然木の樹齢100 年以上の用材適齢木。
これに対しセカンド・グロス(Second growth )はヤング・グロスともいわれ、普通、二次林からの樹齢100 年未満の若齢木を指す。問題は、オールド・グロスが資源的に年々 減少していること、そのうえ、米国北西部において生息するマダラフクロウを絶滅の危機から救おうという原生林保護運動が高まったことも影響して、適齢木・優良木の入手がきびしくなってきている。
36 . 加重平均価格
製品市売市場の中で加重平均価格という用語が出てくる。で、その加重平均価格とはなにか。
東京木材市売問屋協組連では月ごとに傘下市場で取り扱っている86品目について価格の検討(平成5 年現在)を行っているが、その中でとくに流通頻度の高い18 品目を選んで平均値を出しているが、それを加重平均価格という。
18 品目の内訳は、杉羽柄材がヌキ・平割・板の3 品目。杉角は柱・桁・長柱の3 品目。桧角は柱・土台・長柱の3 品目。松材は平角・タイコ・エゾタルキの3 品目。米材は母屋角・柱・平割・平角の4 品目。北洋材はエゾ平割・赤松平割の2 品目であり、その品目ごとに平均値を出し、それに各市場での入荷構成比率を掛けてその品目の値を決め、それを合計したものが加重平均価格となる。
37 .カスケード材・コースト材
カスケード材(Cascade log )は、ワシントン州、オレゴン州中央を南北に連なるカスケード山脈から産出される材で、成熟林からのものが多いだけに目が詰んでいる。
一方、コースト材(Coast log )は米太平洋沿岸部のコースト山脈から出る材で成育がよく、カスケード材に対比すると目荒材である。
カスケード材のほうが、日本側が好むだけにコースト材より産地価格が一般に高い。なお、材質的に中間的なものをセミカスケードとも呼んでいる。
38 . Custom Cut (カスタム・カット)
もともとは、custom (注文)に応じて製材された注文挽きのことで、日本の商社や木材問屋が米加産地の製材工場に丸太を買い与え品等・寸法を指示して賃挽きさせた製材品のことを指して言う。なお、日本の商社・問屋ではなく、たとえば平成元年当時マックミランなどの産地シッパーが独自に、前述のカスタムに準じた日本向けの品等・寸法で挽いた製材品をも指して広くカスタム・カットと呼んでいた。
39 . 型式適合認定
平成10 年6 月に公布された改正建築基準法の中で、建築基準の性能規定化がうたわれている。これは、その型式が一定の技術基準に適合することの認定を受ければ、多様な材料、設備構造方法を採用できる規制方式の導入を意味している。
性能規定には3 つの柱があって、それは以下の通り。① 性能項目、性能基準の明示とその検証のための試験方法の提示② 性能規定に対応した、申請者の負担軽減、確認審査の効率化を図る③ 従来の仕様規定は、性能基準を満たす例示仕様として政令・告示で位置づける。 この② の前提として、政令で定める一連の規定に適合するという建設大臣による認定(これを「型式適合認定」 という)が必要である。更には、規格化された型式の建築材料、設備、住宅等の製造者の認証(これを「型式部材等製造者認証」という)を行い得る。この認定を受けた基準については、建築確認・審査が省略できるとしている。
40 . SST (割裂片積層材)
森林総合研究所が、需要創出をねらいに開発したもので、長さ40~50㎝に切った小丸太、厚板をカッターで繊維と同じ方向に割裂細片化。その細長いストランド(木片)を乾燥し、接着剤を用い繊維方向を揃えて積層・熱圧すると製品が出来る。建築物の平面材としての需要が見込めるほか、厚くしたものを裁断することで柱などの構造材にも利用が可能である。原料には良質の大径材を必要とせず、スギやヤナギなど生長が早く軟らかい径1~5㎝の小径木、また間伐材、工場端材、建築廃材などで間に合う。歩留まりもよく立方メートル当りの製造原価は、月間1 , 000㎥生産した場合、パーティクルボードと同等、MDF の3 分の2 、合板の2 分の1 と木質ボード類の中では原価安だ。
ドの2 社だが、口本のマーケットをにらんで乾燥材(KD 材)などの付加価値製品の輸出に力を入れてきた0 (なお、この用語は企業がをくなったことから死語となっている。)

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