木材関連用語集2

41 .金具工法
木造軸組住宅構造材の継手・仕口を工場機械プレカットほどには刻む必要がないとされている金具工法が浸透している。メタル(金属)工法とも呼ばれる。たとえば接合に厚さ3.2mmの鋼板と径12㎜のボルトなどを組み合わせて使用する。
金具工法のメリットは、柱と梁、柱と土台といった接合部を文字どおり金具でつないでいくわけだから、① 工場が必要とする装置はさほどではない、② 工期が一段と短縮される、③ 建築施工が簡単だから住宅1 棟分の資材と金具を揃えさえすれば、製材工場、製品流通業者でも住宅まで手がけられる、というのも利点だとされている。
金具工法の場合、生材で木が痩せて金物か緩んだら効果がないわけで乾燥が必要条件になる。したがって、この金具工法に対して関心を強めていくのはLVL (単板積層材)や集成材取り扱い関係者であろう。
42 .カナダ3 社
カナダは余剰材を除いて丸太輸出を禁止しており、アメリカ以上に製品輸出に力を入れている。
その製品対日輸出の大手といえばマックミラン、シーボード、イースト・アジアチック(EACOM =イーコム)の3 社(平成2 年現在)。 もっともイーコムは多くなく、実質的にはマックミラン、シーボードの2社だが、日本のマーケットをにらんで乾燥材(KD材)などの付加価値製品の輸出に力を入れてきた。(なお、この用途は企業がなくなったことから死語となっている。)
43 .環境ホルモン
従来、環境汚染物質が人間に与える影響を考える場合、濃度や総量は成人の人体への影響を基本とし、子供は体重等の比較から大人の何分のーという考え方が採られてきたが、近年、環境汚染物質の中には、毒物として直接生物に被害を与える以外に、内分泌を攪乱する物質として、妊婦や胎児、児童に深刻な影響を与えるものがあることが判明した。
内分泌物質であるホルモンは、本来、生物の体内で作られ、微量でも様々 な作用をするが、外因性内分泌攪乱物質、一般に「環境ホルモン」と言われる物質は、ホルモンと同様の作用をし、毒物としての許容量の数千分のーという微量であっても、そのホルモンを必要とする成長時期には大きな影響を与える。ダイオキシン、PCB の他、プラスチックの可塑剤など身近な物からも検出され、その殆どが女性ホルモンとして作用し、精子数の減少や雄の雌性化などの影響が知られている。
44 .含水率
木材の乾燥問題がクローズアップされているが、乾燥の度あいはD20といったように含水率で示される。D はDRY (ドライ・乾燥)の略であり、20 は木材の重さの中に占める水分の重さの割合である。
製材品に例をとれば、仮に絶乾状態の製材品なら10 ㎏の重さに過ぎないものが、余分に2kg の水分を含んでいたとする。この場合、水分の重さ2 ㎏を絶乾製材品の重さ10kg で割ると含水率20 ということになる。
丸太に例をとれば、これもたとえで、絶乾状態の丸太なら20kg のものが、この20 ㎏と同等の水分を含んでいて40kg あったとする。すると含水率は、水分の重さ20kg÷絶乾丸太の重さ20kg で100 %である。つまりこの含水率100 %の丸太の場合は、絶乾丸太の倍の重さになる。
製材品を乾燥する前の丸太の“葉枯らし”も必要になる。
45 .乾燥機
乾燥の必要性が高まっている。とくに大手ハウスメーカーとの取引では乾燥がきびしく問われるようになった。
乾燥方式は① 蒸気式、⑧ 除湿式、③ 高周波加熱減圧式に大別される。蒸気式の主なエネルギー源は木屑・灯油など、除湿式は電気、高周波加熱減圧式も電気である。
① 蒸気式は経済性ですぐれており、さまざまな材を対象とし適用範囲が広い。 ② 除湿式は使いやすさと材がきれいに仕上がるのが特徴で主にヒノキや役物・造作用材の乾燥に使われる。③ 高周波加熱減圧式は乾燥速度が非常に早く、蒸気式や除湿式では時間のかかる厚材の乾燥にむいているが、設備費やランニングコスト(維持費)が高くつくので高級材の乾燥に用いられる。
なお高周波は、普通の基準よりも振動数の大きい波動または振動のことである。
46 . Q 値 C 値
Q 値
熱損失係数Q 値とは、建物の内部と外気の温度差を1℃としたときに、建物内部から外界へ逃げる時間当たりの熱量を床面積で除した数値である。この係数は、どのような地域においても、期間暖房負荷との間に密接な相関関係にあることから、暖房に関する省エネルギーを評価するための判断指標として用いられている。
C 値
住宅の気密性能に(C値)とは、住宅床面積1㎡当たり何㎠の隙間があるかを意味する。単位は、相当隙間面積㎠/㎡で表される。たとえばC 値2 . 0 ㎠ということは、住宅床面積1 ㎡当たり2.0㎠の隙間があることを意味する。家全体の隙間を計算してみると、たとえば、延べ床面積150 ㎡の建物の場合、300 ㎠相当の隙間があることを意味することになる。あまり意味のない換算だが、おおよそ17.3cm 角の隙間があることになる。
47 .利物 無粋物
利物(ききもの)、無粋物(ぶいきもの)とは、一般的には関東市場における市場用語であって、利物は売れ足の早い製品を指し、無粋物はその逆で売れ足の悪い製品だ。
製品市売市場が関東で発足したのは昭和25 年。その後、市売市場は東京・木場問屋(木場に集中している相対取引きの問屋)にかわる新興勢力として、換金性の良さなどを魅力に燎原の火に似て広まった。そして、とくに① スギ、ヒノキの柱、② ヒノキの土台、③ スギのヌキ、タルキ、といったものが、いわゆる利物商品、売れ筋商品、指標商品だった。
ところがその後は住宅工法が変わるにつれて使用部材も乾燥材や集成材といった性能資材へ移行する、またプレカット材が浸透するなどで、このところ市場における利物商品は、ほとんど無いに等しくなりつつある。したがって利物、無粋物の持つ用語の意味も薄れてきている。
性能資材時代の到来で市場用語そのものも変遷をたどっている。
48 . 北三港
ロシア材用語でロシアアムール地区のマゴ、ラザレフ、デ・カストリーの3 港を指していう。冬場は凍結するし、FOB 船(日本船)もCIF 船(ロシア船)も就航がストップするので積出しがなくなる。したがって北三港からの出材が本格化するのは夏場である。もともとはこの北からの材は目がつんでいる良材とされていたが、いまはそうともいえない。
北三港に対比した南のほうの港は沿海州のワニノ、ナホトカ、オリガなどで、冬場でもCIF 船が動く。
49 . CAD (キャド)
住宅産業界にCAD化の波が押し寄せている。CAD とはComputer Aided Design の略。コンピューター支援設計とも呼ばれており、設計作業をコンピューターを利用して行うこと。膨大な設計作業を短時間に処理するから、設計工期の短縮、省力化、コストダウン、接客力の強化につながるし、図面の品質も向上する。
CADの導入は、大手住宅企業のみならず、中小工務店に至るまで一般化しつつある。
50 . CAM (キャム)
CAM システムの利用がプレハブ住宅企業においても実用化されるようになっている。
CAM とはComputer Aided Manufacturing の略で、たとえば一軒の家を建築する際、どんな部材加工をすべきかの作業工程をコンピューターがつくり、そしてその加工をコンピューターによる工作機械が行うもの。
最近では、在来軸組工法のプレカット工場においても、CAM が重要な位置を占めている。
51 . Kiln Dry (キルンドライ)
「キルンドライ」ということが盛んに強調される。Kiln Dry(窯で乾かす)で、人工乾燥材のこと。略してKD (ケィディー)材とも言う。
アメリカ、カナダなどの現地で生産された、いわゆる現地挽き・本国挽き輸入製材品においては、このKD 材・人乾材が急速にふえている。
たとえばディメンションランバー(ツーバイフォー工法建築用サイズのかんながけ製材品)も多くはKD 材である。
対語として未乾燥材という意のGreen (加工してない、なまの)がある。
52 . クォーター制(北洋材)
北洋材の対ソ契約においては、年間契約量を4 半期ごとに一定比率に割り振り、価格も4 半期ごとに決定するというクォーター制をとってきた。
かつては数量、価格の契約は、年間取引量と、その1 年間の取引価格をソ連側と輸入商社で毎年折衝して決定していた。しかし1979年以降、市場価格をより反映させるため4 半期ごとに取り決めることにしたもの。
また数量の4 半期ごとの比率については、平成3 年からは冬期とも均等積み出しすることで双方合意している。なお数量について、年間契約量の50 %を年度開始前に取り決め、残りの数量を各4 半期ごとの価格交渉時に取り決めるという案が日本側から提案された経過がある。
53 . クリアー(clear )材
米材製品の、日本流にいえばいわゆる役物。上からA 、B 、C 、D 、などとランクづけされている。
A は化粧用単板に向けられる無節の特級材で、このA の輸入はきわめて少なく、一般的にはB 、C クラスのものであり、日本の上小節のように節はあっても小さい。
現地の優良丸太の先細りとともに、こうしたクリアー材の入手は漸減傾向をたどろう。
クリアー材と対比してスタンダード(並材)がある。
54 . グルーラム(GLULAM )
集成材の国内生産が伸びている。平成7 年当時の敷居・鴨居といった造作用は無化粧・化粧貼りを含めて約37 万㎥で前年比16 % 増。また柱などの構造用は、これも無化粧・化粧貼りを含めて約14 万㎥で43 %増。造作用がざっと7 割、構造用が3 割だ。なお通直・湾曲の大断面集成材の生産量は7 万㎥近くで、ほぼ2.4倍もの大幅増である。
以上は集成材の生産量だが、さてGLULAM ( Glue Laminated Lumber )は、厳密ではなく、ごく大ざっぱに平たく表現すれば、むろん集成材だが、アメリカ・カナダなどで生産された無化粧の柱、梁などの構造用を指していう。
そして日本へ輸入された後、大幅な加工を施すことのないもの、などともいわれている。
この意味で同じ集成材でも「グルーラム」の持つ意味あいは多少違う。
55 .グルーラム、へビィティンバー
グルーラム(glulam)は集成材のこと。平成2 年の日米林産物協議で構造用集成材が対象品目になった。
日米協議は合意し、合意による建築基準法の緩和でこの構造用集成材の需要分野は広がり、反面低い関税率による輸入ものも多くみられるようになった。
なお構造用大断面集成材のことをへビィティンバーという。へビィティンバーはとくに欧米で工場や体育館などの大型木造建築物に使用されている。へビィティンバーを用いる施工法をへビィティンバーコンストラクション(heavytimber construction )という。
56 .グレーディングマシン
工業化住宅などへの傾斜を背景に高性能資材への要求が高まっている。
「針葉樹の構造用製材のJAS(日本農林規格)においても強度が重視され、強度については目視で測る目視等級区分とグレーディングマシン(Grading machine )などの機械で測る機械等級区分とがある。
で、グレーディングマシンはコンピューターで製材品の強度を測定する装置である。
最近北米などでは機械で強度を等級区分けしたMSR ( Machine Stress Rated )ランバーが普及されているが、日本でもこの強度測定の機械・グレーディングマシンの開発がされている。林野庁のリース助成事業においても、これまでの大型木材乾燥設備などのほかに、新たに木材自動包装結束装置などともにこのグレーディングマシンが助成対象になっている。
57 . KISS (建材インフォメーションサービスシステム)
“ KISS”とは日本建材産業協会が推進する建築資材の電子力タログ・システムで、インターネットに接続し利用者登録すれば簡単に利用できる。非木造建築の資材が中心となっているが、建材だけではなく木質・窯業・高分子系など幅広い資材メーカーが商品の仕様、性能、技術情報を提供している。このシステムの利用者は設計事務所や建築業者などで、施主の嗜好に合った最新の商品を検索し、性能を比較し的確な商品を提案するなど提案型の営業活動を行うことで取引チャンスを広げることができる。いわば、マーケットニーズの変化に迅速に対応することで、業界の体質強化と発展を目指すシステムなのである。木造住宅の主要部材の担い手である木材業界は、木造であることを生かしつつ住機能全体として顧客満足を得る努力が求められている。このため、幅広い住宅資材を取り扱うKISS と連携した合理的な住宅部材供給システムの構築が重要となっている。
58 . KS 材
北洋材の日本側の主な契約相手はエキスポートレス(全ロ木材輸出公団)だが、別にKS 貿易というのがあり、この貿易に基づき輸入される材をKS 材と呼んでいる。
KS 貿易は、1968 年(昭和43 年)に河合良成氏(当時の小松製作所会長)とソ連側のセドフ外国貿易省輸入局長との間で「極東森林資源開発基本契約」 が調印されたことから始まっている。河合氏のK とセドフ氏のS をとってKS 貿易といわれている。平成3 年には、第4 次KS 貿易の交渉がまとまり、平成4 年から5 年間にわたって、日本がロシアから原木600 万㎥などを輸入、代りにロシアへ木材搬出用の機械などを輸出することになった。
59 . 原単位
木材業界でいう原単位は普通、住宅1 坪(3 . 3 ㎡)当りの木材使用材積を指していう。
この原単位は非木質建材の進出でこれまで年々 減少傾向をたどり、平成6 年現在では一般的に坪当り0.6㎥くらいだとされている。40 坪の家なら24 ㎥だ。また最近のあるプレカット工場での調査によると、柱、通し柱、土台、梁といった構造材の坪当り材積使用量は0.35㎥である。
かくして、住宅1 棟建築した際の木代金は、「よくて13%」にも落ち込んだとされている。かりに1 棟3 , 000 万円の住宅としたら、その中に占める木代金は390 万円ほどでしかなく、輸入もののシステムキッチン1 台分より安い。かつての木代金は少なくても3 割を占め、1 棟の建築費が1 , 500 万円だったにせよ木代金は450 万円あった。全体の建築費はふえたのに木代金は逆に減っている。これが付帯工事をも請負う“材工パック”進出への背景になっている。
60 .建築基準法38 条
『 特殊の材料又は構法』
この章の規定又はこれに基づく命令もしくは条令の規定は、その予想しない特殊の建築材料または構造方法を用いる建築物については、建設大臣がその建築材料または構造方法がこれらの規定によるものと同等以上の効力があると認める場合においては、適用しない 。
【 建築技術、またそれに用いる材料は日々 進歩している。それらの中には、建築基準法の制定時や、その後の改正時においても予測もされなかった技術や材料がある。本条は、これら法が予測もしてなかった建築技術、材料、あるいは構造方法を、有用であれば認めてゆくために定められた規定である。】
この条項は、平成10 年6 月12 日に公布された改正建築基準法においては、性能規定のなかで対応していくこととして削除された。具体的には、改正された建築基準法、第68 条を中心として運用されてゆくことになった。
61 . 原木・製品市売市場
市売市場は通常、丸太(主に国産材)と製材品の2 つの市場に分かれる。市(いち)売りとは一定の市日に荷主からの委託材をセリないし入札をもって売るのを原則としており、単式と複式とがある。単式は市場経営と問屋を兼ねたものであり、複式は市場の中に複数の問屋が参加している市場をいう。
国産材原木市売市場は、買手の製材工場にすれば、その都度必要な材を手当てする当用買いの可能な場であり、その存在は強いが、最近は量産製材工場の出現によって、伝票は市場を経由するものの、材そのものは素材生産業者などから製材工場へ直送する、いわゆる商流と物流の分離を進める動きが出てきている。製品市売市場も一定の市日に限らず、いつでも材を売る木材センター化現象を強めている。なお、とくに最近はプレカット材の浸透から、製品市売市場自らも市場内にプレカット工場を設け、買方である小売り店、それにつらなる大工・工務店に対する加工材支援を行うところがふえつつある。
62 .高規格住宅工事(環境配慮型)
建設省及び住宅金融公庫は平成11年11月に策定された経済新生対策を踏まえ、従来の省エネルギー施策に加え、環境負荷の低減をねらいに再生資材や二酸化炭素の貯蔵機能を持つ資材の活用を促進するための高規格住宅工事(環境配慮型)割増融資制度を創設した。
もともと再生資源は一度使用され、あるいは使用されずに収集され、あるいは廃棄された物品、または製品の製造などにともない副次的に得られた物品のうち有用なもので原材料として利用することなどができるもの。
そして(1 )再生資材は、再生資源を利用した建材や住宅部品の部材、(2 )二酸化炭素の貯蔵に寄与する資材は木材(木質材料を含む)をいう。なお① 再生資材の基準は、高規格住宅を構成する再生資材の床面積当たり合計使用量が0.02 ㎥/㎡以上② 二酸化炭素の貯蔵に寄与する資材の基準は木材の床面積当たり合計使用量が0.21㎥/㎡ 以上。なお割増融資額200 万円とされた。
63 .剛床(ごうしょう)工法
先の阪神大震災以降、住宅の耐震性が要求され、この耐震性を高めるため剛床工法を採り入れる住宅メーカーがふえてきている。 床が弱いと地震の力が横から加わった時に筋違(すじかい)に伝わる力がバラバラになるが、床がしっかりしていると筋違が揃って一斉に抵抗、床と筋違の双方ともが強い住宅になる。
剛床工法は、たとえば梁に設けた欠き込みに根太を落とし込み、床面をフラットに一体化して構成するもので、梁の上に単に根太を渡して床面を構成する従来の柔工法にくらべて住宅全体の強度を高めるとされている。一般的に床面に直(じか)貼りするものは厚12 mm の構造用合板などである。
通常は揺れの大きい3 階建ての建物にしか用いられないが、最近は2 階建て住宅にも用いられるようになっている。
筋違に加えて床構成が重要視されている。
64 .高耐久性木造住宅
高耐久性木造住宅とは、高耐久木造住宅の仕様により建設される住宅で、(財)性能保証住宅登録機構に性能保証住宅として登録できるものをいう。技術的には、構造上主要な部分である壁、柱及びはり等の横架材を木造とした住宅で、耐久性を有する住宅としての技術基準に該当するものとしている。
この制度を利用することにより、住宅金融公庫の融資金の償還期間の延長やエ事費の割増融資を受けられる。その技術基準のなかで木材に係わる項目のひとつをあげてみると、通柱である隅柱の小径は、13.5cm以上とする。ただし樹種を耐久性の高い樹種から選択した場合は12 cm以上とすることができるとある。この高耐久性木造住宅の仕様のなかで決められている耐久性の高い樹種は以下のとおりである。
ひば、べいひば、けやき、こうやまき、くり、ひのき、台湾ひのき、べいひのき、すぎ、べいまつ、からまつ、北洋からまつ、あかまつ、くろまつ
65 .甲種・乙種
JAS (日本農林規格)を語るとき、しばしば甲種、乙種といった言葉が出てくる。
そこで…「針葉樹の構造用製材の日本農林規格」の中での甲種構造材というのほ主として高い曲げ性能を必要とする部分に使用する材を指し、土台・大引・根太・梁・桁・筋かい・母屋角・垂木などが対象となる。また乙種構造材というのは主として圧縮性能を必要とする部分に使用される材を指し、通し柱・管柱・床束・小屋束などが対象となる。
なお「枠組壁工法構造用製材(2 × 4 工法)の日本農林規格」の中でも甲種枠組材と乙種枠組材とがあり、甲種枠組材はやはり曲げ性能を必要とする部分の材で土台・根太・まぐさ・むなぎなどが対象。乙種枠組材は甲種以外の材で頭つなぎ・たて枠・上枠・下枠などが対象となる。
66 .構法工法
木質構造の分類について、公的な文書を見ると在来構法、枠組壁工法、プレハブ構法、などとなっている。つまり「在来」、「プレハブ」については構法であり、「枠組」については工法であって戸惑いを感じるが、「構法」はどのような部品で建物を構成するかなどの方法。「工法」は建物の施工の方法を指している。だが実際には分類についての「構法」か「工法」かの呼び方は明確でない。在来構法は在来軸組構法ともいわれ柱、土台、梁などによって強度が保たれる。枠組壁工法は「木材で組まれた枠組に構造用合板などを打ち付けた床や壁により建築物を建てる工法」。2 インチ× 4 インチの製材が主体だから、この工法による住宅はツーバイフォー住宅だ。
木質プレハプ構法には軸組式のものもあるがパネル式によるものが多く木質パネル構法ともいわれている。枠組壁工法やプレハブ構法は面による強度を主体とした壁式構造である。
67 . GOST (ゴスト)
日本のJAS (日本農林規格)に相当するような旧ソ連・北洋材の丸太・製材品の規格。国内向け、輸出向け規格がある。日本側のインポーター(輸入業者)と旧ソ連との間で問題になったのが、丸太のGOST で、等級のマーキング(印)も徹底されておらず、これが「北洋材は手にして実際に中をのぞいて見ないと分らない」の不評につながった。
マーキングの徹底については、デカストリーなど一部の港では100 %近くまでできるようになったものの、未だに全体の70 %ほどは改善のあともなく輸出だけ行なわれているのが実態と言われることもあった。
GOST の改善が北洋材需要拡大のひとつの力ギになっていた。
68 .コンテナ(container )
コンテナは本来、容器を意味する言葉だが、物流用語になっており、海上輸送に使用されるものを海上コンテナ、鉄道輸送用のものは鉄道コンテナという。
木材の「コンテナ輸送」は、製品輸入の増大とともに急速に普及しており、主に米国西海岸から米材製品を運んでくるのに用いられている。
コンテナの長さは40 フィート(12m )だから4m ものが3 本並べられ、また横に2 列、3 段積みだから18 本入る勘定だが、重量制限があって積載量は15 , 000BM (約35 ㎥)くらい。この点からもKD 材(人乾材)が有利である。
利点は小口輸送が可能なこと、荷傷みがないこととされているが、むしろ夏場は蒸れてカビが出ることもあるので、やはり小口輸送が大きなメリットである。
69 . 材工資材
“材工資材”がクローズアップされている。材は資材であり、工は工事で、流通業者や資材メーカーが住宅メーカーや工務店に資材を持ち込むだけでなく、職方を抱えて、そうした建築業者の工事部門までを請け負うものである。いわゆるトータル請負だ。流通業者や資材メーカーにすれば① 材の売り上げに工賃も付加される、② 直納の方途が開ける、③ 資材の品質改善面も直(じか)に学べるというメリットがある。建築業者も建築技能者不足をカバーできる。
産直住宅は“材工資材”そのものだが、今後はプレカット材を用いての流通業者などによる材工資材が一段と広まるであろう。そして材工資材は流通を直需のかたちに変えていく。
70 .桟木
桟木は木材乾燥の桟積みで用いられ、材のねじれやそり等の抑制には適正な桟木の使用が極めて重要となる。
桟木の仕様は、厚さ2 . 0 ~3 . 0 ㎝(乾燥板の2 ~3 倍の厚みを標準)の節や曲がりがなく、狂わない材(年輪のない材がべスト)を用いる。九州等ではジョンコン(Jongkong サラワク産等)が最も好まれ、スギ材桟木は2 ~3 回で使用困難になることもあると言う。なお、アルミ製品桟木もあるが、木材に比べて約10 倍と高価である。
この桟木の配置間隔は板厚の薄いものほど狭くすることか基本となる。板厚1.2㎝ 以下で30㎝ 、6.0 ㎝以上で90㎝間隔を標準とする。また桟木の位置は、上下に一直線に並ぶように配置し、桟積みは風向きに対して直角とする。このような桟積み作業の効率等を高めるため北海道立林産試験場では、桟木間隔を狭く配置し、かつ一定寸法に組み立てられた桟木パレット(桟木22×15×1 , 700㎜と角パイプ、平鋼で構成)を考案し、実用化されている。
71 . 3 層パネル
このところ、たとえば徳島県のSB (セーフティボード)ハウスをはじめ、床、壁、天井といった面の部分を厚板にする傾向が強まっているが、国産スギ材による厚板の3 層パネルへの関心も高い。3 層パネルは、長さ2m 、径級13 ~45 ㎝ほどのスギ丸太を原料とし、① 原木皮むき→ ② ラミナ(板)の製材→ ③ 乾燥→ ④ 幅はぎ→ ⑤積層→ ⑥ 仕上げ、といった加工プロセスで製品化される。最終商品の基準寸法は厚36mm 、3 尺× 6 R の3 層パネルである。平均厚み12mm の板をクロスして3 層に積層。その板は幅はぎ接着する前に含水率8 %にまで人工乾燥され、仕上り含水率は12 %前後。用途は根太レスの床、断熱材が不要な耐力壁、屋根下地材などになり、国産スギ材の用途開発に力点を置いている。
72 . 産地問屋
産地問屋とは製材加工産地に存在する製材品の流通・販売業者。平成5 年現在40 数社の集団として産地問屋が天竜産地(静岡県)にみられた。
天竜産地問屋の“走り”は明治時代に誕生、地元製材工場から製材品の販売を委託されていたことから当初は「委託屋」と呼ばれ、主に東京深川(旧木場)の問屋を対象に商いを展開していた。この天竜産地問屋の活躍は特記すべきで、① 問屋筋から注文があると迅速に荷を揃え需要に対応、② そして首都圏の情報をいち早く産地に伝達、③ さらに規格制度もない時代に率先して「天竜規格」をつくり、荷主(製材工場)を指導して規格統一を図るなどして天竜材の評価を高めた。
もっとも産地問屋といっても、需要が多角化したことから直接工務店などへの小売りに力を注ぐところなど、その商取引の実態は著しく変貌している。
73 . CIPA (シーパー)材
シーパー・ランバー社は伊藤忠商事と現地総合木材企業・パシフィックロギング社との合弁で1969 年(昭和44 年)にカナダナナイモに設立された対日専門工場。
4 インチ(10㎝)角が主流だった本国挽きを日本向けの10.5cm 角へサイズを切りかえたのが特徴。また従前の本国挽き製品より挽き肌などの面において品質の高いものを手がけたことも特記されるべき点で、これが以後の本国挽き製品全体の質の向上につながったともいえる。
CI は伊藤忠、PA はパシフィックの頭文字からきており、シーパー工場が挽いた製品をシーパー材と称し、広くは商社挽きともいう。商社挽きでは同じナナイモでの三菱商事のメイヨーもある。シーパー社は全額伊藤忠の出資。シーパー材は袖ケ浦(千葉)を中心に大阪、名古屋、仙台、北海道、松山 などへ荷揚げされた。
74 . JAS
( JAPANESE AGRICULTURAL STANDARD )
JAS は、日本農林規格の英訳(上記)の頭文字をとった略称。① 品質の改善② 生産の合理化③ 取引の単純公正化などがねらい。農林水産大臣が制定した品質基準及び表示基準(日本農林規格)による格付けに合格した製品にJAS マークが貼られる。林産物のJAS の対象は素材・製材・集成材・積層材・合板・フローリングなど。建築動向の変化に対応、現行の製材規格から建築構造用にかかわる部分を削除すると同時に「針葉樹構造用製材の日本農林規格」が制定されている。
JAS は海外にも開放され米国・カナダ・インドネシアでもツーバイフォー製材・大断面集成材・構造用合板などのJAS 認定工場が多数ある。
75 .次世代省エネルギー基準
住宅用省エネルギー基準は、1980 年に初めて告示され(昭和55 年基準)1999 年に改正された(平成4 年基準)。そして一段高い基準として改正されたのが次世代省エネルギー基準(平成11年基準)である。この基準は、「住宅にかかわるエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断の基準」として用いられその基準項目として、
1 .地域の区分に応じた年間冷暖房負荷の基準
2 .地域の区分に応じた相当隙間面積の基準
3 .防露性能の確保
4 .換気量の確保
5 .暖房機器等による室内空気汚染の防止
6 暖房および冷房にかかわるエネルギー効果の確保
7 .防暑のための通気経路の確保
があり、以前の基準に比してより高いレベルでの内容が求められている。
76 . J ソートC ソート
米材丸太の取り引きにおいてJ ソート(J sort )とかC ソート(C sort )とかいう言葉が出てくる。
J ソートは日本の頭文字からきており、一般的には日本のマーケットに適応するように仕分けされた材である。C ソートは同様に中国の頭文字からであり、中国向けの材。
C ソートに対比してJ ソートのほうが、目がつんでおり節が少なく価格的にもランクが上である。別に韓国向けのK ソートもある。もっとも日本にも、丸太のコストダウンを図るうえで、C ソート材もK ソート材も入ってきている。
77 .資材調達サイト
鹿島・清水・大成建設等大手ゼネコン連合の建築機械調達他、自動車部品調達、電子部品調達等多くの産業分野で複数メーカーが資材調達サイトを開設し、既存の流通経路や資本系列を越えたべストソース調達を図っている。これまでの資材調達は、技術力、供給力、コスト競争力等を持つ企業との継続的・安定的な取引関係が構築され、特に日本では、資本系列化・下請け制等大手メーカー主導の管理・指導のもとで他社との差別化を図り、系列全体の共存共栄を図る資材調達の合理化が図られてきた。しかし、市場の成熟化、消費者嗜好の多様化、国際競争の激化、べンチャー企業の追い上げ等により、これまで以上に資材調達力の強化が重要となり、他方、先端産業分野を中心に、新興工業国の資材生産・供給能力が高まり、オープンでグローバルなネット調達が可能な条件が整ってきた。こうした買手市場という背景的条件において、メーカーが需要量の大きな資材調達サイトを開設し、電子入札によるコスト低減や、タイムリーな資材調達などIT 革命を進めているのです。
78 . シージング サイディング
木材を繊維にし、水を媒体としマット(敷き物)状にし、それを乾燥し板にしたのが、いわゆる軟質繊維板だが、シージングボードはその軟質繊維板の一種。そしてシージングボードはさらにこの軟質繊維板にアスファルトを入れて強度、耐水性を持たせている。用途は建築の際の下地材。
一方、サイディングボードは硬質繊維板(ハードボード)とか、それに限らずセメント板などをも材料とする外壁材である。住宅建築などの場合、間柱(本柱と本柱との間に立てる壁をつくるための骨組み材)の上にシージングボードが張られ、その上に胴縁(板を打ちつけるための横材)が付けられ、そしてその上にサイディングボードが張られる。
要はシージングボードは下地材であり、サイディングボードは外壁材である。
79 . 湿式工法・乾式工法
湿式工法は、モルタル(セメント・砂・水を練り混ぜた材料)やプラスター(鉱物の粉末や石膏を成分とした壁・天井の仕上げ材料)のように水を使う材料を用いた施工法。乾式工法は水を用いる材料を使わず、木材のほか合板・金属材料・石膏ボード・石綿板などの乾式材料を用いる施工法のこと。昔の和風建築といえば、湿式工法が主流で、たとえば壁にしろ小舞(細竹、割竹などを網目に編んだ壁などの下地材)の上に、泥に藁などを混ぜた土壁、いわゆる小舞壁だった。しかし、いまはこうした湿式工法が減り、むしろ乾式工法が主流になってきた。湿式工法は乾燥に時間を必要とし、今日のような省力化・工業化住宅時代には馴染まなくなってきたこと、また新しい工業化材料が次々 と出てきたためだ。かくして日本の伝統的工法が薄れつつあるともいえる。
80 .指定住宅紛争処理機関
建築主と住宅供給者の間にトラブルが発生したような場合に、紛争を迅速に解決する仕組みとして、各都道府県の弁護士会が委託を受けて指定された組織で、原則として各都道府県に1 ケ所以上設置されることになっている。この「指定紛争処理機関」では、
① 「住宅性能表示住宅を利用した住宅」に限って紛争処理にあたることになっている。
② 相談にかかわる費用はかなり安く( 1 万円程度とされている)設定されている。
③ 施主、住宅会社のどちらからも紛争処理の依頼を受け付ける。
④ 「瑕疵」だけでなく工事代金の支払い遅延など、住宅の性能に直接関係のない紛争処理も受け付ける。
⑤ 性能表示制度を利用していない住宅のトラブルは、住宅紛争処理支援センターが相談にあたることになっている。

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