木材関連用語集4

121 .パネル化
最近、軸組住宅においても、「構造材はプレカット、壁部門は厚い合板や国産スギ厚板などによる耐力壁としてのパネルにする」といったP & P (プレカット・パネル)的な工法が急速に進みつつある。そしてこの壁部門のパネル化が従来のモルタル壁の下地材としての羽柄材・ラス下類の需要後退にもつながっている。軸組住宅においてもパネル化が進んでいることの背景には、前述のとおりパネルをそのまま耐力壁にするといったことのほかに「大工作業量の縮小を図ろう」といったことがあげられる。構造材は工場でプレカットされたにしろ、これまでの多くが壁・床の面の部分は大工職方の分野であった。ところが、在来軸組工法の場合はツーバイフォーとが鉄骨系に対比して、とくに「壁」にかける労務量がもっとも大きいとされ、このためこれをパネル化し、一日に何坪貼れるかといった標準作業量をも明確化しようということでもある。
122 .浜問屋
流通上の市売とは、原木市売市場、製品市売市場ともに「一定の市日に委託材をセリまたは入札をもって行う」ところであり、市売の制度が早くから力を持っていたのは関西・大阪であり、関東では昭25 、26 年頃からであった。
市売には単式市場と複式市場とがあり、複式市場には複数の問屋が所属しており、問屋は集荷業務と販売業務を行い、市場会社は荷物の引き渡しと集金業務を行う。
その問屋のことを浜問屋といい、「浜」 は「市場会社が集荷問屋に貸す区画」とされているが、浜の語源は海や湖の水ぎわに沿った平地のこと、また揚げる浜、揚げ地からきていよう。
なお大阪では、浜のことを河岸(かし)といった。東京でも魚河岸がある。したがって浜とは、大阪の河岸、それに荷物の揚げ地といったことからきていよう。
プレカット材などの浸透で、今後そうした浜問屋も様変わりしていくであろう。
123 . バリアフリー住宅
バリアフリー(barrier-free )は「障害・防げがない」の意味であり、障害者や高齢者の生活に不便な障害を取り除こうという考え方である。道の段差をなくしたり、階段のかわりにゆるやかな坂道にしたり、電話のボタンなどに触れればわかる印をつけたりしている。
住宅においても高齢化社会の到来で老人にとって障害となる、たとえば台所や風呂場や洋間と日本間の仕切りなどの段差をなくしたバリアフリー住宅が広まってきている。
住宅金融公庫でもバリアフリー住宅について高耐久住宅、省エネ住宅などとともに優遇措置の見直しを行ったりしている。ハウスメーカーもこのバリアフリー住宅については、普及を目指して熱心であり、たとえば廊下に手すりを付けた場合、階段の有効幅はどうなるかなどのモジュールの見直し、開発に力を入れている。
124 . P & P システム
前のP はプレカット、後のP はパネルを指す。つまり軸材はプレカットで、壁などはパネルにして木造軸組建築においての現場施工を一段と簡素化させようというシステム。
省力化を目指してプレカット化が急速に進んでいるが、プレカット加工といっても現状での対象は主に柱、土台、梁といった構造材で、木工事全体に占めるプレカット率は15 ~20 %に過ぎず、建築現場では相変わらず大工技能に頼らざるを得ない。そこで構造材のプレカットに加えて床・壁・天井などもパネルにし、大幅な省力化・工期短縮を実現しようというのがねらいだ。構造材のプレカット以外に工場でのパネル化を加えれば、現場での丸鋸使用も減り、端材が出ず、産業廃棄物の削減にもつながる。プレカットが木造軸組工法合理化の第1 段階とすれば、P & P システムはその第2 段階といえる。
125 . BF ( Board Feet )
米材の材積単位でBF と表記されていることがある、これはBM ( Board Measure )と同じこと。より正確にはBFM ( Board Feet Measure )であり、これがBF と書かれたりBM と記されたりする。そして製品の場合のIBF ( IBM )は約0 . 0024 ㎥であり、丸太の場合のIBF はその量の製品をとるのに必要な材積であって約0.004 ㎥である。同じIBF でも丸太の場合は製品の1. 7 倍近く( 0 . 004㎥÷0. 0024 ㎥)の材積ということになる。
たとえば製品の2 億BF は2 億× 0. 0024 ㎥で約48 万㎥になるし、丸太の2 億BF なら2 億× 0 . 004 ㎥でざっと80 万㎥ になる。
126 . BM とSCR ・BM
( Board Measure ) ( Scribner Scale Board Measure )
米材丸太輸出規制で「ワシントン州有林の丸太輸出可能量は2 億BM になる」と記されていたりする。しかしこれは製材品材積のことか丸大材積のことか、当初ちょっと判断に困ったりするが、実はこの場合の2 億BM は丸太材積のことである。だから本当は2 億SCR (スクリブナー)・BM 、または略して2 億SCR と記したほうが一般に分かりやすい。
SCR ・BM はスクリブナー検量方法に基づいたもので丸太材積を表す。そして1SCR ・BM (約0.004㎥)は1BM (約0.0024㎥)の製材品をとるのに必要な丸太材積のことだ。丸太も製品も一様にBM とすると混乱しやすい。
冒頭の2 億BM (つまり2 億SCR )の丸太を㎥に換算すると2 億× 0.004 でざっと80 万㎥になる。
127 . PSL
PSL はパラレル・ストランド・ランバー(Parallel Strand Lumber )の略。原料は米マツとサザンパィン(南部マツ)など。単板を乾燥し、欠点箇所を除去し、繊維方向を揃えて切断、細長の木片にし、これを接着剤で圧縮し固めたもの。LVL (単板積層材)とは製造工程がやや異なるが関税分類の中では単板積層材の中に入っている。
厚さ30cm ほど、幅40cm ほど、長さ20m ものまで生産が可能。必要によって再割り。住宅、商業用の木造建築物の柱、梁、まぐさ(戸口などの上の横材)、ケタなどに向く。マックミラン社系の企業によって製造された商品名はパララム。
なおポプラ系広葉樹のアスペンによるものもあり、これはドア枠や窓枠用など。これのマックミラン社の商品名はティンバーストランドと言った。
128 . PL 制度
PL ( Product liability )制度は「製造物責任」制度のことで消費者保護がねらい。
欠陥製品による被害を裁判で争う場合、民法では訴えた消費者が企業の過失を立証しなければならず、消費者の立証責任が重い。ところがアメリカでは製品の欠陥が有れば企業に過失がなくても賠償を負わせる考えかたか確立しており、さらにこれが国際的な流れになって、日本でもこのPL 制度を導入されている。
129 . ビジネスモデル特許
IT 革命が有効的な仕組みとして現実化するには、コンピューターネットワークの優れた情報共有・伝達機能や加工機能を活用したビジネス戦略や取引の技術的手法を開発・構築する必要がある。こうしたIT を活用して具現化された新しいビジネスの仕組みが「ビジネスモデル特許」である。
特許の対象は、逆オークションやワン・クリック購入などEC (電子商取引)や電子決済といったネット・ビジネスに関するインフラ技術のみならず、販売・在庫管理や顧客管理の仕組みも新規性、進歩性、有用性が認められるものであれば特許に含まれる。消費者ニーズが多様化し、環境・健康・リサイクル・産業廃棄物問題等の社会的ニーズに対応した木造住宅供給体制の再構築が求められる木材産業にあっては、IT を活用した生産・流通の付加価値創出が業界の死命を制する重要な課題となっており、特許として有用性が認められる多くのビジネスモデル構築が急がれる。
130 . ピーラー(Peeler )
製材業界の間で、建築用造作材などに向く、主にオールドグロス(天然林などからの樹齢100 年以上の優良材)の米マツ上級材のことを指して、ピーラーと呼んだりする。が、これは、もともとは合板のことからきている。
つまり輸入針葉樹合板の主流は米マツ合板であり、米マツのとくに上級材は太くて丸くて、表面の節が少なく合板向けに剥ぎやすい。
剥くはピール(Peel) であり、このことが製材の場合においても米マツ上級材=ピーラー(Peeler )と転化した。米マツといえば平成5 ( 1993 )年の米マツ丸太輸入量はざっと480 万㎥(前年比約13 %減)で米材丸太輸入量の60 %近くを占めており、製品は120 万㎥余り(前年比約30 %増)。
しかしオールドグロスの減少で、いわゆるピーラーは年々 希少価値になっている。
131 . ファイアー・クロージア
( Fire closure )
アメリカ西海岸での山火事防止のための入山閉鎖のこと。夏場、異常乾燥状態になると、山火事が発生しやすいため入山が禁止される。ちょうど日本における給水制限みたいなもので雨が降ると解除される。
入山が禁止になると当然伐採作業が出来なくなり、これが長期間にわたると現地での在庫・生産・船積みに影響が出てくる。
132 .ファイバーボード(繊維板)
繊維板は製品の性質、密度によって① 軟質繊維板(インシュレーションボード)、② 中質繊維板(MDF 、メヂュアム・デンスティ・ファイバーボード)、③ 硬質繊維板(ハードボード)に三大別される。軟質繊維板の用途は屋根、外壁、床などの下地材。中質繊維板は家具、住宅機器、楽器用など。硬質繊維板は自動車内装用のほか建築、家具、建具、梱包、電機器用などだ。
最近脚光をあびているのがニュージーランド松などによる中質繊維板のMDF ( Medium Density Fiberboards)である。いまのところ家具用が中心だが、建築内装の面材向けに期待されている。素板のままでなく表面にツキ板などが貼ってあるので、MDF が使用されていることに気づかないことが多い。
133 . VOC
「環境問題」「健康住宅」がクローズアップされてきており、人体に有害とされている新しい建材のたぐいから出るホルムアルデヒドとともにVOC も問題視されている。
VOC ( Volatile Organic Compounds )は、ボードなどから発生するホルムアルデヒドの臭い、壁紙に使ったりする塩化ビニール樹脂から出る可塑剤や接着剤の臭い、塗料溶剤の臭い、床下に用いられる防虫剤や防腐剤の臭いなど、このようなさまざまな揮発性の有機ガスを総称して呼ばれるものである。
最近は高気密・高断熱住宅が多くなっただけに室内でのこうした臭気がなかなか消え去らず、鼻、喉に異常を感じたり頭痛をきたす。VOC 対策のひとつは室内の換気性を良くすることである。
134 .複合合板
南洋材の枯渇化で、このところ合板メーカーの針葉樹材への転換が目立つようになった。
針葉樹材を用いた合板といっても、単板構成をすべて針葉樹材にしたいわゆる針葉樹合板と、針葉樹材と南洋材を併用した複合合板とがある。
さらに複合合板の場合は、① 中芯板(コアー)に針葉樹単板を用い、表板(フェース)と裏板(バック)には南洋材単板を用いたものと、② その逆に中芯板に南洋材単板を使い、表板と裏板には針葉樹単板を使ったものの2 種類がある。表板、裏板に針葉樹材を用いるのは南洋材の低質化傾向に対応するためである。問題は針葉樹合板であれ、こうした複合合板であれ歩留まりの低さからもコスト高になることで、これをどう克服していくかである。
135 . 副製品
製材で丸太の心材部から採る柱などの角材を主製品とするなら、辺材部の端(はし)のほうで採る小幅の板の野地板(屋根の下地材)やラス下は副製品である。ところが住宅工法の変化や、使用部材の移り変わりで、このところ、こうした副製品の需要が落ち込み、製材工場は頭を抱えている。
これまでの一般的在来軸組住宅は柱、間柱の上に前述のラス下を貼り、あと防水シート→ 金網→ 合成樹脂の外壁剤を吹き付ける、といった手順だったが、いまではラス下を使用せず、直接、耐力のある構造用合板を貼るのでラス下が使用されなくなってきている。このため製材工場は、いまではこの副製品を安いチップに回すなど苦労している。
野地板の分野も、合板にかわっているし、また輸入OSB (オリエンテッド・ストランド・ボード 木片板)に侵食されている。丸太からの側板を集成材の単板に切りかえるなど、副製品の活かしかたが製材工場の課題になっている。
136 .プレカットシステム
( PRECUT SYSTEM )
プレカット工場は、一般的に軸組工法による木造建築物の柱、土台、梁といったものの仕口・継手などの加工を機械で行う工場のことをいう。工場には① 単能機械だけを持つ工場、② 単能機械を組み合わせてライン化した工場、③ ラインをコンピューター制御で自動化した工場がある。
加工に当ってスミ付けを必要とするものを「半自動」というのに対して、CAD (設計図の作成などを行うコンピューター)とCAM(加工機械を自動制御するコンピューター)をオンライン化し、設計から加工までを完全自動化したシステムをCAD/CAM システムと呼んでいる。
なおプレカットラインは機能の違う加工機械と搬送機器を連結し、ライン構成したもので① 柱材加工ライン、②梁、桁、土台などを加工する横架材ラインに大別される。プレカット工場は現在800 工場余りとされている。
137 .プレカット率
プレカット工場は平成6 年時点で650 工場ほどだったが、その後も増加し続けているので現在では700工場に達していよう。そしてその平成6 年時点でのプレカット加工棟数は18 万棟とされている。となると木造住宅でのプレカット率はどうなるか。仮に年間新設住宅を150 万戸とし、木造率45 %とすると木造住宅は約68 万戸。ただしこの中には木造のツーバイフォー住宅と木造プレハブ住宅とが合わせて10 万戸ほど入っているから在来軸組住宅は58 万戸。したがって木造住宅におけるプレカット率は18 万÷68 万で約25 %。在来組軸住宅に対するプレカット率は18 万÷58 万で30 %ほどになる。またこれも6 年現在のプレカット工場がフル稼働した場合は能力26 万棟といわれ、在来住宅の45 % ( 26 万÷58 万)にも達する。
(注)平成12 年の機械プレカット率52 %、ブロック別では関東・東海のシェアーが高い。
138 . ブロードバンド(広帯域通信)
ブロードバンドは広帯域の周波数を使い高速・大容量・低価格のデジタル通信を行う技術で、インターネットに常時接続し動画・音声などを快適に利用できることから急速に普及が進んでいる。既に始まっているサービスは、電話回線(ADSL :非対称デジタル加入者線)、CATV 、光ファイバーなどの通信回線を使い、ADSL の場合には既存の電話回線に専用端子機器を接続(パソコンとはLAN ルータやUSB インターフェース等で接続)し、最大1 . 5 ギガビット(従来の数十倍)の速度で、料金は月3000円~7000 円(NTT 電話回線とADSL の利用料、機器レンタル料、プロバイダー接続料などを含めた常時接続利用の場合で通信サービス会社によって異なる)と低価格化が進んでいる。
こうした高速通信網の拡大は、インターネットで映像・音楽配信など放送メディアとしての新しいサービスやe ビジネスが拡大すると共にパソコンソフトを購入すれば動画のネット配信やテレビ電話など個人的に楽しめる。
139 . 米加針葉製材品貿易問題
1906 年に力ナダBC 州が丸太の輸出を原則的に禁止したため、米国と力ナダとの間で軋轢が生じたことに端を発した貿易問題(100 年戦争とも言われている)。
米国の針葉樹製材品消費量の約3 割はカナダ産。米国の林産業界は、カナダの大量な対米輸出を可能にしているのは、カナダの森林面積の7 割を占める州有林の立木価格設定が低いためで、これは州政府の実質的補助に該当すると米国政府に訴えたことから、過去20 年間に4 回に渡って米国は輸入制限措置を実施。年間対米輸出量の内、147 億BF ( 3 , 469 万㎥)を無税とし、超過分に課税することを骨子とした前回の針葉樹製材品貿易協定は、5 年の時限を経て平成13 年の3 月で終了。
協定の改訂が注目を集めたがなされず、米国商務省は5 月20 日以降輸入されたカナダ産針葉樹製材品に19 . 31 %の暫定的相殺関税を課す決定を8 月20 日に公布。力ナダはこの措置をWTO に提訴した。
140 .平衡含水率
樹木は多くの水分を吸収・貯蔵して生育していることから、伐採直後の木材は、極めて多量の水分を含んでいる。樹種により、また季節によって異なるが、とりわけ辺材部の含水率は、100 %を超えるものが多くみられる。
このような木材を雨の当らない風通しのよい場所に長期間置くと次第に水分が減少していき、ついには周辺外気の温度、湿度条件に対応した一定の水分状態に近づく。これを平衡するといい、この条件の含水率を平衡含水率と言う。この値はすべての樹種についてほぼ等しいものとなるが、厚い材の中心部がこれに到達するのは、表層部に比べてかなり遅くなる。また、平衡状態に一度達した木材でも、周辺外気の温度、湿度条件が変化することに対応して乾燥、吸湿してかなり変動する。
なお、周辺外気が自然状態における平衡含水率を気乾含水率と呼んでいる。各地方の気象条件で多少違うが、日本全国の平均は15.2 % とほぼ15%に落ち着く。
141 . 米国の丸太等級
米国の丸太等級格付けは、国内向けと輸出向けで扱いが異なっている。
米国国内向け丸太の等級は、径級、材長、節の程度、1 インチ当たりの年輪数、木理の傾斜度を尺度とした公式等級基準により格付けされる。例えばオレゴン州プジェットサウンド検寸局が用いているダグラスファーの等級は、8 つに区分され、これらがピーラー、スペシャルミル、ソーログの3 つにグループ化されている。輸出用丸太には、公式な等級格付基準がない。このため輸出企業は、前述の径級から木理の傾斜度等の要素を基に、企業によっては二次林材か否か等の要素を加えて、企業ごとに仕分基準を設定している。同一品質の丸太であっても、等級の呼称が各輸出企業によって異なるため、業界新聞の価格欄等に記載されているSS 、IS 等の等級は、対日出荷量が多く、現地でも仕分基準が高い評価を得ているウェアハウザー社の等級呼称に代表させて表現していることが多い 。
142 .米材丸太55 級
1992 年2 月からウェアハウザー社によって採用されている丸太規格。主として米松丸太を対象とするが米栂丸太にも準用される。天然林の急速な減少による丸太の品質低下に伴い、新たにグレイドダウンした規格を取り決めた訳である。規格はRS 、SS 、IS 、GC 、SL 、SC の5 段階に区分され、ウ社のタコマ、べイシティ、ロングビュウの3 事業所所管材に適用されたが、現在では他のロガーの格付もこれに倣うものが多くなっている。
規格は、① 径、② 長さ、③ 目合、④ 等級、⑤ 節、⑥ 偏心、⑦ 曲り、⑧ その他の項目により規定される。その中、SS は① 12 吋上、② 26尺~40尺③ 制限なし④ No. 2 べター⑤ 2 尺以内⑥ IS 、GC は20 %以内とされているが、RS 、SSには規定がない。⑦ 4 m ⑧ 規定なし、RS は「円くクリーン」と規定されている。現時点での積荷割合は概ねであるが、RS 3 ~5 %、SS35 ~45 %、IS30 ~40 %、GC 以下15 %程度。
143 .ベニヤ(veneer )と合板(plywood )
WWPA (米国西部木材製品協会)総代表の山口郁雄さんによると「木材関係者でも意外とベニヤと合板の違いが分らず混同しておられる」と言っておられた。よく合板をそのままベニヤと呼んでいることからであろう。
で、木材を薄く切り取った単板がベニヤであり、その単板を数枚、織維方向が互いにほぼ直角に交差するように重ね合わせ、接着剤を用いて一体化した木材加工品が合板、つまりプライウッドである。なお、ついでだがLVL (単板積層材)は、木材を比較的厚くむいた単板を、繊維方向をほぼ平行にして積層接着した材料。合板と製造工程が類似していることから平行合板と呼ばれたこともあった。
144 .ペレット
ペレット(pellet )と言う語は、講談社日本語大辞典で「丸めた小球。小弾丸。丸薬。 ② 動物が吐き出す不消化物。等」となっている。ペレットは製品の形状を示し、木質バイオマスエネルギーとして利用される木質ペレット、粒状に成形されたプラスチック樹脂からなるプラスチックレンジペレット、とうもろこし等原料とするうさぎ飼育用ペレット、飼鳥粒餌ペレットなど多様である。
木質ペレットは、微細化した樹皮を高温で固める色黒となるバークペレット、また同様の方法で端材、おが粉等木質部を原料とする、いわゆるホワイトペレットがある。いずれも形状は乾燥・圧縮して直径6 ~13mm 、長さ10~20 mm程度の円柱状となる。なお、バークペレットは残灰分が多い。国内での製造は、岩手県、大阪府等の企業、団体で行われ、また近年燃料として見直す取組みの中で、多数の地域で新たな製造プラントの建設等が進められている。製造コスト削減やペレット流通の改善が課題となっている。
145 . 偏心率(へんしんりつ)
地震などの水平力を受けた場合、耐力壁(筋かいや合板が取付けられた壁)が偏って配置されていると、建物は回転しようとする。回転を起こすと、耐力壁の少ない部分の変形が大きくなり、その部分から破壊が始まる。
現行の建築基準法では、耐力壁を所定量以上確保することと定めているが、その配置は「釣合い良く」と表現されているに過ぎない。その配置を具体的にチェックする方法が偏心率である。この考え方は、そもそも1981 年の「新耐震基準」で既に規定されており、主として大規模建築物に適用されていた。阪神・淡路大震災以降、これを木造住宅にも適用しようという動きが出てきた。偏芯率とは建物の重心(水平力を受ける中心)と剛心(回転の中心)のずれによるねじれの度合いを定量的に確認する方法である。重心と剛心の差を偏心距離といい、これが大きいほど地震時には不利となる。偏心率は0 . 15 以下が望ましいとされている。
146 .防火材料
建築材料は、燃えにくさ(不燃性能)により、不燃材料、準不燃材料、難燃材料という防火材料としての区別がある。これらは通常の火災による加熱で、『 燃焼しない』 『 防火上有害な変形、溶融、亀裂その他を生じない』 『 避難上有害な煙またはガスを発生しない』 という3 つの不燃性能を保持する時間長により区分される。不燃材料は加熱開始後20 分間上記の3 要件を満たし、準不燃材料は10 分問、難燃材料は5 分間を満たす。
木質系の建材には、燃えにくい加工をすることにより準不燃材料、難燃材料として認定を受けたもの、またスギ、ヒノキ部材においても難燃剤等処理により不燃材料、準不燃材料としての商品が開発されている。これらの防火材料は、準耐火構造物の新しい防火被覆材料として、また今まで内装制限を受け使用が限られていた特殊建築物、大規模建築物、住宅などで使用することができる。
147 .北欧材
フィンランドなどスカンジナビアからのいわゆる北欧材の輸入が激増している。平成元年にはゼロに等しかったものが、平成14 年の日本の北欧材輸入量は丸太12 万6 , 000 ㎥、製品246 万㎥となっている。
産地ではホワイトウッドと呼んでいるが、輸入材はスプルース(トウヒ)が主体で北洋材エゾに近い樹種である。
為替が円安になったり、競合材としての北洋材価格が一段と下がったりしても増勢傾向に歯止めがかからない。
なおフィンランドの森林蓄積は約19 億㎥、スウェーデン26 億㎥、ノルウェー6 億㎥と言われ、いずれも針葉樹が主体だ。
148 . POS (ポス)
・POS はPoint of Sale の略で、日本語では「販売時点情報管理」と表現されている。
・POS システムは、1 つひとつの商品にあらかじめ商品名などの商品情報を線の形で記号化したバーコードをつけておき、それらを販売時に自動読取装置で読み取らせ、そのデータをコンピューターで処理するシステムのこと。売上情報や在庫管理などに役立つ。
149 . ポータルサイト
インターネットで提供される多様で豊富な情報の案内役となるのがポータルサイトで、求める情報が掲載されているホームページを見つけるための玄関(入口)となる便利なホームページである。ポータルサイトの利用は一般的には無償で、サイト自身は、テレビの視聴率と同様に利用者に利便性を提供することで利用アクセス数の拡大を図り、自らが発信する情報をより多くの利用者に提供したり、ネット広告などネット関連収入を得ることで運営している。情報が何処に掲載されているか分からない場合や関連情報を幅広く検索したい場合にはキーワードで検索する検索エンジン型(代表的なポータルサイトとしてはYAHOO ) を、専門的な情報を効率的に探し出す場合は情報を体系的に整理したメニュー型(日本木材総合情報センターの木材関連情報ホームページ)のポータルサイトを上手に使い分けることで情報が容易に検索でき、知的好奇心を満足させるネットサーフィン(web サイトを渡り歩き情報を得ること)が楽しめる。
150 . ホームページ
コンピューターによるネットワークであるインターネットが、いまでは商用にまで発展し、たとえば買い物なども、このコンピューターによる「ホームページ」でできるようになっている。そして木材業界においても主要な情報源になろうとしている。
このコンピューターによるホームページは、言語でプログラムされ、ちょうど雑誌を見ているような感覚で情報を閲覧できる。雑誌と違うのは文字のほかに画像や音声を合体させた形で情報を得ることができる点だ。ホームページで、さまざまなコンテンツ(情報を活用し、内容を充実させていく産業)が生まれてきた。ホームページは通常アドレス(データなどをメモリの中から探し出す番地の役目)を持っていて、それをソフトウェア(コンピューター利用上のプログラム)で検索できる。
製品市売市場においても買方が市場に足を運ばなくても必要とされる材が入手できるホームページ開設の動きを見せている。
151 . ホルムアルデヒド
( formaldehyde )
ホルムアルデヒドは、化学式HCHO で無色透明刺激臭のある気体である。このホルムアルデヒドの35 ~38 %水溶液がホルマリンと呼ばれる。フェノール樹脂・メラミン樹脂等、接着剤、塗料や生体標本など防腐、殺菌剤として利用されている。気中濃度(ppm )が高いと人体に障害を引き起こし、低くても人によっては目、鼻への刺激等不快感、苦痛を生ずる場合がある。ホルムアルデヒドの工業生産には、天然ガスから作られるメタノールCH3OH (メチルアルコール)を空気中の酸素O2 と酸化させる方法が用いられている。
なお、ホルムアルデヒドは、単純な物質で自然にも見られ、空気中放散量は明らかになっていないが、木質を構成するセルロース、リグニンなどからホルムアルデヒドが一定条件の中で生成(微量)されたと言う報告がされている。並びに、きのこ類、魚類等食品にも含有され、食品衛生法では適用除外の取扱となっている。
152 . ホワイトウッド
フィンランド、ノルウェー、スウェーデンといった北欧、またオーストリア(欧州)といったところからの輸入ホワイトウッド(松科のスプルース)が集成材管柱(通常3m )の原料として平成8 年以降著しく伸びている。
平成14 年の管柱主力の小断面構造用集成材の生産量は44 万㎥余りで前年比1.13 倍と大きく伸びているが、これらの主要原料は上記のホワイトウッドの輸入乾燥ラミナ(挽き板)である。
こうした北欧、オーストリアのホワイトウッドは当初大部分がほぼ100 年生ものの人工林であり、現地での伐採量は生長量の7 割であり、蓄積には余裕があるとされてきている。また生長が遅いだけに目が詰んでおり、筋は小さく、抜け節も少ないといわれている。なおホワイトウッドのほかに、輸入レッドウッド(欧州アカマツ)材も集成材の原料として伸びている。
153 .本ろつ…
かつての東京の木場うちなどで慣用されていた商売上の数の符丁でいまは懐かしい。「 本(ほん)ろつそれたよ山(やま)木(き)」の順で、本は1 、ろは2 、つは3 、そは4 、れは5 、たは6 、よは7 、山は8 、木は9 を指す。
たとえば「これは本の字だ」と言えば千の単位なら1 , 000 円、万の単位なら1 万円、「つならだよ」と言われたら3 の字が並んで、たとえば3 万3 , 000 円だと分かる。また「本れ」としゃべったら1 万5 , 000 のことである。
こうした符丁で自在に相場を語ることが出来、そして素人に知られることがなかった。が、逆にこうした符号を知らないと商売にならず木材商への新参者は符丁を知ることから始まった。いまは外材輸入時代で横文字が氾濫、こうした符丁も消えた。
154 .マーケットプレイス
IT 革命はブロードバンド、次世代携帯といった基盤技術の革新が進み、21 世紀の社会的ネットワーク基盤の整備が進むなか、e ビジネスを支援する新しいIT サービスの拡大がインターネット活用をさらに加速しています。例えば、マーケットプレイスは、供給者と需要者の間でn 対n の自由なEC (電子商取引)の場を提供するインターネット上の仮想商店街で、IT とEC 関連サービスを提供する情報取引の仲介業者です。多様な商品を品揃えする総合的なEC サイトや木材や建材に限定した専門街的なEC サイト等があり、出店料や売上手数料を払えば簡単にEC が始められる環境と場を提供してくれます。その機能はカタログ販売やオークション等情報取引機能だけでなく決済、物流等支援機能を含むサイトもあります。利用メリットは、多くの需要者アクセスが見込めること、IT の専門的知識なしに、比較的短期間に、安価にEC が始められることがあげられ、IT サービスを上手く利用することがe ビジネスを開始する有効な手段の1 つとなっています。
155 .丸太のヤング係数値測定
もともと曲げヤング係数値(ヤング率)は木材の曲がりにくさを示す数値である。この数値の大きいものの方が、曲がりにくいとされている。
最近は丸太市場でも丸太の木口面をハンマーのたぐいで叩いての、いわゆる打撃音法でのヤング係数値(E )を、含水率(D )とともに、その木口面に印字するところが出てきている。
印字している市場の丸太のE の表示は40~130 まで。打撃音法のメリットは、投資額が比較的少なく、手軽ですばやくヤング係数値が測定できる点である。
品確法(住宅品質確保促進法)がらみもあり、今後は丸太の段階で、こうした打撃音法などで等級区分けするところがふえそうである。
E の数値の小さいものは下地材向け、大きいものは構造材に使用するといった具合に、丸太の段階で用途仕分けが可能にもなる。
156 .見え掛り 見え隠れ
住宅資材について、よく「見え掛り」とか「見え隠(がく)れ」とかいう。で、見え掛りというのは材の露出部、つまり目に見えるところであり、見え隠れというのはこの反対、目に見えないところだ。
分かりやすく柱に例をとれば、真壁・日本間において化粧と強度の両面の役割を果たす柱、通常、無節の柱などは見え掛り材の代表的なものであろう。逆に大壁・洋間において壁の後ろにかくれている柱は見え隠れ材の典型的なものだといえる。とくに都市部においては住生活の変化で、このところむしろ日本間が減り、洋間がふえてきている。したがって見え掛りの役柱需要が次第に後退、柱といえば洋間用の見え隠れの柱が主流になってきた。
このことは大勢として無節材生産にも影響を与えるわけで、これからは見え掛りの無節の柱は“希少的価値材”に位置づけられよう。
157 .無等級材
日本農林規格(JAS)に定められてない木材をいう。平成14年3 月改正の趣旨と内容は、政令に規定されていない樹種の許容応力度及び材料強度は、強度試験によって求められていたが、この制度では、広く利用されている樹種については不合理であるとして、法令にその値を規定することとなった。特に外国産の木材強度については比較的短い周期で見直しを行うことが必要不可欠であることから、具体的な数値は建設大臣が定めることとして、短い周期での見直しに対応出来るようにした。
158 .銘柄化・ブランド化
このところ各県とも県産材の銘柄化・ブランド化に乗り出している。もともと銘柄というのは「商品の差別化」である。昔の銘柄化・商品の差別化というのは産地固有のものであった。たとえばミカンは紀州であり、お茶は静岡であって特定の産地に限られていた。 木材のほうは吉野、秋田、尾鷲材といったものが、いわば銘柄材であった。ところが、各県ともが地域材の出回り増を見込んで銘柄化に乗り出し、これからの銘柄材は過去のような産地固有のものではなくなりつつある。
で、その銘柄材だが、銘柄材に対するかつての考えは、たとえば無節材といった役物重視の思想であった。ところがこれからは住宅工業化の波で、求められるのはむしろ乾燥もされた性能資材であり、安定出荷が可能な材がブランド材の資格条件になろう。
159 .木材とダイオキシン
ダイオキシンの発生源のほとんどは廃棄物焼却によるもので、木材、廃材の焼却ではごく微量しか発生しないといわれている。しかし木材といえど規制の対象となる。特にいま問題視されているのが製材工場からの端材など木質系廃棄物の焼却である。木材はそのほとんどが炭素と酸素、水素でできている。その他に心材部に多く含まれる抽出成分があるが、木材の化学系の書籍をみても塩素を含む物質は見あたらない。だから純粋に木材だけ燃焼してもダイオキシンが発生する可能性は非常に低いと考えられる。しかし外材など海から来るものは塩が付着している可能性はあるし、発生量がゼロではないのが現実だといわれている。
なお「ダイオキシン類対策特別措置法」が平成12 年1 月15日に施行された。小型焼却炉についても、新たに規制の対象に加わるなど厳しいものになっている。
160 .木材の品質・性能
近年、住宅建築においてより高い品質や性能が求められる時代へと変化し、また平成12 年の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の施行等の中で、その部材である木材にも品質の安定や性能の向上が求められている。
木材の品質・性能に係わる区分、測定方法等の主な規格は、日本農林規格(JAS )により規定されている。ここで明示される寸法精度(厚さ、幅、長さ)、狂い、材面の割れ、節の状況などの規格への適合レベル、あわせてこれらの規格適合と密接に係わる適切な表示、乾燥処理、プレナーがけを総称して木材の品質と言う。また、製材品のかなりの量が構造材として使用されている実態から、柱、梁等部材の強度性能とりわけ曲げ・圧縮性能や土台部材の耐朽性、耐蟻性に係わる規格基準への適合レベルを一般的に木材の性能としている。
なお、広義の木材の性能には木材の耐磨耗性、寸法安定性、耐候性、耐火性能、音響特性等を包含していることに留意する必要がある。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)