木材関連用語集5

161 .木三共
木造3 階建て共同住宅のことを、よく略称で木三共(もくさんきょう)と言う。
準防火地域での木造3 階建てが可能になったのは1987 年の建築基準法改正からである。ただし準防火地域で木造3 階建てを建てるには、外部からの延焼を防ぐだけでなく、内部から出火した場合に備えて① 急激な燃焼の抑制措置、② 開口部から噴出する炎の抑制措置、③ 倒壊によって大量の火の粉が発生し周囲へ延焼することを防ぐための主要な柱、梁は断面を大きくする、などの措置が必要である。
また木造3 階建ての場合は構造計算を行なって設計することが義務づけられており、このことは在来軸組構法、枠組壁工法などのいずれも同じである。なお木造3 階建て共同住宅の建築は平成4 年度約550 戸であったものが、平成13 年度1 , 197 戸と増加して推移している。
162 . 木造共同住宅
木造共同住宅は構造躯体に木材を用い(軸組構法・枠組壁工法等)、かつ複数の家族及び人が居住し、避難上の共通廊下、共通階段を持つ等の特徴を有する。なお、2 階建・3 階建の一戸建住宅が、壁を共有して接したものは建築基準法上共同住宅とは取扱わず、重層長屋の分類に入る。また親子で使用する場合、上下を完全に分離し、それぞれに入口を設けた場合は共同住宅とみなされる。共同住宅は特殊建築物に規定され、平成4 年の建築基準法改正により、木造3 階建て共同住宅が防火・準防火地域以外の場所に限り建設可能となった。さらに、一定の防火条件を満たせば3 , 000 ㎡以上の木造3 階建て共同住宅が可能となり、次いで平成11年から準防火地域での木造3 階建て共同住宅の建設が可能となっている。
共同住宅は、建築基準法以外でも各地方自治体により条例があり、基準法プラス地方条例という形で計画する必要がある。
163 .木造住宅CALS ( commerce At Light Speed :光速電子商取引)
CALS(キャルス)は製品情報を共有し、企業内及び関連企業が設計・資材調達・生産・販売・アフターに至る各業務や商取引を光速に行う仕組みで、商品供給の合理化とマーケット変化に迅速に対応することを目的としている。軍需製品の設計・開発用に開発された「生産・調達・運用支援統合情報システム」(Computer Aided Logistic Suport )が基本となっており、受注、出荷、請求処理といった既存の業務プロセスに沿った情報処理と大きく異なり、製品情報を中心に資材情報や工程情報を共有し関連業者間の業務プロセスを出来る限り並行的に処理する仕組みである。木造住宅CALS は、CALS とEC (電子商取引)やEDI (電子データ交換)と組み合わせることで木造住宅供給の合理化を目指そうとする管理手法で、CAD で入力した個別注文住宅の設計情報を基に資材調達・施工・アフターを行う住宅供給関連業者の連携を深め効率化することで、他社との差別化を図る手段としての活用が期待できる。
164 . ヤング係数(ヤング率)
部材に引張り、圧縮、せん断、曲げ等の外力(荷重)が働くと、部材には伸び、縮み、ずれ、たわみ等の変形が必ずみられる。そして部材には外力に等しい内力が発生する。この内力について、ある断面の単位面積に作用したものを応力と呼び㎏f /㎡の単位で表わす。
そこで、荷重を増加負荷させ、部材の変形する関係を、応力(縦軸)と歪み(横軸)の関わりに置き換えると、部材が破壊する最大応力のおおむね2 / 3 までの大きさの範囲は直線比例を示す。一般的に、この直線比例域内においては、応力(б)と歪み(ε) の関わりはε =б/Еとおくことができる。この比例定数E をヤング係数と言う。曲げヤング係数はJAS 機械等級区分製材の規格で用いられている。
なお、ヤング係数の主な算出方法は、非破壊の機械でヤング係数(主として曲げ)と強度の高い相関関係を応用したもの、また部材に衝撃的な荷重を加えたときに発生する共振現象や微少な振動を利用した2 つの方法がある。
165 .有害産業廃棄物
工場などが事業活動によって排出する廃棄物のことで、すでに昭和40 年代、燃えがら、汚泥、廃酸、廃アルカリ、煤塵などについて工場や事業所による処分方法が規制された。
産業廃棄物ではないが、廃乾電池、廃蛍光灯、体温計などの水銀含有廃棄物の処理も問題になっている。
なおゴミ焼却施設の焼却灰や集塵灰から検出されるダイオキシンも社会問題視されている。ダイオキシンはモノの燃焼にともなって生成される有毒な塩素化合物であり、平成9 年には世界保健機構( WHO )でも、人に対して発がん性があると正式に規定した。廃棄物の焼却にともなうダイオキシンの削減が急がれている。
166 .床倍率
性能表示制度の「構造の安定に関すること」の項目で、等級2 および3 においては、建築基準法に定める規定をクリアーさせる事に加えて、より高い安全性を確保するために、安全性の確認方法に新たに加えられた規定である。
耐力壁や準耐力壁で十分な壁量を確保していても、2 階の床や屋根面等が十分に固められていないと、地震力や風圧力が加わった時に上部の水平力を下部に正しく伝えられず、建物全体の耐力を確保できない。
つまり、耐力壁が多く必要とするような平面計画であったり、吹き抜けが多い建物などの時は、その条件に対応した床の固さを必要とする事になる。壁倍率か壁の強さの事を称するように、2 階の床や屋根面の固さを表現する方法として、床倍率という表現方法を使っている。
具体的には、以下のとおり。
構造用剖反24mm 、直張り、N75 、150 以下、床倍率3.0
構造用合板12mm 、根太303 、半欠きN50 、150 以下、床倍率1 .6
167 .養生(ようじょう)
製材工場などの間で、よく養生という言葉が使われる。養生には“保護” と“ 自然に馴染ませる”といった二つの意味がある。保護の意味では、柱などが汚染しないように砥粉(とのこ)塗り、紙張り、ビニール張りなどで木面を保護すること。またモルタルや打ち終わったコンクリートが十分硬化するよう保護することだ。一方、“馴染ませる”という意味ではたとえば板など乾燥したあと暫く一定期間自然の状態に置く。すると自然の湿度に馴れて乾燥が均一化されたり、挽き割ったソリが出ないといった具合に良い意味で応力が低減する。
ただこうした養生という行為にも消極的なものと積極的なものとがある。ただ漠然と自然に放置しておいても結果としては養生の役割を果たしもするが、ここでいう養生とは品質管理のうえでの積極的な管理行為を指している。
168 . ラーチ(larch )
ラーチはカラマツ(唐松)(落葉松)のこと。マツ科の落葉高木であり、よくロシア産カラマツ、つまり北洋材のカラマツのことを「ラーチ」と呼んでいる。カラマツはもともとは建築用材、製紙原料などだったが、このところ南洋材丸太輸入の大幅な減少から合板メーカーが針葉樹への急速な転換を進めたが、その主要な針葉樹原料となっているのがこの北洋カラマツだ。
このところ針葉樹合板のために使われる針葉樹丸太は前記の北洋力ラマツが約60 %、ニュージーランド産のラジアータパインが約30 %で、この両者で90 %ほどを占めるに至っており、この点からも北洋カラマツが大きく脚光を浴びるに至っている。北洋材はロシアの政治経済体制の揺れからくる貿易上の不安定要素を抱えてはいるものの、わが国の針葉樹合板産業にとっては重要な原料となっている。
なお岩手県の宮古地区では、 国産カラマツによる合板が製造されている。
169 . ラーメン(Rahmen )構造
木造の建築物の構造には、①柱、梁、筋交(か)いからなる軸組(在来)構造、② ツーバイフォー工法やパネル工法のような耐力壁で荷重を支える壁式構造があるほか、③柱や梁はあるが筋交いの少ないラーメン構造がある。
ラーメン構造は、柱と梁の筋点が堅い金物のたぐいで接合され一体となっている骨組みのことであり「剛節架構」ともいわれている。大断面集成材を用いた建築物によく見られ、このラーメン構造だと体育館とか文化会館とかいった天井も高い大きな空間が造れるのが特徴である。
ラーメン構造は大断面集成材が使用されるようになって、いっそう広まった工法で、大規模木造建築物時代の到来で脚光を浴びている。
「剛」は柔に対する剛であって、接合に使用する材は金物に限るわけではない。
170 . ランバーとティンバー
(Lumber 、Timber )
木材と言う語は、講談社日本語大辞典で「伐採した樹木を建築・製紙・合板など種々 の用途に適するように加工したもの。材木」、その材木は、「建築・器具用にする木」となっている。
木材は原木(丸太)かつ製材品を含む言葉として、また、材木は主に製材品の意で用いると考えるが、木材関連の用語は伐採したものか、これから伐採するものなのか、枝払いし玉切りした丸太なのか、製材品なのか、その形態が極めて暖味な中で用いることが多い。この木材の形態について英語では、伐採・搬出し枝を切り落として丸太にしたものをlog 、丸太の樹皮を剥ぎ建築等の用途に整えたものが一般的なwood である。また、建築用材としての角材、板材を米国等ではlumber とし、英国ではtimber を主として用いる。なお、米国等ではtimber を立木や伐採・搬出しただけの形態の木材に用い、鋸で挽いて加工したものをlumber として区別する場合があることに留意する必要がある。
171 .利回り
利回り・利率は元本に対する利子の割合だが、最近の林業の利回りは1 %以下だといわれ、これが林業経営意欲喪失の一因になっている。林業白書によるとスギ50 年での利回りは昭和40 年度には6.3 % だったが、すでに平成4 年度には1 %を割って0 . 9 %に落ち込んだという。
たとえばlha 当たりスギ50 年生の木立収入が392 万円だったのに対し、植林・育林に必要とされた経費を270 万円とする。 すると収入から経費を差し引いた利益は122万円。この122 万円を50 年間で割ると年間の利益は2 万4 , 400 円。この2 万4,400 円を投資した270 万円で割ると0 . 9 %。 つまり年間の利率は1 %を割ることになる。植林費・育林費の中で大きいのは労賃で、これが50 %強を占め、さらにこの労賃の中でも下刈費が大きく、その約50 %だとされているo
いずれにしても木材・丸太の安定供給が注目されているが、課題解決には山元還元も必要になる。
172 .流通銘柄・産地銘柄
銘柄化には流通銘柄と産地銘柄がある。流通銘柄というのは一般的にいえば流通段階・消費者層の間で、“製品”としての知名度・評価が高いこと、いわば製材メーカー筋によってつくられた銘柄であり、たとえば東濃ヒノキの柱角などがその例である。一方産地銘柄というのはもっと広範なもので① 丸太、製品を含め良質材の出現率の向上、② 計画生産による安定供給、③ 大量集積による品ぞろえといった体制を整え、産地から生産された材を全量販売する木材供給構造の構築を指すものだ。このためには育種、育苗、生産、加工、流通に至る各部門の整備が必要である。東濃産地では、いまの流通銘柄から産地銘柄への飛躍に力を入れている。
173 .レギュラー(regular )材
米材丸太で使われる用語だが、野球でいう「常時出てくる選手」と同じで、一般材のこと、長さはさまざまだが12m くらいが多く、径級は30~58cm どまり。もっとも最近は太いものが少なくなっており径30~45cm ほどにまで下がっている。径が30cm を下回ると細い下級のポール材になる。
なお高いグレード(等級)順にNo.l 、2 、3 といった区分けがあるが、レギュラー材はNo.3 あたりに該当する。
米材は、オールド・グロス(一般的には天然木で樹齢100 年以上の用材)からセカンド・グロス(100 年生未満の若齢木、二次林木が多い)へ移行しており、次第にレギュラー材、並材が多くなる。
174 . ロイヤリティ(Royalty )
サバ州、サラワク州といったマレーシアで実施されている原木の輸出税。輸出業者が当局へ支払う。
樹種別にランクづけされている。ランクは現在A 、B 、C 、D 、E 、F 、G 、H 、その他の9 ランク。たとえばAはセランガンバツ(NO.1 、2)、B はセラヤ(赤、白)、C はクルインといったもの。
その都度、見直し、改訂されているが、マレーシアにしても基本的には丸太輸出を規制しようという方針だから、原木輸出税は値上がり傾向にある。
175 . ロー・ロー船(Roll on – Roll off vessel )
米材本国挽き製品を運んでくるフェリーボートのようなもので、岸壁に着くと後部からトラックやフォークリフトが出入りして船の内部で積み込みができる。つまり荷役が少ないから荷痛みがないし、時間も短縮できる。
また甲板に風の取り入れ口があり、船の中を風が通って後部に抜けるから航海中にも乾燥されカビも生えなく、この点は密閉されたコンテナ輸送より良い。
たとえばカナダのシーボード社の場合、45 日間に3 隻が循環しており15 日間に1 船入るスケジュールであった。なお積載量約5 万㎥

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