広葉樹の色々 その2

トチノキ、栃(トチノキ科)
北海道南部、本州、四国、九州に分布します。東北地方や
北海道南部に多く見られます。中国にもみられます。とくに
蓄積が多いとはいえませんが、大木になるので、山地のハイ
キングコースなどでよく目にする木のひとつです。また、街
路樹や庭園樹としてよくみられる木です。
木材
辺材と心材の色の違いはほとんどありません。木材の色は
やや赤みを帯びた黄白色~淡黄褐色です。年輪の境はあまり
はっきりしません。肌目は精で、仕上げた材面には絹のよう
な光沢があります。大木になるとその幹にはコブがあったり
凹凸があるため、木材になったときにその木理が乱れること
があります。この結果、いろいろの美しい杢をもったものが
あります。気乾比重は0.40-0.52(平均値)-0.63で、軽軟
な木材といえます。木材の保存性は非常に低いです。切削な
どの加工容易で、よい仕上がり面がえられます。乾燥の際狂
いが出やすいといわれています。
用途
軽軟で、加工がしやすいことから、器具、玩具など、さら
に最近では民俗家具に使われています。美しい杢の出るもの
は高く評価されています。観光地などで売っている土産物の
茶道具、日用品などにかなり多く使われています。

ハリギリ、セン、栓(ウコギ科)
北海道、本州、四国、九州に、また朝鮮半島、中国、ロシ
アに分布しますが、産地としては、北海道が最も有名です。
この樹種は、木材としてはセン、樹木としては枝にとげがあ
ることからハリギリと呼ばれます。木材をオニセンとヌカセ
ンと呼んで、2種あるとすることがあります。これは分類学
上の違いによるものではなさそうです。オニセンと呼ばれる
ものは、年輪幅が広く、より重硬で、乾燥などで狂い易いの
に対し、ヌカセンは年輪幅が狭く、より軽軟で、加工し易い
ため、家具用に好まれているようです。
木材
環孔材なので年輪界がはっきりと見え、肌目は粗です。一
般に樹木の成長がよい若い時期に形成された木材では、年輪
幅が広くなるので、年輪内に占める環状の道管の部分の割合
は少なくなり、繊維の部分の割合が増えます。このため比重
が高くなります。逆にだんだんと樹齢を重ねると年輪幅が狭
くなり、比重は低くなります。気乾比重は0.40~0.52(平均
値)~0.69で、広葉樹材としてほぼ中庸です。心材は淡黄褐
色あるいは黄白色で、辺材はやや淡色です。木材の保存性は
低く、加工はし易いといえます。とくに年輪幅の狭いものは、
より軽軟で、加工し易いため、家具用材としては好まれてい
ますが、あまり軽軟になると脆くなりますので、逆に使いに
くくなります。
用途
家具、合板、器具、建築、下駄(価格の低いもの、ヤマギ
リと呼ばれる)。かつて、センの合板が、米国へ大量に“sen”
の名で輸出されたことがあり、一時は米国市場での有名な輸
出材の一つとされていました。

ハルニレ、アカダモ、楡(ニレ科)
北海道、本州、四国、九州、さらにサハリン、朝鮮半島、
中国などに分布しています。その蓄積は日本では北海道で一
番多く、そのため、北海道のイメージを現すときにニレとか
エルムという形でこの木の名前が使われているのをご存じで
しょう。同じ属のなかにはこのハルニレのほかにアキニレ
(U.parvifolia)とオヒョウニレ(U.laciniata)があります。
木材
辺材と心材の間の色の差は明らかです。前者はくすんだ白
色で、後者はくすんだ褐色です。大きい道管が環状に配列す
るため、年輪界ははっきりとしています。木理は通直で、肌
目は粗です。幹にコブのあるような場合には、美しい杢が材
面にあらわれ、化粧的な価値が高くなります。その杢のあら
われ方によって色々な名前が付けられています。気乾比重は
0.42-0.63(平均値)-0.71でやや重硬な木材です。保存性
は低いといえます。切削などの加工はどちらかといえば難し
いといえます。曲木ができます。表面の仕上りはあまりよく
ありません。
用途
家具、器具、車両などがあります。内装や家具などで、淡
色の木材が好まれた時期があり、柾目どりをした単板が天然
木化粧合板にかなりの量使われました。またその時にはムク
の板も家具などに使われ、ちょっとしたブームになりました。

ブナ、掬(ブナ科)
北海道南部から本州、四国、九州に分布します。同属の樹
種にイヌブナ:F.japonicaがあり、本州、四国、九州に分布
しています。かつてブナ類は良質材とはされていませんでし
たが、蓄積が多いことから、利用技術の開発が精力的に進め
られた結果、ブナ合板・フローリングなどに多量に消費され、
蓄積は非常に少なくなっています。現在ではブナは希少材と
して注目されています。
木材
辺材心材とも、正常な場合は白色ないし淡桃色ですが、し
ばしば、不斉円形の濃色の部分をもっています。これを不正
常な心材ということで偽心材と呼んでいます。この偽心材の
部分には、何重にも、縞があり、菊花の模様となることがあ
ります。肌目は精で年輪界はどちらかといえばあまりはっき
りしていません。放射組織が広く、高いので、板目面ではゴ
マのような濃い色の点となり、柾目面では帯状の模様(とら
ふ)となります。保存性が低く、伐採後直ぐに薬剤処理をし
ないと、変色や腐朽をおこし易いのが難点です。また木材は
防腐剤を注入しにくく、鉄道枕木に使用するときは、材面に
刃物でキズをつけて注入します。加工性は中庸で、乾燥によ
って狂いが出易い樹種です。この木材は曲木し易い性質があ
り、その他の樹種では代替しにくいこともあり、曲木家具の
代表的なものの一つとなりました。ブナは、家具(とくに脚
のついたもの)として大量に用いられて大分枯渇してしまい、
熱帯材で代替しようとしていますが、今でも曲木部分につい
てはブナが多く使われています。
用途
家具、器具、合板、漆器木地、玩具、曲木、靴木型、日用
品、パルプなどがあります。手作りの木製の台所用品にはブ
ナ製品が多いでしょう。

ホオノキ、朴(モクレン科)
北海道、本州、四国、九州、沖縄などに分布し、さらに朝
鮮半島、中国中部にもみられます。蓄積は多くはありません
が、よく知られているように葉がおおきいので、森林の中で
比較的目につきやすい木です。一般の人にとっては、旅先の
旅館などで出される朴葉味噌や、学校の工作の時間に手にし
た木片などを思い出せばホオノキの名前が浮かんでくるので
はないでしょうか。
木材
辺材と心材の色の差はあまりありません。辺材はくすんだ
灰色で、心材はくすんだ緑色です。年輪界はやや明らかです。
木理は通直で、肌目は精です。気乾比重は0.40-0.49(平均
値)-0.61と、軽軟で保存性は低く、切削などの加工性は非
常にしやすく、表面の仕上がりはよい方です。製品の狂いの
少ない材でしょう。
用途
肌目が精で、軽軟で、しかも狂いが少ないので、こまかい
細工ができるため、彫刻、機械、箱、寄木、建築内装、器
具、刃物の鞘などに使われています。朴歯(下駄)の歯はこ
のホオノキを使っていて、木の名前がそのまま製品の名前に
なっています。

マカンバ、ウダイカンバ、樺 (カバノキ科)
北海道から本州北中部、南千島に分布します。カンバ類に
はこの他、ミズメあるいはヨグソミネバリ:B.grossa、ダ
ケカンバ:B.ermaniiなどがあり、前者は岩手県以南の本州、
四国、九州、後者は北海道、本州北、中部、四国、朝鮮、ロ
シア沿海州、カムチャツカなどに分布します。カンバ類は北
半球に広く分布しており、それぞれの国で重要な広葉樹材の
一つとされています。この他にも、山岳地帯の風景の一つと
して、忘れられないシラカンバも、もちろんこの仲聞です。
木材として重要なものはマカンバとミズメですが、ダケカン
バもそれらの代替材として用いられています。注意を要する
のは、このカンバ類を用材として用いる場合、業界ではサク
ラ(カバザクラあるいはミズメザクラ)と呼ぶことが多いこ
とです。もちろんカンバ類ですからサクラ類とは関係がない
のですが、このような習慣はすでに明治時代からあります。
木材
年輪界がはっきりせず、木材はかなり均質といえます。気
乾比重は0.50~0.69(平均値)~0.84:ミズメなどで重硬な
木材です。このように均質、重厚な性質が、耐摩耗性が必要
で、平らな面がいつまでも保持出来るという用件を満たすた
め、カンバの類が体育館の床に幅広く用いられます。カンバ
類の木材の色は別表のとおりです。ミズメ、マカンバなどの
心材の保存性は中庸で、加工性も中庸です。良い仕上げ面が
得られます。シラカンバ:B.platyphylla var.japonicaは淡
色で、耐久性が低く、気乾比重は0.60で、より軽軟です。
用途
家具あるいは建築の内装用(つき板)としては高級な材料
です。器具、床板、合板、靴の木型などに用いられます。シ
ラカンバはアイスクリームの匙や割箸に用いられます。

ミズナラ、楢 (ブナ科)
北海道、本州、四国、九州、さらにサハリン、南千島、朝鮮半
島などに分布しますが、代表的な日本での産地は北海道です。
この類の木材は、広葉樹材としては日本のみでなく、欧米諸
国においても代表的なものです。フランスのルーブル博物館
の展示品家具のなかには、ヨーロッパ産の同類木材が使われ
ているものがあります。最近日本においてもミズナラ製の家
具に対する需要が高まってきています。これは、たぶん住宅
様式の欧風化と本物指向に伴って、ミズナラのもつ木材の味
わいが見直されるようになったからでしょう。歴史的にミズ
ナラの類がヨーロッパでは高級棺用材として珍重され、北海
道からそのための厚板として古くから輸出されていました。
木材輸入国の日本から海外へ輸出された珍しい例です。
木材
心材は褐色で、淡色の辺材からはっきり区別出来ます。環
孔材であるため、年輪がはっきりとしています。環孔材のた
め、成長がよいと木材の比重が高くなり、硬くなります。逆
に成長が悪いと、軽軟になります。放射’組織が幅広く、高い
ので、とくに柾目面では、帯状の模様(とらふ)がはっきり
とあらわれ、家具材に用いたときの大きな魅力となっていま
す。気乾比重の値は0.45~0.68(平均値)~090で重硬です。
心材の保存性は中庸で、加工は難しい方です。
用途
洋風家具、器具、床板、運動具、洋酒樽、造船、木炭、合
板、単板、車両などがあります。ウィスキーの樽は、日本は
もちろんイギリスやアメリカでもこの類の木材で作られてお
り、日本酒とスギとの関係のように欠かかせないものです。

ヤチダモ、タモ(モクセイ科)
北海道、本州北、中部、また朝鮮半島、中国、樺太、シベ
リアにも分布します。なかでも北海道は産地としてよく知ら
れ、代表的な木材の一つです。この類の木材は有用なものが
多く、本州、四国、九州に分布するシオジ:F.spaethiana、
北海道、本州、四国、九州、屋久島に分布するアオダモ:
F.lanuginosa var.serrataその他があります。また、野球のバ
ット用材として有名な北米産のホワイトアッシュ:F.americana
は同類です。この類の木材の特徴は、世界的に運動具用材と
して有名なことです。
木材
環孔材なので、年輪がはっきりしていて、年輪幅が広いと、
比重が高く、重硬となり、年輪幅が狭いと逆に木材は軽軟と
なります。したがって運動用具に使う場合には強い成長のよ
いもの、逆に家具用材には加工し易い成長の悪いものが、そ
れぞれ好まれます。辺材は淡黄白で、心材は褐色です。アオ
ダモはヤチダモより淡色です。木材の保存性は中庸で、加工
のし易さは中庸です。気乾比重は0.43~0.55(平均値)~
0.74:ヤチダモ、0.62~0.71(平均値)~0.84:アオダモ、
0.41~0.53(平均値)~0.77:シオジなどです。ヤチダモと
シオジは家具、合板用材として日本の代表的な樹種といえま
す。同類ですが利用のされ方が違っているのがアオダモです。
プロ野球選手の使っているバットが日本製であれば、ほとん
どがアオダモでしょう。
用途
家具、器具、合板、内部装飾などがあります。かつて木製
のテニスラケットが全盛の時期には、この類の木材がほとん
ど全てに使われていました。

アピトン、クルイン(フタバガキ科)
70種以上あり、インド、スリランカ、ミャンマー、タイな
どを経てインドシナ、フィリピン、スマトラ、ボルネオ、バ
リに分布します。東南アジアから輸出される木材のうち、メ
ランチ類に次いで、大量に取引きされています。産地によっ
て、呼び名が違っているので、その一覧表を示します。
かつては、表面に出ないような構造部分や、強さが必要な
用途に用いられることが多かったのですが、最近では、合板
の材料としても大量に使われています。
木材
心材は濃灰褐色、赤褐色などですが、長期間大気にさらさ
れるとより濃色になります。この類の木材は、短い接線状に
配列する軸方向細胞間道(樹脂道)があることが特徴となっ
ており、このことによってメランチ類から区別出来ます。放
射組織の中に、シリカの小さい塊を含んでいます。また、材
面には“やに”が滲み出ていることが多く、決して美しいと
はいえません。この“やに”があることとシリカがあること
が、この木材の加工を難しいものにしています。気乾比重は
0.64~0.91(マラヤ産クルイン)、0.75~0.86(カンボジア産
チュテール)、0.60~0.66(フィリピン産アピトン)などです。
耐久性はとくに高くはないが、保存薬剤の注入がし易いため
に、処理をして枕木に用いられています。
用途
材面が美しくないため、装飾的な要素の必要でない用途に
用いられることが多く、重構造物、防腐処理をして埠頭、橋、
枕木など、床板、羽目板、トラックの車体などがあります。

イエローバーチ(カバノキ科)
カナダのニューファウンドランドから南東部をへて、米国
のメイン州など北東部から5大湖地方を経て、ジョージア北
部とテネシー州の山地に亘って分布しています。比較的低い
地域にみられる樹種で、1,000m以上に分布しているのは、
アパラチア山脈南部のみです。樹高は18~24mで、直径はお
およそ75cmです。北米産カンバ類のなかの代表的な樹種で
す。
木材
辺材と心材の色の差は、はっきりしていることが多いです。
辺材は淡黄色です。心材は普通、赤褐色ですが、樹によって
色の違いがかなりあるといわれています。木理は通直で、肌
目は精です。年輪の境には、色の濃い線があって、かなりは
っきり見えます。木材は均一で、その性質は日本産のマカン
バやミズメとほとんど同じと考えてよいでしょう。気乾比重
は0.71で、重硬な木材といえます。加工は容易で、材面はよ
く仕上がります。また、塗装の仕上がりがよく、扱いやすい
木材です。
用途
どちらかというと、材面が特別な模様をもたず、ほぼ均質
で、これといった特徴をもたないので、時代の流行にのらず
に、むしろ常に一定の根強い需要がある木材です。器具材、
ベニヤ材、靴の木型をはじめ多くの用途がありますが、なん
といっても、家具あるいは内装用に用いられるのが中心でし
ょう。現在では価格が高くなり、目に触れるものは、ほとん
ど高級家具になっています。日本にも少量ですが、輸入され
て家具に使われています。

イ工ローポプラ(モクレン科)
ポプラという名前がついていますが、ポプラとはおよそ縁
遠い植物で、日本産のホオノキと同じ科です。植物園へ行く
と、たいていは一本ぐらい植えられています。樹木の場合、
普通はハンテンボク、ユリノキ、チューリップツリーの名前
が付けられていて見過ごすかも知れません。緑がかった橙色
の大きな花を咲かせます。
米国東部の落菓樹林に見られる樹木で、一般的には低い山
地に生育しています。アパラチア山脈やオハイオ河渓谷地域
では、最も大型になり、大きいものは樹高50m位にまでなり
ます。
木材
辺材と心材の色の差ははっきりとしています。前者はほぼ
白色で、後者はオリーブグリーン(しばしば、濃い緑、黒、
紫色など縞が出ます)です。成長のよいものは、辺材の幅が
広くなります。年輪の境界は淡色の線で、はっきりとしてい
ます。木理は通直で、肌目は精、気乾比重は0.45とやや軽軟
です。乾燥は容易で、損傷がでることは少ない。加工は容易
で、仕上がりがよく、釘打ちしても、割れはほとんどでませ
ん。塗装はしやすく、よく仕上がります。
用途
軽軟で、加工がし易いので、アメリカでは一般木工用の木
材としてよく使われています。内装用、建具、ドア、玩具、
合板などそのよい例です。少量ですが、輸入されて、テーブ
ルなど家具材あるいは楽器に使われ、利用する企業はだんだ
んと広がってきていますが、上述したこの木材の黄緑色がか
った色は塗装のために見えないので、この木とわからないこ
とが多いでしょう。

イペ、夕べブイア(ノウゼンカズラ科)
タベブイアは熱帯アメリカ産の重硬な木材の代表的なもの
の一つで、米国の木材市場では古くから知られていますが、
日本では一般的にあまり知られている木材とはいえませんで
したが、最近大きく注目されています。熱帯アメリカに分布
しており、数種あることが知られています。中型から大型の
樹木で、大きな丸太がとれ、ブラジル産のものは、アマゾン
河の高地地帯で最も大きくなる樹種の一つで、樹高40mに達
するものがあります。
木材
辺材と心材の色の差ははっきりとしています。辺材は白色
あるいは黄色を帯びています。心材はやや緑色を帯びた褐色
から黒に近い褐色になり、時には色の違いによる不均一な筋
がでます。非常に重硬で、気乾比重は0.96-1.28です。木理
は交錯することが多く、肌目は精です。加工はむずかしく、
欠けることが多いですが、仕上がると美しくなります。耐久
性は非常に高く、かつて、リグナムバイタが船のスクリュウ
の軸受けにさかんに使われていた頃、この木材がよく似てい
ることから代替材として試されたという記録が残っていま
す。
用途
重硬で耐久性が高いことから、建物の土台、梁、窓枠、ド
アなどによく用いられ、また、鉄道枕木、杭などにもされて
います。日本での利用は横浜港大桟橋が知られていますが、
強さ、耐磨耗性、耐久性が必要な用途に利用されています。

カプール、カポール、
ボルネオカンファーウッド(フタバガキ科)
一般的によく知られているのは、上述の7種で、スマトラ、
マラヤ、ボルネオなどに分布し、フィリピンに分布がないの
が特徴です。ボルネオカンファーウッドという奇妙な名前が
ついていますが、これは木材に、樟脳様の強い芳香があるた
めです。かつてフタバガキ科を、龍脳香料と呼んだこともあ
りました。この類の木材から得られた高い芳香をもった樹脂
を龍脳香と呼んで漢方薬に用いています。このために上述の
科名が考えられたのでしょう。いずれにしても、木材が新し
いときの芳香は強烈で、気持ちが悪くなることもあります。
これだけで、この類の木材は他からはっきりと区別出来ます。
木材
辺材はやや桃色を帯びた淡黄褐色で、しばしば黄色の部分
があり、心材は淡赤褐色ないし濃赤褐色です。メランチ類と
同じように同心円状に配列する軸方向細胞間道(樹脂道)が
ありますが、横断面でみると、その部分に濃色の“やに”が
滲み出ていることがあります。放射組織の中にシリカの小さ
い塊を含んでいます。したがって、製材や加工の際、硬い金
属の刃物を使った上で、刃の交換を早くする必要があります。
水分のある処で、鉄と接触していると濃色の汚染が出ること
があります。保存性はとくに高いとはいえません。気乾比重
は、0.74~0.18(D.aromatica)、0.56~0.83(D.lanceolata)
などで、重硬な木材といえます。そのため、クルインと同じ
ような用途に用いられています。
用途
建築、床板、車両、構造物、家具、合板など広い用途に使
われています。

カメレレ(フトモモ科)
カメレレは、日本に輸入され用材となるユーカリ類の中で
は、もっともよく知られているものでしょう。ユーカリの仲
間は数百種ありますが、カメレレはアジアの熱帯や太平洋地
域あるいは、その他の熱帯地域で、造林が成功している樹種
の一つです。日本に一般に輸入されているものは、パプアニ
ューギニア産の天然木です。ニューギニアでは、単一樹種で
大量に入手出来る樹種が少なく、カメレレはその内では、比
較的大量に得られるので、パプアニューギニアの樹種の代表
的なものの一つとされています。
造林したものは大変成長がよく、個体によっては17、8年
で直径70cmを越えることさえあります。熱帯各地では、カ
メレレをパルプ用原料として造林することが多いのですが、
大きくなったものは合板用材としても使えます。
木材
辺材が桃色を帯び、心材の色は淡赤褐色ないし赤褐色なの
で、辺材と心材との境界ははっきりしません。肌目はやや粗
く、木理は通直なもの、やや交錯するものなどがあります。
天然木の場合にはやや重硬ですが(気乾比重:0.62~0.69)、
造林木の場合はずっと軽軟(同:0.42~0.45)です。製材や
機械加工は容易で、仕上げた面は非常に良く、旋作すると表
面が毛羽立つことがありますが、研磨によって平滑な材面が
得られます。人工林からの木材はずっと軽軟で、別の樹種の
木材のようにみえます。
用途
天然の大木からのものは、家具、屋内建具、壁パネルなど、
また合板用としても使われています。造林木はパルプ原料に
されます。

ゴム、パラゴム(トウダイグサ科)
木材の事情を知らない人にとっては、何故木材のところに、
ゴムがでてくるのか奇妙に感じられるのではないでしょう
か。このゴムの木は、勿論天然ゴムの原料ですが、その幹が
近年木材の原料として注目されるようになっています。多分、
ゴムの木材を材料としたテーブルのような家具をそうとは知
らないで、使っている家庭も多いのではないでしょうか。パ
ラゴムはもともとブラジル原産ですが、いまでは、東南アジ
アなど熱帯の各地域に広く植栽されており、重要な産物です。
木材
辺材と心材の色の差はほとんどなく、淡黄白色です。した
がって、いろいろな色をつけることが容易です。一方で、変
色菌の害を非常に受けやすく、水分の高い状態で、ちょっと
油断をすると、ひどい場合には、黒い汚い木材になってしま
うので、迅速に乾燥する必要があります。木理はほとんど通
直で、肌目はやや粗です。気乾比重は0.56-0.64で、硬さが
中庸な木材といえます。切削などの加工は容易です。
用途
代表的なものとしては家具の材料があります。産地で部品
に加工されたものが日本へ輸入されています。熱帯の各地に
広く植栽されていて、木が古くなると植えかえる必要がある
ため、一定量の供給が期待出来るよい材料といえます。

セランガンバツ、バラウ、バンキライ(フタバガキ科)
セランガンバツは別称バラウ、バンキライと呼ばれ、フタ
バガキ科Shorea属の木材です。産地は、主にインドネシ
ア・スマトラ島、インドネシア・カリマンタン島等で、一定
の地域に広範囲に分布することから、希少性の材が多い中に
おいて供給にやや優位性があります。
日本には、メランチ同様に古くから輸入されている堅木で、
耐朽性が優れ、またブラジル国産のイペと比してコスト面、
大断面等の特殊サイズに対応できることから、近年はウッド
デッキ材、フローリング材、桟橋、甲板などに多く利用され
ています。
木材
材の特徴は、心材の色合いが黄褐色~薄褐色をし、辺材は
淡色で区別鮮明となっており、また木目は細かく、比較的自
然の欠点少なく、脆心(ブリットルハート)は少ない。南洋
材の中で特に重硬で最高水準の強度を備えるとともに、優れ
た耐腐朽性を発揮します。なお、経年変化や野外での紫外線
の影響で銀白色に変化することがあります。
用途
マリーナデッキ、ベランダ、屋上デッキ、遊歩道、桟橋、
海洋建築物、ベンチ等広範な用途で用いられます。

 

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