「あっ!」気が付いた人だけが本物の木の優しさを体感できる

気が付いた人だけが本物の木の優しさを体感できる

はじめに

無垢材のフローリングを選んだはずなのに、「思っていたほど温かくない」「足触りが気持ちよくない」と感じたことはありませんか?
実は、「木の優しさ」を引き出せるかどうかは、木材そのものだけで決まるわけではありません。

その違いに気がついた人だけが、見た目だけではわからない本物の木の心地よさを日々の暮らしの中で実感できるのです。

 

無垢フローリングを選んだのに「冷たい」「べたつく」と感じるのはなぜでしょうか?

無垢材のフローリングを採用したにもかかわらず、「思ったほど温かみがない」「足触りが期待と異なる」と感じる方がいらっしゃいます。
このような体感のズレは、無垢材自体の性質ではなく、表面に施されている塗装の種類や仕上げ方法に起因するケースが多く見受けられます。

建材に関する知識がないと見落としがちな点ではありますが、こうした情報を事前に把握しておくことで、住まい選びの精度は格段に高まります。

 

自然素材住宅の普及と安全性への関心

自然素材を積極的に取り入れた住宅づくりが注目されるようになったのは、およそ30年前からのことです。
それ以前は、新築住宅やリフォーム直後の住居において、刺激臭や目への違和感を感じることが少なくありませんでした。
こうした背景から、「シックハウス症候群」への関心が高まり、建材に含まれる化学物質を抑制する目的で、F☆☆☆☆(フォースター)表示制度などが導入されてきました。

 

無垢フローリングが期待と異なる感触になる理由

床に無垢フローリング、壁や天井に漆喰や珪藻土など、自然素材を使用した住空間は、快適さと健康への配慮を両立するスタイルとして広まりつつあります。
しかし実際には、「夏はペタペタする」「冬は冷たく感じる」といった声も耳にします。

「無垢材はさらさらして冷たくならない」との説明を受けて導入された方も多い中で、このような印象の違いが生じる理由の多くは、木材の種類ではなく、塗装の違いにあります。

 

塗装の種類と特性を正しく理解する

フローリングに使用される塗装は、主に以下の2種類に分けられます。

  • 造膜型塗装(例:ウレタン塗装)

木の表面に保護膜を形成することで、傷や汚れに強く、掃除がしやすいという利点があります。
一方で、表面が硬くなり、冷たさやべたつきを感じる傾向があるため、素足で過ごす際の快適性には個人差が出やすい傾向があります。
※なお、塗膜の種類や厚みによって、こうした感触を抑えた製品もあります。

木の導管に塗料を浸透させることで、木本来の呼吸や風合いを損なわず、さらっとした自然な質感が得られます。
表面に保護膜を形成しないため、水分や汚れが木材に浸透しやすくなります。そのため、定期的なオイルの再塗布など、メンテナンスによって美観と機能を維持することが推奨されます。

 

「ナチュラルマット塗装」などの表記に注意

近年では、「ナチュラルマット塗装」や「自然な風合い仕上げ」など、ウレタン塗装にマット感や凹凸を加えた製品も流通しています。
これらは見た目や触感の工夫が施されていますが、基本的にはウレタン系塗料に分類される造膜型塗装です。

「自然オイル塗装に近い」といった説明がされている場合もありますが、こうした表現にはメーカーごとの解釈の違いがあるため、実際の塗膜の性質や手触りについて、事前に確認されることをおすすめします。

 

足裏に触れるのは「素材」ではなく「塗装」

どれほど高級な無垢材を使用していても、足に触れるのは素材そのものではなく、その表面に施された塗装層です。
突き板やシート貼りフローリングであっても同様に、塗装がウレタンであれば、無垢材と同じように冷たさやべたつきが感じられる可能性があります。一方、自然オイルなどの含浸型塗装を施した製品であれば、木の導管が開放されているため、より快適な触感を得られます。

 

含浸型塗装が使えないケースに注意

ただし、突き板やシート貼りのフローリングには、含浸型塗装は基本的に使用できません。
突き板は表面の木材層が非常に薄く、塗料を浸透させることが難しいためです。
また、シート貼りフローリングの表面は木目調の印刷シートであるため、塗料を塗布すること自体が構造上不可能です。
※一部には、特殊な処理により含浸型塗装を施すことが可能な突き板製品も存在しますが、それはごく限られた例外です。

 

宣伝文句に惑わされないために

ウレタン塗装が劣っており、自然オイル塗装が優れているといった単純な構図ではありません。
それぞれの塗装には特性があり、使用環境や生活スタイルに合わせて選ぶことが最も大切です。

しかしながら、「ウレタン塗装でも無垢の質感が楽しめる」といった表現には、実際の触感と異なる印象を持たれる可能性もあるため、事前に確認することを強く推奨します。

 

快適な住まいの鍵は「塗装面の理解」にあり

「無垢材=快適」「自然素材=安心」といったイメージは根強くありますが、実際に毎日触れるのは木材表面の塗装です。
素材や価格だけで判断するのではなく、表面仕上げの種類・特徴・メンテナンス性まで含めて総合的にご検討いただくことをおすすめします。

とくにウレタン塗装と自然オイル塗装では、使用感やメンテナンスの手間に明確な違いがあり、それぞれに向き・不向きがあります。

 

おわりに

「無垢材だから快適」「自然素材だから安心」――そう思って選んだはずの床材が、実際には冷たく、べたつく感触だった。
その理由の多くは、木材の質ではなく、足裏に触れる“塗装面”の違いにあることがおわかりいただけたかと思います。

木のぬくもりや優しさは、カタログの言葉ではなく、素材と塗装を正しく選んだ人だけが実際に体感できるものです。

見た目だけでなく、触感・呼吸・時間とともに変化する風合い――。
それらすべてを本当に楽しめるかどうかは、選ぶ前の「ちょっとした気づき」が鍵になります。

気が付いた人から、本物の心地よさを手に入れています。
どうかあなたも、「木の優しさ」と本当に出会える住まいづくりを始めてみてください。

 

 

無垢フローリングが冷たい?べたつく??

Q. 無垢フローリングが冷たく感じるのはなぜ?

A. 無垢材では木材の繊維の中に空気を含んでいるため、たくさんの空気に触れう事になり冷たく感じないはずですが、床材表面に造膜型のウレタン塗装を施すことにより、空気の穴は埋まり塗装面に触れることになります。そこで冷っと感じることがあります。

 

Q. 夏にべたつく原因は何ですか?

A. 高湿度の空気との接触で結露し、そのうえ皮脂や調理汚れなどが混ざるとべたつきが表面に蓄積されやすくなります。ウレタン塗装などのコーティングがある場合は、特に起こりやすい傾向にあります。

 

Q. 冷たさとべたつきを軽減する方法は?

A. 冷たさは、表面塗装を要件等!べたつきは定期的な換気と乾拭き、無垢フローリング表面塗装に合わせたメンテナンスが効果的です。

 

Q. ワックスを塗り過ぎるとどうなる?

A. 無垢材に浸透しきれず表面に残ることでべたつきや黒ずみの原因になります。薄く、かつ塗り重ねすぎないように注意しましょう。

木材コンシェルジュ

執筆・監修者情報:前田英樹(株式会社五感 代表取締役)

前田英樹氏は、無垢フローリングおよび剣道場床の専門家です。吉野材専門問屋や木材小売業での経験を経て、2008年に株式会社五感を設立。東京・新木場で無垢フローリング専門店「木魂」を運営し、ショールーム「ゆらぎ」では多種多様な無垢材を提供しています。

また、「剣道場床建築工房」を運営し、剣道場の床設計・施工を専門に手がけています。剣道五段の有段者として、国産スギ材を使用した剣道場専用床材を開発し、剣道に適した「弾性剣道場床」を推奨。足腰の負担を軽減し、剣士のパフォーマンス向上と安全性の確保を重視した床づくりを行っています。全国の大学や道場で採用され、高い評価を得ています。

FSCおよびPEFC/SGECのCoC認証を取得し、木材のトレーサビリティを重視。武道学会賛助会員。日本剣道振興協会賛助会員。各種メディアへの寄稿や講演も行い、業界内で信頼されています。

株式会社五感 公式サイト
無垢フローリング専門店木魂: https://www.muku-flooring.jp/
剣道場床建築工房: https://kendoujou.com/

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