無垢フローリングは木材からできていますので
虫による食害を受ける可能性がある建築材料です。
いわゆるキクイムシですね。
木材を食べる虫、キクイムシとしてはシロアリがよく知られていますが
シロアリの他にもカミキリムシ、ヒラタキクイムシなどいます。
木を食べる虫は3つの区分に分けられます。
区分けは、木材が持つ水分量です。
いわゆる含水率ですね。
【A群】原木丸太 含水率100~50% 伐採直後の丸太を好む
【B群】製材品→乾材 含水率30~10% 乾燥した木材を好む
【C群】原木丸太~製材品 湿った木材を好む
【A群】にはカミキリムシ科、ゾウムシ科、キクイムシ科、キバチ科などで
主要な加害種は、ハンノキクイムシやニホンキバチです。
【B群】は、ヒラタキクイムシ科、ナガシンクイムシ科、シバンムシ科、
アメリカカンザイシロアリ属、ダイコクシロアリ属などで
主要な加害種はヒラタキクイムシ、オオナガシンクイムシ、
チビタケナガシンクイ、ケブカシバンムシ、アメリカカンザイシロアリです。
【C群】は、シロアリ類で主要な加害種はイエシロアリ、ヤマトシロアリです。
シロアリは、木造住宅完成後に飛んできて木材を食べるそうですが
ヒラタキキクイムシやカミキリムシはそうとも言えないようです。
シロアリへの食害対策は、防虫防蟻処理を新築時から行っています。
ヒラタキキクイムシやカミキリムシがシロアリと大きく違うところは、
製材品や家具と一緒に移動して被害を与えると言われています。
また、移動する過程でヒラタキクイムシが進入する事もあるかもしれません。
ヒラタキキクイムシは、甲虫類でカブトムシやクワガタムシやホタルの仲間です。
成虫は、春から夏場にかけて発生するのが今まで一般的とされてきましたが
最近では、高気密、高断熱住宅や暖房の普及で冬でも発生しているようです。
主に含水率が低い乾燥した木材を食害すると言われています。
ヒラタキクイムシは、数種類存在します。
ヒラタキクイムシ 名古屋市HPより
ヒラタキクイムシ
赤褐色で体長は3~8mm
ケヤキヒラタキクイムシ 名古屋市HPより
ケヤキヒラタキクイムシ
多少木色味のある褐色で体長は3~5mm
アラゲヒラタキクイムシ 名古屋市HPより
アラゲヒラタキクイムシ
黒褐色で体長は1.5~2mm
ケブトヒラタキクイムシ 名古屋市HPより
ケブトヒラタキクイムシ
背面は黄白色の細い毛で覆われる
体長は2~3.5mm
ヒラタキクイムシは、どんな木材でも食べる訳ではありません。
ヒラタキクイムシが卵を産み付けるにあたり好む木は
卵が孵化した後に幼虫が食するデンプン質があること。
成虫が卵を産み付けれる導管がある木を好みます。
木材のデンプン質は、心材にはほとんど無く
辺材のあるために心材部はほとんど食べられません。
おおまかには、木材の白太部分は虫にとって栄養分が高いために
食害を受けやすく、赤身部分は食害に受けにくいという事です。
広葉樹でも環孔材の方がヒラタキクイムシによる
食害に被害が多いのではと言われています。
ヒラタキクイムシが好む樹種としては
広葉樹散孔材のでナラ、ケヤキ、タモなどがあります。
広葉樹の環孔材は、カエデ、カバ、サクラなどです。
どちらかというと散孔材は木目がはっきりしているグループで
環孔材は木目がぼやけているグループです。
広葉樹で導管が太い樹種でも
栗(クリ)などタンニンが多く含まれる樹種には寄りつき難いと言われています。
南方から輸入される広葉樹で
ラワンべニアの材料でもあるラワン材を好むと言われます。
ラワンの虫穴は本当によく見かけます。
ベニヤになった時点では死滅しています。
ラワン合板の虫穴
また、デンプン質が少なく、卵を産み付けるための導管がない
針葉樹のスギやヒノキは食害に合う事はありません。
昔から杉や桧を柱や梁に使用してのは古の知恵かも知れません。
とは言えデンプン質は、時間とともに変質しますので
新築後2年間がヒラタキクイムシの食害が出やすいとされています。
ヒラタキクイムシは、木材の含水率が7~30%の範囲でないと生存できません。
もし、無垢フローリングの原材料に卵や幼虫がいたとしても、
製造時に乾燥機で乾燥させる為に死滅すると言われています。
ヒラタキクイムシの卵や幼虫は50℃で30分の過熱で死滅します。
もし、ヒラタキクイムシの食害にあったとしたら…
フローリング表面に直径1~2mm程度の穴と
木材の粉(木屑)が現れていたとしたら
ヒラタキクイムシが成虫になって脱出した虫食い穴です。
食害が広範囲でなければ専用のノズル式殺虫剤で駆除を試みてください。
殺虫剤はホームセンターやWebでも簡単に手に入ります。
ほとんどの製品は、散布するのではなく、
ノズルを虫穴に挿入して薬剤を噴射するようですが、
使用方法はそれぞれの殺虫剤の使用方法に従ってください。

広範囲に食害が見られた場合は、専門の駆除業者に相談する事をお勧めします。
問い合わせ先が分からない場合は、以下に相談してみるのも良いでしょう。
公益財団法人 日本ペストコントロール協会
URL:https://www.pestcontrol.or.jp/
電話:03-5207-6321
ここまでヒラタキクイムシについてお話しましたが、
以前衝撃的なものをTVで見てしまったのでご紹介いたします。
下の画像は、木材からカミキリムシの幼虫を取り出した時の画面です。
探偵ナイトスクープ「ソファーベッドの中から聞こえる奇妙な音」
この画像は、あの人気番組、探偵ナイトスクープの
「ソファーベッドの中から聞こえる奇妙な音」という相談の放送回の画像です。
なんとこの幼虫は、依頼者が購入したソファーベッドの構造材から取り出されました。
幼虫の正体は、カミキリムシの幼虫だったそうです。
カミキリムシ?
確か、カミキリムシの幼虫は、
木材の含水率が50~100%の時に生存する・・・かもしれないはず?
ソファーベットは、もちろん屋内用でありそれに使う木材は乾燥材なのでは?
なんで?
表面はとても綺麗に見えたソファーベッドも、
その中身の構造まで見ては購入できません。
とにかく面白い依頼でもあったので、ぜひ興味がある方は
「ソファーベッドの中から聞こえる奇妙な音」を拝聴してみてください。
2019年6月現在ではAmazon Primeで見る事ができました。
ヒラタキクイムシやカミキリムシの虫害は、
屋外から飛来して被害が発生する事はほぼありません。
ほとんどの原因は、
卵や幼虫が潜んだ既に虫害がある製品の持込みによるものです。
建築材料にだけ注意しても、あとで持ち込まれた家具や木材品から
発生する事があるのでご注意ください。
ちなみに近年は、建材に薬剤を使う量が少なくなったので
害虫被害が増えたという方もいらっしゃいます。
しかし、ホルムアルデヒドの放散量を増やしても抑えても
ヒラタキクイムシは卵を産卵し孵化するとの実験結果もあります。
建材をノンホルマリン化したことで虫害が増えたとは言えない様です。
当社の広葉樹の無垢フローリングにおきましては、
乾燥過程で60℃~80℃の高温乾燥を施しておりますので
ほとんどの幼虫や卵は死滅すると考えております。
とは言え、被害にあわれて方には恐縮ですが
虫も自然の一部なので共存していくしか無い訳です。
ちなみに虫の恩恵を最大限に受けた無垢フローリングが有ったりします。
アメリカの古材・アンティークチェスナットフローリング(栗フローリング)
メープル(カエデ) ワーミーグレード
ワーミースポルテッドフローリング
非常に面白い無垢フローリング達ですのでぜひアクセスしてみてください。