マンションに無垢フローリングを採用する時に注意するべきこと

マンションのリノベーションやリフォームに無垢フローリングを採用される際に気をつけたいことの1つにマンションの防音規定というものがあります。
よく聞くのは、LL45等級やLL40等級の床材を使用することが決められています。
その基準に無垢フローリングで対応する方法として現状では大きく3つの工法があると思います。
1.直貼り無垢フローリング
2.防音マット+無垢フローリング
3.乾式二重床+無垢フローリング
どの方法でもLL45等級やLL40等級の性能が表示されていてそのデーター測定時の施工方法・施工基準に乗っ取った施工であれば
どれとも表示されている遮音性能は期待できます。その性能に見合った施工方法・施工基準をとると言うことは当然だと思うのですがそうでない可能性が高い工法が1つあります。

それは、『乾式二重床+無垢フローリング』です。乾式二重床とは、防振ゴムのついた支持脚で床パネルを支える床仕上げ構造であり、いまでは多くのマンションで採用されています。床下地を作ってその上に無垢フローリングを施工します。床下に空気層が防振ゴムの効果も相まって遮音性能は良いと言われています。

乾式二重床メーカーの遮音性能試験データはそのほとんどがコンクリート床面(GL)~仕上げフローリング(FL)の高さが150mmとなっています。どうして各メーカーが同じ150mmで試験を行っているのか疑問だったのでとある乾式二重床メーカーに問い合わせてみたところ
「各乾式二重床メーカーの協定により試験時にはGL~FLの高さが150mmということで決めている」と教えてくれました。何となく○○○○の規定に準じて行っている。くらいの答えが返ってくると思ったのですがあっさりしたものです。とある1社の見解は、JIS1440の試験方法で懐高さは決まっているのでそれに従った。なんともビックリするような答えが返ってきました。ちなみにこのJIS1440というのは試験方法であり懐高さの規定などはございません。

ところで、実際の工事現場では150mm以上を保てる現場ばかりでは無いかと思います。ただでさえ天井高を高くしたいマンションについては、床の厚みを抑えたいのが心情です。マンションリフォーム、リノベーションで使用されている乾式二重床は、性能はさておき結構な割合でGL~FLの高さ150mmよりも低くなっているのもそう珍しくは無いかと思います。
Q.乾式二重床メーカー数社にGL~FLの高さが150mm以外になるとこのデータは使えるのか質問してみました。
A.『GL~FLの高さが150mm以外になるとこのデータの数値は想定できない』という見解です。
軽量衝撃音の数値は、基本的には床下の空気層が厚いと良くなるし薄いと悪くなります。ほとんどの木造2階建て住宅の1階には天井設置されているのもそういう意味からですね。

つまり、公開されているデーターからGL~FLの高さが151mm以上の場合では性能があがるGL~FLの高さが149mm以下の場合では性能が下がる想定できます。床下高さが低くなればなるほど性能も落ちていきます。では、「GL~FLの高さが150mm以下になった場合は、どの様なデータを提示すれば良いのか?」という問いには実物件データの用意があるのでそれで代用してほしいとも。
実物件測定では、ほとんどの場合階下の部屋は試験場のように真四角の部屋は皆無であり、家具やカーテンが設置されている事が多く音の反射が乱れますので簡単に性能は上がります。基本的には実物件データ測定時は、お部屋の形やカーテン、家具などの影響を受けて実際よりも良いデータが出ると言われます。

直貼りフローリングや防音マットを使用する場合は床高の変更は行えませんので性能は一定です。ところが、乾式二重床工法の場合は床の懐を下げてしまうと階上の床遮音性能が落ちるという事になります。階上の遮音性能が落ちた分を階下のお部屋の環境によって遮音性能を賄っていると言う事が十分考えられます。直貼り無垢フローリング・防音マット+無垢フローリング・乾式二重床+無垢フローリングなど様々な工法を用いたマンション床の遮音性能を比較する際にはそれぞれの試験体情報や試験方法、設置工法等も確認しながら比較検討する必要があります。カテゴリーⅠで評価したデータとカテゴリーⅡで評価したデータを同じ1枚の図表に表して比較することは試験環境が異なるので控えるべきだと思います。

例)直貼りフローリング(カテゴリーⅠ)と乾式二重床(カテゴリーⅡ)など、また試験場でのJIS1440を用いた試験方法、簡易測定方法、自社測定、実物件データ等々試験方法や測定環境の異なる場合も考えられるのでそれぞれ背景をも確認しながら比較検討しなくてはいけません。一目でそれぞれの低減量を分かる様に表示しようとしても異なる測定方法や異なる工法のデータを同じ表に表すことで誤解を招く恐れがあります。

測定結果のグラフだけ見てもどれほどの床下高さなのか、どんな厚さや構造のマットを使用したのか分かりません。
基本的には乾式二重床は、GL~FLの高さを上げさえすれば性能は上がります。その評価を使って、現場ではGL~FLの高さを試験より低くして使用する事は問題です。いくらでもGL~FLの高さを調整できる束を作っていさえすればGL~FLの高さを大きくとってより良いデータを作成します。そのデータを元に様々な高さの束を作り、データだけはGL~FLの高さを高くした時の物を使う。
それが現状と言う事でしょうけど、、、
そもそもメーカーは、保証値でないデータとして公開しているので現場性能が基準値以下でもそれほど大きな問題にはならないかとは思います。
しかし、GL~FLの高さが低くなれば遮音性能が落ちる事は分かっています。もし管理組合に提出したデータと違う施工方法を行って階下の住人と騒音問題で紛争になった場合は誰がどの様に対処すればいいのでしょうか?メーカーは、保証値ではなく推定値であることを明確にしています。みんながやっているから大丈夫!!ではすまないような気もします。

ではどうやって?
無垢フローリング+乾式二重床を採用する際は、データを測定した試験時の床高さを守る。
堅苦しいですかね?

でも、実際に施工後に現場で音の測定をすればそれなりの良い数値が出てくることでしょう。実物件測定では、試験場と違い良いデータは出やすいものです。マンションのリフォーム、リノベーションなどで乾式二重床を採用される計画の方は、特に乾式二重床のGL~FLの高さには気をつけた方が良いと思います。

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