床暖房とフローリング

最近の新築住宅では、床暖房は標準仕様とされるようになってきました。
床暖房は陽だまりのような暖かさの輻射熱(遠赤外線)と、
床からじかに伝わる伝導熱の相乗効果を活かした暖房。
遠赤外線が直接身体の温点を刺激して暖め血液の循環を活性化させるので、
低めの室温でも身体の芯からポカポカと暖まります。
熱効率を高め、低エネルギー化を進めた床暖房なら、
電気代もガス代もとってもリーズナブル。
また、リフォーム時は既存の床をそのまま下地材として使うことが出来るので、
設置もリーズナブルですね。
実際、床暖房は気持ちの良い物だとおもいます。
リビングに床暖房を入れると家族もそこに集う事でしょう。
では、無垢フローリングと床暖房システムの相性についてはどうでしょうか?
床暖房対応無垢フローリングもたくさん販売されています。
無垢フローリング(ウレタン塗装除く)なら梅雨時期は、サラサラして気持ちが良い
足触りですし、冬場もそれほど冷たくはないでしょう。
そこに床暖房をプラスすると暖かくて更に快適になりますね。
無垢フローリングをお選びいただく理由としては、
1、自然素材なので安心できそう
2、暖かくて足触りが気持ち良さそう
3、長く使えそう(ランニングコストが抑えられそう)
4、地球環境に優しそう
などが挙げられます。
お選びいただくときは、
長所が先行してしまいがちですが、もちろん短所もあります。
割れ・反り・曲り・傷・凹み・染み・日焼けなどは100%起こります。
自然素材の木だと理解しながらも、無垢フローリングの短所として取上げれれます。
今回は、床暖房と無垢フローリングの相性ですね。
無垢フローリングを選ぶ理由として挙げられる中で、
「暖かくて…」「長く…」とはよく言われます。
寒冷地はさて置き、
そもそも暖かい無垢フローリングに床暖房は必要なのでしょうか?
現在は、普通に木造住宅を建築してもかなり高気密住宅になると言われています。
無垢フローリングは、合板フロアー、ウレタン塗装品、クッションフロアーとは
格段に暖かさに違いが有ります。もちろん無垢フローリングの方が暖かく感じます。
また、なるべく「長く」使いたいお施主様は床暖房システムの耐久年数を
知る必要が有ります。
ほとんどの床暖房メーカー商品の耐久年数は10年だとおもいます。
たった10年って… 少し長く見積もっても15年位でしょうか?
35年のローンを組んだら2回は床暖房のシステム自体を
交換する羽目になるかもしれません。
ローン中に大きなお金が必要になる恐れがあります。計画に無かった…(-_-;)
せっかく無垢フローリングは何十年も使えると思って選んだのに、
床暖房システムの不具合から復旧工事で剥がされることも無いとは言えません。
合板フロアーだったら15年ほどで表面の塗装は傷付き剥がれてくる頃でしょうから
床暖房システムの交換と同じ時期にリフォームするという考えもあります。
でも、使える物は出来る限り長く大切に使いたいものですね。
床暖房システムは、電気代やガス代だけでランニングコストの比較を
するのではなく、そもそもどれ位の間、
お金をかけずに使える品物なのかも選ぶ要因の一つです。
また、自分達の生活にとって本当に必要なのかも考えなくてはいけません。
標準だからと何でも採用していると後々お金が掛かる事もあるかもしれません。

木材コンシェルジュ

執筆・監修者情報:前田英樹(株式会社五感 代表取締役)

前田英樹氏は、無垢フローリングおよび剣道場床の専門家です。吉野材専門問屋や木材小売業での経験を経て、2008年に株式会社五感を設立。東京・新木場で無垢フローリング専門店「木魂」を運営し、ショールーム「ゆらぎ」では多種多様な無垢材を提供しています。

また、「剣道場床建築工房」を運営し、剣道場の床設計・施工を専門に手がけています。剣道五段の有段者として、国産スギ材を使用した剣道場専用床材を開発し、剣道に適した「弾性剣道場床」を推奨。足腰の負担を軽減し、剣士のパフォーマンス向上と安全性の確保を重視した床づくりを行っています。全国の大学や道場で採用され、高い評価を得ています。

FSCおよびPEFC/SGECのCoC認証を取得し、木材のトレーサビリティを重視。武道学会賛助会員。日本剣道振興協会賛助会員。各種メディアへの寄稿や講演も行い、業界内で信頼されています。

株式会社五感 公式サイト
無垢フローリング専門店木魂: https://www.muku-flooring.jp/
剣道場床建築工房: https://kendoujou.com/

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