無垢フローリングを選ぶ時に考えることで「硬さ」があります。
お施主様が木の硬さに関してイメージされることは以下の様な事が多いです。
木が軟らかいと傷が付きそうだけど、温かみが有り足腰に負担が軽く楽ちんそう。
逆に硬いと傷が付き難いけど、冷たく感じて足腰に負担がかかって疲れそう。
おおまかには正解だと思うのですが、足腰の負担については少し違うかもしれないと思っています。
昨今では、ほとんどの無垢フローリングメーカーさんの施工要領には捨て貼り合板12㎜以上の上にフロアーネイルやフロアーステープルと接着剤(ボンド)を併用して施工する様に記載が有ります。
一昔前までは、根太工法と言って根太(角材)を約300mmピッチで施工してその上に五分(約15㎜)の縁甲板やフローリングを施工していました。
根太工法では、根太の太さやピッチで床材のたわみを感じ取れたかもしれません。
しかし、今や戸建て住宅の床下地になると構造用合板28㎜厚がほとんどでその上に無垢フローリング15mmを施工する事が多いと思います。
リフォームの際でも捨て貼り合板12mm厚以上を推奨されています。
それだけ頑丈な床下地になるとフローリングその物が”たわむ”のかなぁ???と思ってしまいます。
こんなことから、軟らかい木が足腰に優しいなんて言えるのかぁと考えてしまいます。
それともう一つ。
同じ人が生活していくとしたら、だいたい同じ圧力で床表面が圧縮され、摩耗もしていくかと思います。
硬い木でも摩耗はしていくでしょうし、もちろん柔らかい木も摩耗します。
ただ、年輪の早材と晩材の違いも影響してくると思います。
早材とは、春から夏にかけてぐんぐん成長した部分
晩材は、秋から冬にかけて休んでいた部分
一般的にどの木も早材は柔らかく、晩材は硬いと言われています。
日本で建築材料として柔らかい木の代表は”スギ”でしょうか。スギは柔らかいから直ぐに傷が付いたり凹んだりすると言われます。

確かに傷も付くし摩耗もします。
サシガネを当てると光が漏れてくるくらいに表面に凹凸が有りますね。

もう少し拡大してみます。

摩耗している箇所とそうでない箇所を見てみると早材の部分は無くなっていて晩材の部分は残っています。
いわゆる浮造り状態になっています。サスガ柔らかい木の代表のスギです。
となれば簡単ですが、なかなかそういう訳でもないようです。
早材が柔らかくて摩耗しやすいですよね。
以下は、両方とも柔らかい木の代表のスギです。
杉板A

杉板B

同じサイズでも全く早材と晩材の数が異なりますよね。木目の詰まり具合が全然違います。もちろん樹齢も異なるのですが、一番の違いは育った環境です。
杉板Aは、夏でもそれなりに涼しい山でじわじわしか成長できなかった。きっと売りに出すにも時間が掛かったことでしょう。
杉板Bは、日差しも水も豊富に蓄えどんどん(ブクブク?)成長していった。
こちらは杉板Aに比べると早く市場に出て来たことでしょう。摩耗していくと晩材が残っていきます。晩材は、硬くて傷が付き難い部分になります。スギが絶対に柔らかく傷が付きやすいとは言い切れないのです。
また、永年使い込んでいくと硬い木でも柔らかい木でも
ある時から摩耗は少なくなっていくような気がします。同じ住人ならほぼ同じ圧力で圧縮されている訳ですからね。
年輪(導管)も詰まるところまでいったらそれ以上は圧力をあげないと圧縮されませんから。
私自身は、木の柔らかさに関しては樹種名だけでは判断しません。
実際に木そのものを見ないとなんとも言えません。
それにどんな木を使ってもある程度のところで摩耗は収まると思っています。
そんな事から、あまりフローリングの硬さについてはフローリング選びのポイントにはしていません。
それよりも単純に自分がカッコいいと思えたものが良いと思っています。
ぜひ、無垢フローリング一覧から気に入ったカッコいい床材を探してみてください。
無垢フローリングの「硬さ」に関するよくあるご質問
Q1. 柔らかい木は足腰に優しく、硬い木は負担がかかるというのは本当ですか?
一般的には「柔らかい木=疲れにくい」というイメージがありますが、現代の住宅事情では一概にそうとは言えません。
昔の根太工法とは異なり、現在は頑丈な合板下地の上にフローリングを貼るため、木自体のたわみやクッション性を足裏で感じることは少なくなっています。そのため、足腰への負担軽減だけを理由に柔らかい木を選ぶ必要性は、以前ほど高くはないと考えています。
Q2. スギなどの柔らかい木は、すぐに傷だらけになってしまいますか?
確かに硬い木に比べれば傷はつきやすいですが、「育った環境」によって強度は大きく異なります。
厳しい環境でゆっくり育ち、年輪が細かく詰まったスギなどは、硬い部分(晩材)の密度が高く、意外と丈夫です。逆に、早く育った木は柔らかい部分(早材)が多く、傷がつきやすくなります。樹種名だけで判断せず、木目の詰まり具合を見ることが大切です。
Q3. 傷や摩耗が心配なので、できるだけ硬い木を選んだ方が良いでしょうか?
硬い木を選んでも、生活していれば必ず摩耗はします。しかし、無垢材は使い込むと柔らかい部分が削れ、硬い年輪部分が残る「浮造り(うづくり)状態」になり、ある程度のところで摩耗が落ち着きます。
これは硬い木も柔らかい木も同じです。傷や摩耗を気にしすぎて選択肢を狭めるよりも、経年変化も含めて愛せる木を選ぶことをおすすめします。
Q4. 木の「硬さ」や「丈夫さ」を見分けるポイントはありますか?
木の名前よりも「年輪(木目)の密度」に注目してください。
年輪の色の濃い部分(晩材)は硬く、薄い部分(早材)は柔らかい性質があります。年輪がぎっしりと詰まっている木は、硬い部分の割合が多く、傷や摩耗に強い傾向があります。実物を見る際は、ぜひ木目の詰まり具合を確認してみてください。
Q5. 結局、無垢フローリングはどういう基準で選ぶのが正解ですか?
40年近く木に関わってきましたが、硬さやスペックよりも「ご自身がカッコいいと思えるか」が一番重要だと思っています。
どんな木でも傷はつきますし、馴染んでいきます。理屈で選ぶよりも、毎日目にして「いいな」と思える気に入ったデザインや雰囲気の床材を選ぶことが、長く満足して暮らす秘訣です。

