鉄道整備庫の無垢フローリング

休日に群馬県にある碓氷峠鉄道文化村に行ってきました。
鉄道が好きな人にとってはとっても面白い施設です。
そうでない方も、地面から見上げられる鉄道車両の大きさに圧倒されるでしょう。
鉄道文化村の中に、鉄道展示館・旧検修庫(車両を検査、修理するための整備用車庫)があります。なんとも油の臭いが充満していそうなとても雰囲気のある整備庫です。
碓氷峠鉄道文化村木口床材
鉄の塊の車両が展示されているのですが、よくよく床面を見てみると床には木材が敷き詰められています。それもあまり見慣れない工法で敷き詰められています。

木口が表面に向いています。単純に考えると木口(切り口)を表面に向けて施工すると水分の吸収が早くてすぐに腐りそうな気もするのですが腐れは見当たりません。見える所だけ腐っていなくて深いところは腐っているのかもしれませんが、現状の床表面は非常にしっかりしています。
碓氷峠鉄道文化村木口フローリング

この木質床の材料は栗だそうです。
サイズは、おおよそですが木口面が14cmx9cm、深さ(長さ)10cm前後のブロック状になっていました。栗の木のブロックとブロックの間には砂を入れて敷き詰めていっているそうです。色が黒くなっているのは整備油が飛び散ったりして色濃くなったそうです。わざわざ油を塗るようなことはしていないそうです。これは私の推測ですが、この整備油が長い年月で栗の木に染み込み木の腐れを防いでくれている可能性もあるかも知れません。

碓氷峠鉄道文化村木口床材

なぜ、栗が使われているのかを尋ねると工具を落とした際に工具や部材が傷み難いようにするためもあるのだとか…
そういえば大工さんの作業場もコンクリートは少なくて土が多いですよね。万が一、道具を落とした時に刃が欠けたりしないようになのかな?
大工さんが手刻みする時に、足腰が楽だとも言っていた気がします。鉄道整備に使う道具は、住宅などで大工さんが使う道具とは異なり非常に大きくて重たい工具になります。

碓氷峠鉄道文化村木口フローリング
一般的に堅いとされている栗の木でも、板状に敷き詰めて大きな工具や部品を落とすと割れる可能性が高いです。
車輪だけでも数トン級になるのではないでしょうか?
まぁ、板を分厚くすれば割れにくいのかもしれませんが高価になりますね。
木口を表面に見せて晩材面を多くとり短いブロック状にして少し手間を掛けて敷き込んでいく。
素足での生活が基本の日本の住宅の床面では、凹凸が出すぎて少々無理が有るかもしれませんが車両整備庫の様に用途によっては利にかなった工法なんですね。

この床板は、少なくとも50年以上は使用されているとのことで風合いもステキです。
碓氷峠鉄道文化村では、少し違う角度で見れる希少な場所かも知れません。

木材コンシェルジュ

執筆・監修者情報:前田英樹(株式会社五感 代表取締役)

前田英樹氏は、無垢フローリングおよび剣道場床の専門家です。吉野材専門問屋や木材小売業での経験を経て、2008年に株式会社五感を設立。東京・新木場で無垢フローリング専門店「木魂」を運営し、ショールーム「ゆらぎ」では多種多様な無垢材を提供しています。

また、「剣道場床建築工房」を運営し、剣道場の床設計・施工を専門に手がけています。剣道五段の有段者として、国産スギ材を使用した剣道場専用床材を開発し、剣道に適した「弾性剣道場床」を推奨。足腰の負担を軽減し、剣士のパフォーマンス向上と安全性の確保を重視した床づくりを行っています。全国の大学や道場で採用され、高い評価を得ています。

FSCおよびPEFC/SGECのCoC認証を取得し、木材のトレーサビリティを重視。武道学会賛助会員。日本剣道振興協会賛助会員。各種メディアへの寄稿や講演も行い、業界内で信頼されています。

株式会社五感 公式サイト
無垢フローリング専門店木魂: https://www.muku-flooring.jp/
剣道場床建築工房: https://kendoujou.com/

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)