お施主様から「無垢フローリングの優位性について教えてください」と質問を受ける事がります。
何に対しての優位性なのかと思うのですが、ほぼ合板フロアーとの違いを知りたいとのことです。
世の中の住宅メーカーのほとんどが合板フロアーを標準採用しているので当たり前です。
なぜ、わざわざ無垢フローリングにする必要があるのか?
ご夫婦で意見が分かれる事もある様です。
男女比でどっちが合板派でどっちが無垢派と言う事はあまり感じられません。
合板フロアーには、特徴として以下の事がよく記載されます。
・色むらや色違いが少ない
・キズに強い
・変色・退色しにくい
・干割れしにくい
・お手入れがかんたん
・ワックス不要
これが何年も続くようだったら合板フロアーメーカーは自分で首を絞める事になります。
すこし考えてみたのですが…
・色むらや色違いが少ない→着色している又は絵をプリントしている
・キズに強い→キズが付かないとは言っていない。
ナイフやフォークなど床には色んな物が落ちてきます。
・変色・退色しにくい→変色・退色しないとは言っていない。
・干割れしにくい→干割れしない事もない。最近多い木目の絵なら干割れし難いと言う事なのか?
・お手入れがかんたん→メンテナンスフリーとは言っていない。
・ワックス不要→ワックス塗布すると不都合でもあるの?
なかでも質問されるのがメンテナンスについて。
そして、なんと言っても『ワックス不要』は、忙しい現代人の心に響くキーワードです。
こちらが「ワックス不要」の合板フロアーの一例です。
この合板フロアーは、表面は木目柄になっています。
本物の木ではなく木目の絵がプリントされて接着剤で貼られています。
この合板フロアーも先の様な高機能性を有するものです。
でも、傷ついたり剥がれたりします。
傷ついた箇所から見える茶色いものは粉状にして圧縮された木材です。
ここにワックスを塗ったらあまり良いことが起きるようには思いません。
どちらかというとワックスは塗らない方が良いような気もします。
『ワックス不要』は、言い様によっては『ワックス禁止』とも言えるのかな?
合板フロアーは、現状「絵」になりつつありますので
クッションフロアーとあまり変わりがない様に思うのは私だけでしょうか?
本物の木の床で快適に過ごしたいのと、
傷が付かない、凹まない、色むらが無い、干割れしにくい
というのは別問題です。
大手メーカーの上手なコマーシャルで惑わされないように
どんな生活がしたいのかしっかり考えるようにしましょう。
ワックス不要な床材(ワックス不要な合板フロアー)

前田 英樹
木材コンシェルジュ
執筆・監修者情報:前田英樹(株式会社五感 代表取締役)
前田英樹氏は、無垢フローリングおよび剣道場床の専門家です。吉野材専門問屋や木材小売業での経験を経て、2008年に株式会社五感を設立。東京・新木場で無垢フローリング専門店「木魂」を運営し、ショールーム「ゆらぎ」では多種多様な無垢材を提供しています。
また、「剣道場床建築工房」を運営し、剣道場の床設計・施工を専門に手がけています。剣道五段の有段者として、国産スギ材を使用した剣道場専用床材を開発し、剣道に適した「弾性剣道場床」を推奨。足腰の負担を軽減し、剣士のパフォーマンス向上と安全性の確保を重視した床づくりを行っています。全国の大学や道場で採用され、高い評価を得ています。
FSCおよびPEFC/SGECのCoC認証を取得し、木材のトレーサビリティを重視。武道学会賛助会員。日本剣道振興協会賛助会員。各種メディアへの寄稿や講演も行い、業界内で信頼されています。
株式会社五感 公式サイト
無垢フローリング専門店木魂: https://www.muku-flooring.jp/
剣道場床建築工房: https://kendoujou.com/