剣道場床の除菌について

剣道場床の除菌

昨今の新型コロナウィルス対策として
稽古前に剣道場床の除菌を求められております。

剣道場床の除菌を行うときの注意点としては以下となります。

・剣道場床の素材(樹種)や仕上げの確認
剣道場床には、様々な床材(フローリング)が使用されています。
樹種としては以下のような床材(フローリング)が多いと思います。
・杉(スギ)
・桧(ヒノキ)
・松(マツ)
・樺(カバ)
・桜(サクラ)
また、樹種が確認出来たら無垢材か集成材か合板かを確認します。

・剣道場床の表面仕上げの確認
剣道場床の除菌を行うには、樹種の確認も必要ですが
床表面の仕上げが最も重要です。
剣道場床には、以下のような床仕上げがあります。
・無塗装(何も塗装していない)
・オイル塗装
・ウレタン塗装

※剣道場床の樹種だけを確認して、除菌剤を選ぶのは間違いです。
除菌剤が付着する場所はあくまでも床表面です。
必ず床表面の仕上げがどのようになっているのかを確認します。

 

・除菌剤の確認
対象の剣道場床の樹種と表面仕上げを確認したのちに
除菌剤を選定します。
性質で大きく3つに分けられます。
・アルカリ性
・酸性
・中性

アルカリ性の水溶液は、
エアコンの清掃などの清掃などに使用されています。
アルカリ性のph値にもよると思いますが強すぎると
剣道場床の汚れが分解されてまだら模様になる可能性があります。
水溶液を床に垂らすと黒く変色する場合もあるので注意が必要です。

酸性の水溶液は、トイレやお風呂の洗浄によく使われています。
漂白作用があり、木質部に使用する際は注意が必要です。
水で薄めて使用するのも噴霧するのも避けた方が良いでしょう。

中性の代表的な水溶液はph7の純水です。
重要文化財などの洗い作業は、純水と刷毛でただただ洗うだけです。
ただし、水道水はカルキの影響でアルカリ性に
振れていることもあるので確認が必要です。

そうすると中性の除菌剤がどの表面仕上げに対しても
ある程度安心して使用できるのだと思います。

ウレタン塗装に関しては、アルカリ性や酸性に対しても
ある程度は対応しているかと思いますが
塗装して何年もたって劣化していたり剥がれたりしている
箇所があると変色や更なる塗膜の剥離などが起こるかもしれません。

界面活性剤入りの洗剤が新型コロナウィルスに対して有効という
一説もあるようですが、剣道場床の除菌に際しては
界面活性剤入りの洗剤は色変わりの原因になるので
使用しないでください。

中性で無臭の除菌剤も販売されています。
中性の除菌剤としては
二酸化塩素を使用した商品が多いようです。
二酸化塩素水溶液については、新型コロナウィルスに対して
効果が証明できていなかったようですが最近になって
効果があるという研究結果が出始めているようです。

新型コロナウイルス対策の二酸化塩素を使用した
除菌商品については、続報も日々更新されているようなので
ご確認いただければと思います。

何れにせよ、現段階では剣道場床の木材にとっては
酸性、アルカリ性が不向きなことが確かな以上、
中性溶液での除菌を行うことが最良という結論になります。

そこで表面仕上げの異なる杉床材(ウレタン塗装、オイル塗装、無塗装)に
二酸化塩素水溶液のスプレーを噴霧して比較してみました。

 

左から
・杉無垢材  ウレタン塗装
・杉集成材  オイル塗装
・杉集成材  無塗装

 

各床材に二酸化塩素水溶液をスプレーで噴霧

 

5分後に拭きあげ

杉ウレタン塗装

 

杉集成材 オイル塗装

 

杉集成材 無塗装

 

各床仕上げ共に変色などは無かったです。

どんな除菌剤を使用しても自己責任になります。
道場の隅っこの床などでしっかり試してから全面に使用してください。

現時点で求められていることは「除菌を行う」ことなので
剣道場床に二酸化塩素水溶液をスプレーで噴霧する方法は
手軽で現実的ではないかと思います。

状況は日々変化し、各道場の床状況も全く同じだとは言えません。
今後、さらに良い除菌方法が出てくるかもしれません。
また新たな情報が判明しましたらこちらでもご紹介させていただきます。