住宅における騒音問題について

マンションのリフォームやリノベーションの際に必ず確認する項目があります。各マンションの管理規約に床材に関する遮音規定です。おおよそ遮音規定LL45やLL40同等の性能を持っている床材を使用する事が定められています。最近では、⊿値に置き換えられては来ているものの、中古マンションの管理規約にはまだまだL値が使用されている場合がほとんどです。 数回に分けて集合住宅、マンションンにおける床衝撃音について抜粋になりますがご紹介させて頂きます。

一つだけ初めに理解しておかないといけない音の区別があります。集合住宅マンションにおける床の数値に関しては、おおよそ2つで重量衝撃音(LH)と軽量衝撃音(LL)です。

LHは、子供が飛び跳ねたりしたときの“ドスンッ!ドスンッ!”というような音で、LLは、テーブルの上からスプーンを落とした時になる“チャリーン”というような音です。

基本的にはLHの低減には床仕上げ材よりもコンクリート床の厚さや建物の躯体の剛性など構造そのものの方が大きく影響します。ここはひとつ押さえておかなくてはいけません。

集合住宅の騒音問題について安岡正人氏は、以下のような総論を発表されています。

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総 論

床衝撃音の現状と課題 安岡正人

1. は じ め に

石の上にも3年と言われるが,床の上にタイヤを落とし続けて30年,20 logで30 dB良くなったかどうか,ようやく人と床の心が通い合って来たように思われる。それにつけても加害者と被害者の板挟みになって苦労させられる床とは何と因果な建築部位であることよ。

床は直接肌身で触れる接触環境として,上の人にやさしく,かつ,その衝撃に身を挺して下の人を守り,プライバシーの守護神として居住者の安心立命を図る崇高な存在であり,私にとっては永年尽きることのない飯の種である。

2. 年次的展開

我が国における床衝撃音問題の歴史を概観すると,佐藤によるDIN タッピングマシンの導入(1963),同測定法 JIS A 1418の制定(1974),木村・安岡による重量衝撃源・タイヤの提案(1971)とJIS A 1418への導入(1978),遮音等級 JIS A 1419の制定(1979),安岡による予測計算法の体系化(1977),井上らによるインピーダンス法の実用化,折笠,福島,橋本らによる床及び下室の波動的取扱いをベースとする理論解析ないしは数値計算予測法の提案,その後の制振床,大スパン床など各種床構造の開発への展開,日本建築学会による遮音基準と設計指針の出版(1979),じゅんたんから木質フローリング仕上げへの移行,田中らによる重量衝撃源の問題点の指摘(1990),床衝撃音レベル低減量測定法 JIS A 1440の制定(1997),田中,橘,井上らによる新重量衝撃源・ボールの開発と JIS A 1418への導入(1999),建設省による住宅性能表示制度の制定(2000)となる。表-1にその系譜を示す。

3. 関連要因の視野

床衝撃音問題に関与する要因を人,建築・床,技術などの視点からキーワード的に示すと次のようになる。

人間(1)居住者:上階の加害者・下階の被害者

一方向性が問題,逆の例もある

(2)供給者:音技術者・設計者・施工者・販売者

設計者の認識不足が問題

建築(3)躯 体:コンクリート系・鉄骨系・木造系

重量衝撃音に影響大

(4)床構造:均質スラブ・根太床・パネル床

軽,重共に関係する

(5)床仕上:直貼床・二重床・浮き床,天井

軽量衝撃音に影響大

技術(6)予測法:理論計算型・経験則型・複合型

不確定要因が多く精度が不十分

(7)構工法:緩衝・防音層構成技術・施工技術

(8)測定法:材料特性・実験室・現場

相互の関係性に問題

(9)評価法:評価指標・ランキング・生活感

ラウドネスかプライバシーか

他の要因や個人差をどうするか

 

4. 現 状 確 認

(1) 居住者については,集合住宅の場合,問題意識のない人はまず居ないし,性能表示制度でより一層昂るものと考えられる。しかしながら被害者意識が先行して加害者意識の低いことが問題であり,生活モラルの向上が強く望まれる。

(2) 供給者については,音響専門家の技術水準は十分高いと言えるが,設計者の認識は概して低く基本的理解のない人が少なくない。集合住宅を数多く手がけている施行者はまず問題ないが,販売者のコスト的要求に押し切られ,その上誇大広告の尻拭いをさせられることが多い。

(3) 躯体構造については,質量と適度な損失のあるコンクリート系が有利で,高い性能が要求される場合は鉄骨系は採用されない。木造系は遮音性能よりも別の理由で用いられることが多く評価基準も変える必要がある。

(4) 床構造については,コンクリート系各種スラブの開発が進み,大スパンの無梁版などスケルトン・インフィル方式への対応も図られている。鉄骨系や木造系の梁根太床は理論的解析も困難で,現場施工によるばらつきも多く,経験則的にも性能を担保することがむつかしい。

(5) 床仕上については,木質フローリング系がその強いニーズを受けて突出的に開発が進み,歩行感的評価の洗礼も凌いで,一層の進化を遂げている。しかしながら,二重床系の重量衝撃音対策は,未だ暗中模索,試行錯誤の繰り返しで,何とか悪さをしないものが出始めている段階である。

(6) 予測法については,数値計算によって原理的には何でも解けるところまで来ているが,問題は版の境界条件や断面内の接合条件の取扱いにあって,実建物での実用的な予測手法には到っていない。

様々な仮定を置いて単純化したモデルをベースとしたインピーダンス法などの手計算予測法は,実測データで様々な補正を行うことによって,実用に供されているが,補正の屋上屋を重ねることで基本モデルから乖離してしまうことに注意を要する。

数多くの実測データを要因分析して経験則を見出し,統計的に推定する手法も,範囲を限定すれば,実測ベース故の安心感があって捨て難い。実績のある施工者は自社内の実測データで高い精度で予測できているものと思われる。

今回の性能表示制度ではモデル化による理論的推論で実測データを検証し,補間と外挿を行って各性能ランクに対応する仕様を設定している。

(7) 構法・施工法については,緩衝,制振,防振などの視点から材料と層構成が工夫され,現場施工も含めて軽量衝撃音対策は性能ランク別に大略確定しているといえる。

しかしながら,重量衝撃音の性能は基本的にスラブ等の躯体構造によって決まるので,構法的な工夫はマイナス面のチェックに留まる。

(8) 測定法については,今回のJIS改正で大略整備されたようであるが,新重量衝撃源など実際の運用面については数多くの課題を残している。

(9) 評価法については,単一評価尺度に異なる方式が併記されて紛らわしい。いずれA特性音圧レベル系に統合されるものと考えられる。問題は生活感的評価との対応にあって,発生騒音のラウドネス,ノイジネス,アノイアンスか,情報音としてのプライバシーの問題か。暗騒音,コスト,利便性,個人の感受性,上階との対人関係などの影響が語られているが定量的な知見はほとんどない。

 

5. 今後の課題

性能表示制度の施工によって,これまで住んでみて初めてわかってクレームをつける事後対応型であったものが,表示された性能を納得して購入する事前予想型に変わる。それはまた問題が起きたとき受忍限度で争われたものが,契約性能の実現程度が争点となることでもある。ごね得は防げる反面,数値的には厳しくなるし,説明責任も生じる。いずれにしても供給者と居住者ばかりでなく,広く社会的経験を積み重ねて解決して行く以外にない。

これらに関連して,予測精度や施工によるばらつきが大きな問題となる。2ランクも許容幅をとることは許されないとすれば完成検査して表示するしかないが,それでも測定誤差の問題は残る。

研究課題として,まず単純な均質二重床などをモデル化して衝撃源を含めたノンリニヤーな三体問題として,考えられるばらつきの発生要因をパラメトリックに変化させて数値計算実験を行い,それぞれの寄与度を同定する必要がある。現場データからだけでは犯人を追いこむことはむつかしい。

その上でバリエーションを増やして,現場データと照合し,更に人体の力学的モデルとの対応も図ることが望まれる。

 

6. お わ り に

床衝撃音問題の渦中に居ると世の中のすべてそれを中心に廻っているように思えて来る。現に集合住宅のスラブ厚は積載荷重ではなく重量床衝撃音から決められるのが常識になっているし,床仕上も軽量床衝撃音対策無しでは選べない。平面計画さえも遮音計画抜きでは語れない。

ところが最近ある出版物でキーワードの英訳を海外生活の長い建築家に依頼したところ,床衝撃音がfloor impulsive soundと訳されて来た。想うに床から出る衝撃的な音の謂で,床への衝撃によって下階に出る音という認識はなかったようである。

床衝撃音大国からみると米国は何と遅れていることかと優越感を味わってよいのか,逆に住宅事情の差を悲しむべきか,騒音に大らかな国民性を羨むべきか迷うところであるが,国際的な展開は先進国の責務であろう。

確かにマッチ・ポンプでここまで来たという自戒の念もないわけではないので,今後は性能表示制度などで徒に高性能を求めて無駄な社会的負担を強いることのないよう,常に適正な人間生活の容器として建築の在り方を問う高い視点から注意深く見守って行く必要がある。

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*  General Remarks of Floor Impact Sound

*1 Masahito Yasuoka : Department of Architecture,Faculty of Engineering,Science University of Tokyo (東京理科大学工学部建築学科)

 

 

 

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集合住宅における騒音問題は、本当に難しい問題だという事が分るかと思います。日本における騒音の認識や研究については早くから研究されてきているようです。木質フローリングの需要は高まってはいるものの、二重床についてはまだまだ開発途中だとのこと。確かに、二重床の施工については現場では非常に手間が掛かるという事もあるようですが、施工の難しさも開発が進まない大きな要因となっているようにも思います。

さて、どのように集合住宅の基準値が設定されてきたのか木村翔氏が集合住宅の音環境という題で総論を発表されています。L値ができた背景も記載されていたり、直貼りフローリング開発時の苦悩も記載がございます。

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総 論

集合住宅の音環境 木 村   翔(日本大学理工学部)

 

戦後45年を経て我が国は世界有数の経済大国となり,質の高い工業製品が世界中を席巻して,技術的にはもはや欧米に学ぶものはないとまでいわれている。しかしその一方で,アメリカから指摘されるまでもなく,社会資本の整備が立ちおくれ,首都東京の中でさえ,いまだに共同溝がほとんどなく,電柱が林立して街の景観をだいなしにし,下水道普及率も東京都で85% (全国平均42%,先進国中最低) にとどまっている。道路にしても,大都会に必須の外環状線をこれから造ろうというお粗末さで,通過交通が都心に流入し,交通渋滞に拍車をかけている。

兎小屋と軽べつされた住宅は,次第に平均床面積も増え,住宅産業が急成長して,高品質の工業化住宅が建設されるようになり,公団,公社,民間の供給する集合住宅も,全般的に性能が向上してきているが,戦後の住宅不足を解消するため,質より量ということで,大量に建設されたコンクリート造集合住宅や木賃アパートが,いまだに残存するところに大きな問題が残されている。

確かに昭和30年代は質より量の時代であった。大都市近郊に建設される 「団地」 が一つの流行語となって,公団住宅の耐火性,水洗便所と内風呂の普及,ダイニングキチン,日照・通風などが,住民からそれなりの評価を得ていたが,昭和40年代に入ると,公団住宅の建設戸数も60万戸をこえ,コンクリート造集合住宅の居住経験も次第に蓄積されて,量から質への要求の転換が,種々の面で表われるようになってきた。昭和44,45年度に住宅公団からの委託で建築学会が行った調査研究の中で,公団住宅居住者の室内外騒音に対する影響意識に関する大規模なアンケート調査が行われ,引き続いて昭和46年度から52年度にかけて筆者らは,公団・公社・民間の17団地で広範囲な面接調査(有効票3,765)を実施すると共に,生活騒音の実態を調査した。

その結果,周知のように上階住戸からの床衝撃音が居住者にとって最も気になる騒音であることが明らかにされ,畳のように優秀なクッション材を床表面に用いても,それだけでは上下住戸間の床衝撃音遮断性能は不十分であり,床構造自体の剛性を増す方向で,子供のとびはねなどに対応した防止対策を早急に立てていかなければならにことが明らかにされた。昭和46年,木村・安岡は重量衝撃源としてタイヤの落下衝撃を用いることを提案し,昭和53年 JIS A 1418の中でタッピングマシンに加えて,この重量柔衝撃源を併用することが規定された。

昭和40年代後半になると,戦後の住宅不足に悩まされてきた我が国も,やっと住宅数が世帯数を上回るようになったが,遮音性能に関する質への転換はなかなか進まなかった。当時の集合住宅は110~120mm厚という薄いスラブが当然のことのように使われていた。室内騒音に対する面接アンケート調査で集められた居住者の意見を整理してみると,居住者の大部分は生活騒音の問題を集合住宅の宿命としてとらえており,苦情申し立てをして隣人感情を害するよりは,スムースな人間関係を形成した方が得策であるという考えから,子供のとびはねや走りまわり等に悩まされながらも,互いにがまんしている傾向がみられたが,一方,下階住戸への気がねから,生活が委縮することへの懸念もみられ,集合住宅において,不特定多数の人々が普遍的に要求する平均的な条件に対して,建築的に遮音性能を保証することの重要性が,はっきりと浮きぼりにされていた。

引き続き昭和47年度には,住宅公団からの委託研究の一環として,集合住宅における湿式浮き床構造の研究がはじめられた。筆者は昭和49,51,53年と3度にわたって 「浮き床構造訪欧調査団」 のコーディネーターをつとめたが,49年パリのデファンス地区に建設中の40階建高層集合住宅の床スラブが210mm厚のコンクリート,セーヌ河畔の32階建の集合住宅は180mm厚のコンクリートに浮き床という状況に,構造的必要厚の110mmという薄いスラブが普通に使われていた我が国の状況と比較してショックを受けた。筆者は昭和52年4月,音響学会のシンポジウムで,「最近,一部では遮音性能の低下を伴う建物の高層化,軽量化がはかられ,集合住宅居住者の生活騒音に対する苦情が各所で発生しているが,これは技術というよりむしろ心掛けの問題であり,まず経済性のみを重視する態度を改めることが,集合住宅の設計には最も必要なことであるといわざるを得ない」 と述べた。

一方,昭和49年には建物の遮音基準に関する JIS 原案の作成委託があり,昭和50年4月には, JIS 案 「建築物の遮音性能基準」 が答申された。この JIS 案の答申を引き継ぐ形で建築学会に 「遮音基準作成分科会」 が設置され,空気音の遮音等級Dと床衝撃音の遮音等級Lを含む総合的な遮音の評価体系と学会基準が昭和54年に制定された。同じ年の10月,JIS 案のうち,評価尺度としての遮音等級とその級別を定めた部分のみが, JIS A 1419 「建築物の遮音等級」として公布された。

このJIS と学会基準によって集合住宅の遮音性能が,遮音等級という簡明な尺度で表わされ,その比較,評価が実用的かつ容易に行えるようになった意義は大きく,我が国の集合住宅の遮音性能を統一的に把握し,性能発注や性能表示を行うことが,ここにはじめて可能となった。その後の状況からみると,これらが一つの起爆剤となって,住宅供給者側が遮音性能の向上に取り組む姿勢が強まり,住宅の騒音問題の解決に積極的にふみ出すようになってきたといえる。

住宅公団はこれまで問題の多かった上下住戸間の遮音性を高めるため,床スラブのコンクリートの厚さを13cmから20cmへ7cmもアップするという記事が朝日新聞に報ぜられたのは昭和54年12月のことであった。公団は昭和48,49年頃,標準スラブ厚を11cmから13cmに増したが,昭和55年度からは学会基準を受けて,「住戸境の床は重量衝撃音に対する遮音等級 L-55 (学会基準の2級)とする。参考仕様はスラブ厚180~200mm」という画期的な遮音性能水準を設定した。

先にも述べたように,公的住宅である公団住宅においても,経済的合理性が追求され,戸数主義が長く続いた結果,構造部材 (壁・床) の厚さは,構造上の最小必要厚そのものに抑えられてきた。それでも左右の界壁の厚さは概ね遮音上必要な15cmの厚さを上回っていたが,上下住戸間の床スラブの構造的必要厚は11~13cmにしかならず,床衝撃音の防止に必要な厚さを明らかに下回っていた。住宅公団のある研究者は,昭和57年建築学会の音シンポジウムで,「このような構造部材厚の設計方法が,昭和55年の遮音性能水準設定まで続けられた結果,公団住宅100万ストックのほとんどは,遮音設計の対象となることもなく,上下間の床は必要最低限の遮音性能を保持せぬまま放置されているところに問題がある」 と述べ,L-55という55年遮音性能水準を設定した後にも問題の残ることを示した。

昭和54,55年度に建設省が行ったアンケート調査結果によると,分譲マンション居住者が 「カタログ等でもっと詳しく明示した方がよい」 と考えている項目の1位は 「上下階の衝撃音遮断性」 であった。またこの調査では,事前にその品質,性能がよくわからなかった項目ほど入居後の不満や苦情につながっているという傾向がみられた。このようなことから建設省では昭和56,57年度の2年間で分譲マンション性能表示制度のたたき台をつくり,58年度にその案が提示された。この案はいろいろな事情から一般に普及するまでには至っていないが,最近では大手ディベロッパーがD,Lの数値で遮音性能を要求するようになっており,公団住宅をはじめとする我が国の代表的な集合住宅では実質的な遮音性能の保障または表示がすでに行われうる状況になっている。

昭和50年代は住宅全体からみると,量から質への転換が実質的に行われた時代であり,居住者のニーズの高度化,多様化に応える形で,遮音等級の JIS 化,集合住宅の床スラブ厚の増大,建設省監修による湿式浮き床構造設計施工指針の刊行,高性能乾式軽量遮音壁の開発,遮音等級の実用的予測手法の確立などが行われてきた。

昭和60年代は,集合住宅に対する各方面からの要求がさらに多様化し,フレキシブルな平面計画を可能にする一住戸梁なしの大型スラブが用いられるようになるなど,音環境も新たな対応が求められるようになってきている。一部ではダニの発生からカーペットをはがし,住民が勝手に直張りフローリングに代えたことによって軽量衝撃音が問題になり,団地によっては直張りフローリングの性能指定をするところも出てきた。最近の新築マンションは,一つの流行として,カーペットを敷き込むよりもフローリング仕上げが好まれ,例え床スラブが180~200mm厚で重量衝撃音はL-55~L-50を達成しても,軽量衝撃音はL-70~L-65で苦情が発生するという,以前とは明らかに違った形が見られるようになった。

このような状況のもとで住都公団は,構造・振動・音響の面からみた大型スラブの設計指針を作成しつつあり,床面積100㎡の大型スラブでも,重量衝撃音に対しL-55が十分に確保できる目途がすでについている。また床材メーカーは,こぞって性能のよい直張りフローリング床の開発に取り組み,20mm厚程度でも軽量衝撃音L-55~L-50の性能が得られる製品が続々と生み出されている。社会資本整備の立ちおくれはあるものの,経済成長優先の恩恵を受けて力をつけた我が国の企業は,大手建設業を含めて,欧米に勝る技術力をすでに備えており,これからの集合住宅の音環境も,超々高層化や住戸面積の拡大など,どのような要求にも対応して,住民の満足を得ることのできる質の高いものになっていくことが期待される。

 

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*Acoustical Environment in Multifamily Dwellings

**Sho Kimura (College of Science & Technology,NIHON University)

 

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マンションでは、畳やカーペットよりもフローリング材が流行となり、直貼り仕様の物件でもLL45対応の直貼りフロアーがたくさん販売されるようになりました。LL45対応の直貼りフロアーは、基本的にフロアー裏面にスリット(鋸切れ目)が入り、軟らかい遮音材や吸音材が貼られている商品がほとんどです。基材も遮音材も柔らかいために歩行感がとてもフカフカするので初めて歩く人にとっては少し不思議な感触を請ける事もあるようです。 住宅床の床衝撃音と歩行感覚評価という事で井上勝夫氏と木村翔氏が解説されております。

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解説 住宅床の床衝撃音と歩行感覚評価

井上勝夫,木村 翔(日本大学理工学部)

 

1. は じ め に

床は建築物の中で,人間が常に接する重要な部位であるため,安定性や安全性の確保はもちろん居住性からみた快適性も当然要求される。特に集合住宅の床材料については,音響面から床衝撃音遮断性能の向上を実現するため,多くの研究,開発が行われてきた。また,近年のカーペット床から木質フローリング床への変更は,軽量床衝撃音遮断性能の低下を招き,防音型の直張木質フローリング材の開発が活発に行われてきた。しかしながら,この開発は,防音性能の向上を材料断面の緩衝効果に依存したため,木仕上げでありながら柔らかい床を出現させることとなり,居住性(歩行感)が損なわれるという問題を引き起こしている。

一方,最近の住宅建築を見ると,床構造の仕様が従来の工法に比べ大きく変化してきている。素足歩行を対象として完成されてきた住宅の伝統的床構造とかなりの差が生じてきており,床弾性の面でも変化してきていることが推察される。床が居住性能に及ぼす影響は大きく,住宅の空間性能の向上のためにも,適性弾性に関する研究や床構造の工法及び仕様の検討等を精力的に行っていく必要がある。

本報では,住宅の床の適性弾性について居住性(歩行感)の面から系統的に検討した筆者らの研究例¹⁷⁾,¹⁹⁾を中心に解説する。

 

2. 人の床歩行時の衝撃力特性

歩行感や床の振動特性を検討する前に,人の歩行時の床に及ぼす衝撃力特性を実験的に測定した結果について概要を紹介する。足裏全面にシート状の多チャンネル(1,260ch)の圧力センサを貼り付け,歩行時の加圧によって変化する電気抵抗を検出する装置を用い,歩行時の足裏各部の衝撃力を測定した。衝撃力のサンプリングは100Hz/chで,足裏面の平面上の分解能は5.08mm間隔,センサシートの測定範囲は2.0~147N/cm²である。年齢別・男女別・歩行種類別に行った衝撃力測定実験結果の中から,大学生男子の普通歩行時における足裏各部の圧力の時間変化の例を図-1に示す。これを見ると,踵が床面に接触し,約100ms後に踵部分の衝撃力が最大値を示し,前足部へと体重が移動して,約600ms後に前足部の衝撃力が最大となり,700ms程度で指部が離脱する様子が分かる。そこで,足裏全面を図-2のように主要部分に分割し,各部の圧力を時間ごとに加算して,時間波形として表すと図-3に示すようになる。このように足裏の各部分は,衝撃力の期間変化を伴うので,図-3から得られる情報は歩行感等を検討する上で非常に重要な意味を持つ。また,これらの足裏各部の衝撃力を周波数分析した結果を図-4に示す。図中には,小学生・大学生・60歳代の場合を比較して示した。全体波形については,衝撃時間が700ms前後であることから,衝撃周波数は1~2Hz程度となり,衝撃波形が2段波となるため比較的高周波成分を含む周波数特性を示している。また,踵部と前足部は,衝撃時間が短くなるため,衝撃周波数は若干高めとなるが,衝撃周波数以上の周波数特性はかなり減衰が大きい特性を示している。これらの特性を全体的に見ると,全体波形の低周波数域は前足部の影響が強く,高周波数域は踵部の影響が強いと言える。

 

3. 歩行衝撃シミュレータの検討と試作

床仕上げ構造の変化に対する歩行感等の評価実験を実施する場合,感覚変化量を説明する物理量の測定が必要である。この物理量は,単純な加圧装置や点衝撃装置によるものだけでなく,人の歩行時に近似した衝撃力による床構造各部の応答物理量も対象とする必要がある。そこで,任意の衝撃波形が安定して再現できる衝撃装置として,「歩行衝撃シミュレータ」を考案・試作した。この装置の概要を図-5に示す。この装置は,プログラム又はメモリから入力された衝撃波形で油圧ポンプを駆使し梃子の原理を利用して床面を加圧する装置であり,加圧装置の先端に設置したロードセルの出力で制御する機構となっている。衝撃ヘッドの硬さや面積,梃子のアームの長さ等は可変であり,いろいろな床仕上げ構造に対処できるようになっている。また,装置全体の周波数特性は油圧装置のレスポンスに依存し,DC~50Hzの間でほぼ平坦な特性を有している。図-3に示すような実歩行時の衝撃力波形を入力した場合の,コンクリートスラブ上加振時における衝撃力波形を実歩行時の波形と比較して図-6に示す。これを見ると,全体波形や前足部波形入力時の場合で,高周波数域に若干差が生じるケースがあるが,全体的に見て,時間波形,周波数特性とも良い対応を示していると判断され,人の歩行を代表する試験用衝撃源として妥当な装置であると言える。

 

4. 住宅の床仕上げ構造を対象とした歩行感の評価

4.1 対象とした床仕上げ構造

住宅で一般的に使用されている床仕上げ構造を全体的に網羅し,また軽量床衝撃音遮断性能を意識し,いろいろな圧縮・曲げ弾性を有するように選定し,直張木質フローリング床,根太床,カーペット床,畳床などの31種類の床構造を対象とした。試験用の床は,目的が歩行感覚実験であることを考慮し,十分な歩行ができるように910mm×3,640mm以上の面積とした。また,各床仕上げ構造は土間コンクリート上に施工し,下部構造の影響を極力除去した。

4.2 全床仕上げ構造を対象とした歩行感

日本の住宅内の床仕上げ構造は,室用途別に大きく変化しており,例えば,同じ「歩行」でも,和室とリビングでは要求性能に変化があることが予想される。これらの推定のもと,まず,選定した全床構造を対象に歩行感覚評価実験を実施した。被験者は20歳代,40歳代,60歳代の男女,計59名である。評価項目はかたさ感,へこみ感,好ましさなどの8項目であり,9段階尺度によるSD法により実施した。

評価結果を系列範ちゅう法により尺度化し,評価項目間の相関を求めた。図-7には20歳代の結果の例を示した。図を見ると,直張木質フローリング床や根太床は評価の幅が広い。しかし,カーペット床や畳床は評価の幅が狭く,種類の変化が感覚に及ぼす影響は小さいことが推察される。また,“かたさ感”と“好き・嫌い”の相関を見ると,各床とも2次曲線で近似される相関性を示しているが,床仕上げ構造別には異なった相関性を示しており,評価の基準に差があることが伺われる。

次に“かたさ感,”“へこみ感,”“たわみ感,”“重量感,”“好ましさ”五つの評価項目に限定し,直張木質フローリング床3種,根太床2種,防振置床1種,カーペット床2種,畳床2種の計10種の床仕上げ構造を対象として,9段階尺度を用いた一対比較法による感覚評価実験を行った。評価結果からシェッフェの心理尺度構成値を算出し,分散分析により評価の感覚量の差の有意性をヤードスティック(有意水準:5%)により検討を行なった。心理尺度構成値の項目相関の例を図-8に示す。これを見ると,“かたさ感”と“好ましさ”の関係は,床仕上げ構造別に変化が大きく,全体的な相関は低下している。この結果からも,人は床仕上げ構造の変化により異なった感覚尺度を有していることが推察される。よって,次節では,評価を床仕上げ構造別に検討することとした。

4.3 床仕上げ構造別の歩行感覚評価

試験対象床仕上げ構造の中から,図-7で評価の幅が広がった直張木質フローリング床と根太床(防振置床を含む)を取り上げ,別々に一対比較法による感覚評価実験を実施した。対象とした床構造は,軽量床衝撃音遮断性能の公称遮音等級がLL-40~LL-60の直張木質フローリング床8種類,根太床・防振置床9種類である。被験者は4.2節の一対比較法による実験に当たった59名に20歳代の7名を追加した計66名である。評価及び解析は,4.2節に示した方法と同様である。

(1) 直張木質フローリング床の評価結果

項目間相関の解析例を図-9に示す。これをみると,“かたさ感”と“へこみ感”の項目間相関は,直線近似され,直張木質フローリング床の“かたさ感”は床の局部圧縮ばねに依存することを示している。一方,“かたさ感”と“好ましさ”の相関は,2次曲線で近似される傾向を示し,特に20歳代の場合は明確な極値を有している。

(2) 根太床・防振置床の評価結果

項目間相関の解析例を図-10に示す。“かたさ感”と“好ましさ”の相関をみると,根太床と防振置床は別の評価判断が行われていることが分かる。防振置床は歩行時の床弾性が支持脚下部に設けられたゴム材に依存しているのに対して,根太床はその弾性が根太間の板の曲げに依存している。根太間隔は300mm~600mm程度であるから,根太床の場合,場所の変化による弾性の変化が大きいことが予想される。しかし,防振置床の場合は面材の剛性が大きいために変形は場所による差もそれほどなく,比較的平面性が保たれた形で変位していることが考えられる。それゆえ,同じかたさ感覚を有する場合でも,防振置床の方が安定した床の感覚を与えるために評価が高くなっていると考えられる。根太床のみでは,ほぼ直線的な相関関係を示しており,よりかたい床ほど好ましい床であると言える。“重量感”と“好ましさ”の関係を見ると,直線的な相関を示しており,重量感があるほど好ましさが増大する傾向にある。

4.4 心理量と物理量の対応

(1) 物理量の計測・解析方法

4.3節で行なった感覚評価実験の結果と床構造の動的物理量との対応を求めるために,いろいろな物理量について検討した。まず人の歩行時を対象とした物理量として,3章で示した歩行衝撃シミュレータによる踵衝撃を対象とした床面の動的変位量,動的ばね定数を対象とした。また,床面の物理的特性として,駆動点インピーダンス,軽量床衝撃音遮断性能に直接関与するタッピングハンマによる加振時の衝撃時間,軽量床衝撃音レベル低減量などを対象とした。歩行衝撃シミュレータによる衝撃力は,人の歩行時の平均値として,衝撃周波数1.25Hz,ピーク衝撃力456Nとした。また,衝撃点及び衝撃点近傍の変位量計測にはレーザ変位形を用いた。駆動点インピーダンスの計測には,衝撃周波数が約80Hzのインパルスハンマを用いた。タッピングハンマはタッピングマシンのハンマと同等な仕様(質量:500g,材質:スチール,ヘッド直径:3cm,衝撃面の曲率半径:50cm)のもので,高さ4cmから自由落下させる方法とし,衝撃時のハンマヘッド部分の加速度変化を計測する方法を用いた。床の衝撃位置は,直張木質フローリングでは,試料の中央点とし,根太床かつ大引間とした。

軽量床衝撃音レベル低減量の測定は,スラブ厚さ14cmの普通コンクリート床版で,室面積が81.7m2の床面上に施工し,JIS A-1440に準拠し計測した。衝撃点は3点,下室の測定点は5点とし,15秒間のオクターブバンド別等価音圧レベルを計測した。

(2) 直張木質フローリング床の心理量と物理量の相関

4.3節に示した直張木質フローリング床に対する一対比較法による評価実験結果と,(1)で計測した床の各種物理量との対応を取った。その例を図-11に示す。歩行衝撃シミュレータによる衝撃点の動的変位量と好ましさの関係を見ると,変位量が1~1.5mm程度のところに好ましさのピーク値があり,変位量が大きすぎても小さすぎても好ましさは低下する傾向にある。これは,衝撃点の動的ばね定数でみると,5~10×105N/mに対応する。125Hz帯域の床衝撃音レベル低減量と好ましさとの関係も2次関数的対応を示しており,低減量が2~3dB付近に好ましさのピークが存在すること示している。

(3) 根太床・防振置床の心理量と物理量の相関

心理尺度構成値と各種物理量の対応例を図-12に示す。歩行衝撃シミュレータによる衝撃点の動的ばね定数との対応をみると,“好ましさ”とは2次関数的対応を示し,動的変位量及び動的ばね定数で最も高い評価を示す値は,それぞれ1.5mm前後,4.0×105N/m程度となっている。また,衝撃インピーダンスレベルも“好ましさ”との相関が良く防振置床も含めて心理量を良く説明できる物理量であると言える。衝撃インピーダンスレベルは,70dB程度が最も好ましい床と言える。

 

5. む す び

本稿の結果から,特に歩行感を対象とした場合,好ましさには,ある極値が存在することが分かった。そして,それを説明する主要な物理量として,動的ばね定数や動的変位量,床仕上げ材のインピーダンスなどが挙げられることを示した。しかしながら,好ましさの絶対値については,それを決定付ける要因が非常に多いこと,また,感覚は複雑で個人差が大きいことなどから,今後の研究に負うところが大きい。

床は住宅の基本的部位であるから,居住性能向上のためにも,今後更に同種の研究が行われることが望まれる。なお,筆者らは住宅内での人の行動を“歩く”だけでなく,“立つ”,“座る”まで拡張し,各々の行動別視点からみた住宅床の“かたさ感覚”評価を目的とした研究を継続している。

床のかたさに関する過去の研究例としては,内田らによる床のかたさ評価に関する研究1),吉岡による床の弾力性を表した研究2),3),宇野らや古川らによる床のすべりや階段の昇降感に関する報告4)~6),小野らによる床の弾力性の解析7)~11)・歩行時の床のかたさの評価12)~15)など,多くの報告がある。また,床のかたさを居住性の面から検討した最近の研究には,筆者らの一連の研究16)~19)や安岡・赤尾らの研究20)~23)がある。これらの研究に関する詳細な内容については,文献を参照されたい。

 

文   献

1)内田祥哉,宇野英隆,江口 禎,“床のかたさについて(床の研究その2),”建築学会研究報告48号, 99-100(1959).

2)吉岡 丹, “床材料の歩行感とくにその弾力性について,”建築学会研究報告48号,77-80(1959).

3)吉岡 丹, “各種床材料の弾力性測定装置の試作,”建築学会論文報告63号,65-68

(1959).

4)宇野英隆,直井英雄,遠藤佳宏,“足圧の変化よりみた床のすべり性状について,”日本建築学会大会学術講演梗概集,613-614(1973).

5)古川修文,山田水城,後藤剛史,“階段の昇降感と足圧の関係について,”日本建築学会大会学術講演梗概集,987-988(1979).

6)古川修文,山田水城,後藤剛史,“階段の昇降時における歩調の乱れと足圧の関係について,”日本建築学会大会学術講演梗概集,1223-1224(1981).

7)小野英哲, “体育館の床の弾力性に関する研究(その1:運動競技者が体育館の床にあたえる荷重の解析),”日本建築学会論文報告集 第181号,7-14(1971).

8)小野英哲,吉岡 丹,“体育館の床の弾力性に関する研究(その2:体育館の床の弾力性測定装置の設計・試作),”日本建築学会論文報告集 第187号,27-34(1971).

9)小野英哲,吉岡 丹,“体育館の床の弾力性に関する研究(その3:体育館の床の使用感調査および弾力性測定),”日本建築学会論文報告集 第188号,1-10(1971).

10)小野英哲,吉岡 丹,“体育館の床の弾力性に関する研究(その4:弾力性の使用感に関する心理学的尺度の構成),”日本建築学会論文報告集 第226号,9-19(1974).

11)小野英哲,吉岡 丹,“体育館の床の弾力性に関する研究(その5:弾力性の使用感に関する心理学的尺度と床の物理量との対応および弾力性の評価式,最適値の提示),”日本建築学会論文報告集 第227号,1-11(1975).

12)吉岡 丹,小野英哲,川村清志,茗ケ原泰広,“建築物の床のかたさおよびその評価方法に関する研究(その1:床のかたさに関する心理学的尺度の構成),”日本建築学会論文報告集 第245号,9-15(1976).

13)吉岡 丹,小野英哲,川村清志,茗ケ原泰広,“建築物の床のかたさおよびその評価方法に関する研究(その2:床のかたさに関する心理学的尺度と物理量の対応および床のかたさ評価式,最適値の提示),”日本建築学会論文報告集 第246号,17-23(1976).

14)小野英哲,横山 裕,大野隆造,“居住性からみた床のかたさの評価方法に関する研究(その1:床のかたさに関する心理学的尺度の構成),”日本建築学会論文報告集 第358号,1-8(1985)

15)小野英哲,横山 裕,“居住性からみた床のかたさの評価方法に関する研究(その2:床のかたさ測定装置の設計・試作および床のかたさの評価指標,評価方法の提示),”日本建築学会論文報告集 第373号,1-8(1987).

16)井上勝夫,木村 翔,石川俊郎,“直貼り木質フローリング材の軽量床衝撃音と歩行感の評価に関する研究,”日本建築学会論文報告集 第454号,15-23(1993).

17)井上勝夫,木村 翔,前原曉洋,渡辺秀夫,松岡明彦,“床歩行時の足裏各部の衝撃力特性(歩行感からみた住宅床の振動応答特性と床衝撃音遮断性能に関する研究その1),”日本建築学会計画系論文集 第477号,1-10(1995).

18)井上勝夫,木村 翔,前原曉洋,渡辺秀夫,“床弾性試験用衝撃源の試作と住宅床の振動応答特性(歩行感からみた住宅床の振動応答特性と床衝撃音遮断性能に関する研究(その2),”日本建築学会計画系論文集 第483号,9-15(1996).

19)井上勝夫,木村 翔,平光厚雄,矢後佐和子,渡辺秀夫,“歩行感からみた住宅床の感覚評価に関する研究(歩行感からみた住宅床の振動応答特性と床衝撃音遮断性能に関する研究その3),”日本建築学会計画系論文集 第504号,9-16(1998).

20)赤尾伸一,阿部正紀,岩本 毅,嶋田 泰,藤井弘義,安岡博人,安岡正人,“住宅の床仕上げ材の遮音性能と歩行感に関する研究(その5官能検査の結果と物理量との対応について),”日本建築学会大会学術講演梗概集,40089(1995).

21)藤井弘義,赤尾伸一,阿部正紀,岩本 毅,嶋田 泰,安岡博人,安岡正人,“住宅の床仕上げ材の遮音性能と歩行感に関する研究(その6低荷重における静的載荷試験),”日本建築学会大会学術講演梗概集,40047(1996).

22)岩本 毅,赤尾伸一,阿部正紀,嶋田 泰,藤井弘義,安岡博人,安岡正人,“住宅の床仕上げ材の遮音性能と歩行感に関する研究(その7静的載荷試験による物理量と官能との対応),”日本建築学会大会学術講演梗概集,40048(1996).

23)赤尾伸一,阿部正紀,岩本 毅,嶋田 泰,藤井弘義,安岡博人,安岡正人,“住宅の床仕上げ材の遮音性能と歩行感に関する研究(その8静的および動的試験から得られる物理量と官能との対応),”日本建築学会大会学術講演梗概集,40049(1996).

 

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日本では集合住宅やマンションの床衝撃音の研究のみならず、
木質構造の床衝撃音の研究もおこなわれています。

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カテゴリーⅡ [木材学会誌 Vol.58,No.5,p.289-294 (2012)]

 

木質構造の床衝撃音の 「うるささ」 の心理音響評価*1

末吉修三*2,宇京斉一郎*2,進藤 龍*3,大沼俊介*3,塩田正純*3

 

木質構造で発生する床衝撃音は種々の周波数成分を含む騒音となることがある。そのような場合,「音の大きさ」を指標とするだけでは床衝撃音の「うるささ」を評価することは難しい。本研究では,木質構造の床衝撃音の「うるささ」を評価する新たな指標を見出すことを目的とした。フローリング,衝撃緩衝材,遮音材および厚物合板で構成される木造モデル床を木造軸組構造の上に構築し,各種の衝撃源によって発生させた床衝撃音を収録した。これらの収録音について,「音の大きさ」,「音の鋭さ」および「うるささ」に関わる主観評価を行うとともに,心理音響評価を行った。その結果,床衝撃音の「音の大きさ」,「音の鋭さ」および「うるささ」に関わる主観評価の間には,互いに高い相関があることがわかった。また,床衝撃音の「うるささ」は,心理音響指標の「非定常ラウドネス」と「シャープネス」の線形結合でモデル化できることが明らかとなった。

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*1 Received November 30,2012;accepted April 18,2012. 本研究の一部は第60回日本木材学会大会(2012年3月,宮崎)において発表した。

*2 森林総合研究所構造利用研究領域 Department of Wood Engineering Forestry and Forest Products Research Institute,Tsukuba 305-8687,Japan

*3 工学院大学工学部 Faculty of Engineering,Kogakuin University,Tokyo 163-8677,Japan

Corresponding author:S.Sueyoshi (sue@ffpri.affrc.go.jp)

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1. 緒   言

木質構造で快適な居住環境を実現するためには,住宅の騒音の中でもとりわけ音響エネルギーの大きな床衝撃音を抑えることが重要である。木質構造は様々な形状の軸材と面材で構成されているため,発生する床衝撃音は種々の周波数成分を含む騒音となることがある。そのため,「音の大きさ」だけで床衝撃音を評価することは,必ずしも十分とは言えない。既往の研究1-4)では,木造床などの床衝撃音について,高音域の周波数成分が変化すると聴感に影響を及ぼすことが被験者を使った実験で確かめられている。これとは別に,業者らは,居住者の観点から床衝撃音の印象や生体への影響を評価するため,主観評価や生理応答を指標として被験者実験を行ってきた5-8)。また,制振材を貼付したコンクリートスラブ9)や木質構造10)の床衝撃音の大きさの心理音響評価を行い,心理音響指標の一つである「非定常ラウドネス」は,従来から用いられてきた「音の大きさ」に関わる音響評価指標である「最大A特性音圧レベル」と比較して,床衝撃音レベルのより広い範囲で床構造の仕様の違いに対応して変化することを明らかにした。さらに,木質構造の種々の重量床衝撃音の大きさについては,「非定常ラウドネス」のほうが「最大A特性音圧レベル」より聴感との相関が高いことを確かめた11)。

これらの研究を踏まえ,本研究では、「音の大きさ」,「音の鋭さ」,および「うるささ」に関わる主観評価ならびに「音の大きさ」と「音の鋭さ」に関わる心理音響評価に基づいて,木質構造の床衝撃音の「うるささ」を評価する新たな指標を見出すことを目的とした。

 

2. 実   験

2.1 木造モデル床

木造モデル床は,鉄筋コンクリート構造(2815mm×3725mm×高さ3000mm)の上面の開口部に設置した。木造モデル床の軸組構造は,居間等の比較的大きな部屋の上階の床を想定して,桁(105mm×240mm)をボルトで鉄筋コンクリート構造に固定し,長手方向に2本の梁(桁と同寸法)を1820mm間隔で設置した。木造モデル床の面材は,スギ単層フローリング(製品寸法:幅190mm,厚さ30mm,長さ4000mm,および製品寸法:幅150mm,厚さ15mm,長さ4000mm),スギ厚物合板(製品寸法:幅910mm×厚さ28mm,長さ1820mm),遮音材(アスファルト系,製品寸法:455mm×900mm,厚さ12mm,密度3g/cm3),および衝撃緩衝材(スギ樹皮ボード,910mm×1820mm,厚さ40mm,密度0.23g/cm3)で構成され,軸材に長さ75mmと50mmの木ねじを併用して固定した。このように,木造モデル床は下階の天井を施工しない梁あらわしの構造とした。木造モデル床の面材の積層構成はTable 1に示す通りである。

2.2 床衝撃音の収録

床衝撃音を発生させるため,衝撃源として,JIS A 1418-2:200012)に規定されている衝撃力特性(2)のインパクトボール (RION Type YI-01,質量2.5kg) のほかに,ソフトボール (1号球,質量139g) とバドミントンラケット (質量120g)を用いた。また,カットパイルカーペットを床表面の衝撃緩衝材として用いた。Table 1に示した木造モデル床の試験体1~5について,カーペットの有無と加振点2ヵ所 (床の中央と端部) の組み合わせで,インパクトボールとソフトボールの落下 (高さ100cm),および垂直に立てたバドミントンラケットの転倒により発生させた60種類の床衝撃音をバイノーラル・マイクロホン (B&K Type 4101) と音響解析装置 (B&K Plus Type 3560C) を用いて,5回ずつWAV形式で収録した。ここで,加振点の中央と端部は,それぞれ木造モデル床の対角線の交点および対角線の4等分点のうち北西の1点に定めた。

2.3 呈示音

収録した床衝撃音の中からできるだけ副次的な雑音がないものを呈示音として選んだ。5秒間隔で2回再生できるように編集した呈示音を記録媒体 (CD-R) に保存した。

2.4 主観評価

主観評価の手順は,以下の通りである。あらかじめ各呈示音を記録したCD-Rをパーソナルコンピュータで再生し,ヘッドホン (Sennheiser,HD600) を通して被験者 (20~30才の男子大学生14名と女子大学生2名) に呈示して,「音の大きさ」,「音の鋭さ」,および「うるささ」に関わる印象を目安となる7段階の目盛りを付けた線上の任意の位置に印を記させることで評価させた。各呈示音に対する主観評価値は,全被験者の評価値の算術平均によって求めた。

2.5 心理音響評価

床衝撃音の 「うるささ」 の新たな評価指標を見出すために,心理音響解析による評価を行った。心理音響解析13)では,聴覚の特性を模擬した信号処理に基づいて,「音の大きさ」,「音の鋭さ」,「音のあらさ」,および「変動強度」の定量的指標を算出することができる。「音の大きさ」と「音の鋭さ」は,定常音と非定常音に関わらず定義されているが,「音のあらさ」と「変動強度」は,定常音についてのみ定義されている。したがって,床衝撃音のような非定常音については,「音の大きさ」と「音の鋭さ」が評価尺度となる。これらの心理音響指標は,それぞれ 「非定常ラウドネス」 と 「シャープネス」 と呼ばれる。

「非定常ラウドネス」 は,内耳の蝸牛で物理的な振動を聴神経に伝わる電気信号に変換する過程で生じる聴覚の特性,すなわちTable 2に示した臨界帯域14)と呼ばれる周波数帯域ごとの知覚,ラウドネス形成の音の持続時間への依存性,あるいはマスキングの影響などを考慮して,臨界帯域ごとのラウドネスの積分値(単位:sone)として表される。なお,Table 2に示すように,この臨界帯域にはBarkと称される単位で番号が付けられる。

「シャープネス」 は,全臨界帯域のラウドネスの積分値に対する16Bark (約3kHz) 以上のラウドネスに重み付けをした積分値の比 (単位:acum)で表される。このことは,約3kHz以上の周波数成分が増加すると音が鋭く感じられる聴覚の特性を反映している。

心理音響指標の算出手順は,既報11)と同様,以下の通りである。心理音響アプリケーション (Mueller-BBM,PAK SYSTEM Ver.5.4)を用いて呈示音を解析し,得られた各心理音響指標の時系列の結果から,両耳で1個ずつの合計2個の極大値の算術平均を求め,「非定常ラウドネス」 と 「シャープネス」 を算出した。

なお,主観評価と心理音響評価で得られた各評価値は,汎用統計解析ソフトウェア (JMP 9.0.3,SAS Institute Japan 株式会社) を用いて処理した。

 

3. 結果と考察

3.1 主観評価および心理音響評価の相関関係

60種類の床衝撃音について行った主観評価と心理音響評価の相関を分析した結果は,Fig.1の散布図行列に示す通りで,各評価指標は相互に線形関係が成り立っている。主観評価のうち,「音の大きさ」 と 「音の鋭さ」 を聴覚の基本的な感覚とすれば,「うるささ」 はより高次の判断を伴う感覚に位置づけられる。これらの評価間の相関関係がいずれも0.9以上であることから,床衝撃音は大きいほど鋭く感じられ,また床衝撃音は大きいほどあるいは鋭いほどうるさく感じられることを示している。

「音の大きさ」 と 「音の鋭さ」 は,基本的には独立した概念である。しかしながら,提示した床衝撃音は,いずれも実大の木造モデル床で発生させた実音であることから、インパクトボールの落下のような重量衝撃では,床衝撃音レベルが上がるほど,きしみ音などの副次的に発生する高音域の周波数成分が増える。またソフトボールやバドミントンラケットを衝撃源とする場合でも,床衝撃音レベルが上がるほど,高音域の床衝撃音レベルも上がる。2.5項で言及したように,聴覚の特性として約3kHz以上の高音域の周波数成分が増すと音が鋭く感じられるので,「音の大きさ」 と 「音の鋭さ」 に関わる主観評価の相関が高くなったと推察される。

床衝撃音の 「うるささ」,「非定常ラウドネス」 および 「シャープネス」 については,「うるささ」 と 「非定常ラウドネス」,「うるささ」 と 「シャープネス」 および 「非定常ラウドネス」 と 「シャープネス」 の相関係数は,それぞれ0.8417,0.7623および0.7654であった。これらは0.9以上の主観評価同士の相関係数と比較して低いが,前述の通り実大の木造モデル床で発生させた実音の特性を反映して,床衝撃音は大きいほど鋭く感じられ,また床衝撃音は大きいほどあるいは鋭いほどうるさく感じられることに対応しており,主観評価と心理音響評価の結果は整合性がとれていることが確認できた。

なお,主観評価の 「音の大きさ」 と 「非定常ラウドネス」 の相関係数0.8233と比較して,主観評価の 「音の鋭さ」 と 「シャープネス」 のそれは0.7260に留まった。このことは,被験者への実験前の教示で,「一般に「音の鋭さ」は高い音が大きくなるほど増す」というような誘導を行わず,被験者の判断に委ねたので,「音の大きさ」 と比べて 「音の鋭さ」 のほうが,被験者間の評価のバラツキが大きくなったと推察される。

3.2 心理音響指標を用いた床衝撃音の 「うるささ」 の重回帰モデル化

前項で示したように,主観評価と心理音響評価の間で線形関係が成り立っていることから,床衝撃音の 「うるささ」 の新たな評価指標を見出すため,「音の大きさ」 と 「音の鋭さ」 に関わる心理音響指標の 「非定常ラウドネス」 と 「シャープネス」 を用いて,床衝撃音の 「うるささ」 の重回帰モデルの構築を試みた。このことは,言い換えれば,聴覚の基本的な感覚の 「音の大きさ」 や 「音の鋭さ」 に関わる心理音響指標を用いて,より高次の判断を伴う感覚の 「うるささ」 を表す定量的評価指標を見出す試みである。

式(1)に示すように,床衝撃音の 「うるささ」 を目的変数 (N) とし,心理音響指標の 「非定常ラウドネス」 と 「シャープネス」 を説明変数 (L,S) として,各変数を標準化して重回帰分析した結果をFig.2に示す。

N=a+bL+cS               (1)

ここで,aは定数,b,cは標準偏回帰係数である。

この重回帰式は,重相関係数0.8615,重決定係数0.7422で,自由度修正済み重決定係数は0.7331となり,その有意確率は0.0001未満であった。すなわち,床衝撃音の 「うるささ」 は,「非定常ラウドネス」 と 「シャープネス」 を説明変数として約73%説明でき,説明変数全体として高い有意性があることを示している。パラメーターの推定値をTable 3に示す。「非定常ラウドネス」 と 「シャープネス」 の標準偏回帰係数は0.6235と0.2851で,有意確率がそれぞれ0.0001未満と0.0085を示していることから,床衝撃音の 「うるささ」 に影響する主要な説明変数は 「非定常ラウドネス」 であり,「シャープネス」はその半分程度の影響を及ぼしていることがわかる。

前述の通り,呈示音として用いた実音源の音響特性を反映して,「非定常ラウドネス」 と 「シャープネス」 にある程度の相関 (単相関係数,0.7654) が認められるが,分散拡大要因 (Variance Inflation Factor,VIF) は2.4を示しており,この重回帰モデルは多重共線性を明確に示すVIFが10を越えるような水準に達していない。

3.3 床衝撃音の 「うるささ」 と心理音響指標との偏相関

重回帰モデルの目的変数と説明変数間の相関について別の角度から考察を加えるため,床衝撃音の 「うるささ」 と 「非定常ラウドネス」 あるいは 「シャープネス」 との間の偏相関係数をTable 4に示す。「シャープネス」 の影響を除いた床衝撃音の 「うるささ」 と 「非定常ラウドネス」 との間の偏相関係数が0.6200で,「非定常ラウドネス」 の影響を除いた床衝撃音の 「うるささ」 と 「シャープネス」 との間の偏相関係数が0.3398であることから,床衝撃音の 「うるささ」 を説明する主たる変数は 「非定常ラウドネス」 であり,「シャープネス」 は 「非定常ラウドネス」 の半分程度の相関を示す従たる変数に位置づけられる。このような偏相関から見て取れる目的変数に対する説明変数の寄与率は,重回帰分析で得られた標準偏回帰係数によって表される影響の程度と整合性がとれている。

以上の結果から,木質構造の床衝撃音の 「うるささ」 の評価指標として,「非定常ラウドネス」 と 「シャープネス」 の重回帰モデルの有効性を示すことができた。今後,「音の大きさ」 と 「音の鋭さ」 が多様な木質構造の床衝撃音の 「うるささ」 について信頼性の高い評価を行なうためには,「小さくて,鈍い」 音や 「大きくて,鋭い」 音だけではなく,「小さくて,鋭い」 音や 「大きくて,鈍い」 音を含む音源を用いた主観評価と心理音響評価のデータを蓄積することが不可欠である。

 

4. 結   論

木質構造の床衝撃音の 「うるささ」,「音の大きさ」 および 「音の鋭さ」 に関わる主観評価は,互いに高い相関を示した。この床衝撃音の 「うるささ」 の定量的指標として,主観評価とは全く独立して得られた心理音響指標の 「非定常ラウドネス」 と 「シャープネス」 の線形結合で定式化された重回帰モデルを構築することができた。このことは,「音の大きさ」 と 「音の鋭さ」 という聴覚の基本的な感覚に関わる心理音響指標によって,より高次の判断を伴う床衝撃音の 「うるささ」 を定量的に評価する端緒を開くものである。

文   献

1) 山下恭弘,長瀬知之,財満健史,大脇雅直:日本建築学会大会学術講演梗概集D-1,中国,1999,pp.123-124.

2) 長瀬知之,財満健史,大脇雅直,山下恭弘:日本建築学会大会学術講演梗概集D-1,中国,1999,pp.125-126.

3) 財満健史,長瀬知之,大脇雅直,山下恭弘:日本建築学会大会学術講演梗概集D-1,中国,1999,pp.127-128.

4) 大脇雅直,長瀬知之,財満健史,山下恭弘:日本建築学会大会学術講演梗概D-1,中国,1999,pp.129-130.

5) Sueyoshi, S., Miyazaki, Y.:Mokuzai Gakkaishi  41,293-300 (1995).

6) Sueyoshi, S., Morikawa, T., Miyazaki, Y.:J.Wood Science 50,490-493 (2004).

7) Sueyoshi, S., Morikawa, T., Miyazaki, Y.:J.Wood Science 50,494-497 (2004).

8) 末吉修三:木材学会誌 50,285-293 (2004).

9) 末吉修三,山本耕三,小林真人,山口道征:日本建築学会技術報告書 5,229-232 (2003).

10) Sueyoshi, S.:J.Wood Science 54,285-288 (2008).

11) 末吉修三,宇京斉一郎,菅沼一希,立和名悠介,塩田正純:木材学会誌 58,69-73 (2012).

12) JIS A 1418-2:“建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法-第2部:標準重量衝撃源による方法”,日本規格協会 (2000).

13) Fastl, H.,Zwicker, E.:“Psychoacoustics-facts and models”,Springer,Berlin Heidelberg New York,2007,pp.203-264.

14) Fastl, H,. Zwicker, E.:“Psychoacoustics-facts and models”,Springer,Berlin Heidelberg New York,2007,pp.149-173.

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「音の大きさ」や「うるささ」で相関を考える事など考えつきもしませんでした。音の「鋭さ」や「鈍さ」でも検証されていらっしゃいました。

住宅における床騒音に関する文献をご紹介させて頂きました。騒音問題は、同じ一つ屋根の下で人が過ごすにあたり避けては通れない問題です。また、日本人特有の問題だとも言えるのかもしれません。特に賃貸物件ではなかなか顔を上下階で顔を見た事も無い住人の方もいらっしゃるかとは思いますがなるべく心に余裕を持って過ごせればいいですね。

床衝撃音低減性能の表示方法変更・ΔL等級の表示体系

ΔL等級では、床材を2つのカテゴリー(分類)
に分け、試験方法や等級表示範囲も違ってきます。

床材の床衝撃音低減性能は、その製品構造や施工方法により、
躯体条件への依存度が異なる為、カテゴリー分けされる事になります。

また、カテゴリーⅠの床材の多くは、
重量床衝撃音に対して低減効果も増幅効果も示さないため
「防音直張りフローリング」の場合、
重量床衝撃音については表示しなくてもよいことになります。


出展:JAFMA・HPより

 

防音直張りフローリングの場合、
ΔL等級から推定L等級へ換算(読み替え)が可能です。

従来の推定性能の考え方は、実験室の特定条件の下で試験を行い、
床材単体の床衝撃音低減性能を分離して、他の躯体条件の元でも
同じ性能が発揮できることを前提としています。
防音直張りフローリングの場合には、従来どおり推定方法が成立する
と考えられますので、ΔL等級から推定L等級への換算は可能です。

 

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