東京武道館第二武道場(剣道場)の床改修の打ち合わせ

東京武道館第二武道場
東京武道館第二武道場

東京武道館第二武道場(剣道場)の床改修の打ち合わせを行いました。
こちらの床は、とても知恵と工夫が施されており、図面を見ても、現物を見ても、なかなかその理由が分からない加工が施されている箇所が多い床です。ぱっと見は松のフローリングに見えますが、JASフローリングの日本農林規格に照らし合わせると、フローリングとは言えない床材です。

2012年ころ、筑波大学・鍋山隆弘先生に「東京武道館改修工事の見学に行ってみないか」とお誘いいただきました。その時に、新築時に携わった東京都のプロジェクト担当者の方と設計士さんから直接東京武道館への思い入れや工夫を教えて頂きとても勉強になりました。
その知恵と工夫は、国体開催と共に静岡県武道館や埼玉県立武道館の武道場床へと引き継がれていきました。少しづつ改良が加わり各武道館とも全く同じ工法では無いものの、よく似た工法と部材で構成されています。

プレーヤー、施主、管理者の”三方良し”を皆目指すところではありますが、なかなか難しいのが現状です。私が聞いた中では東京武道館の現状の床は、剣士(プレーヤー)の方々にはとても好評です。今回も東京都の担当者の方は「東京における剣道の聖地を守り抜く」と力強くおっしゃっておられました。改修後もきっと素晴らしい道場床になると思います。

 

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剣道場床用の原板 杉柾目材、桧柾目材、赤松柾目材について

杉(スギ)赤柾目桧(ヒノキ)柾目赤松(アカマツ)柾目(マサメ)
杉(スギ)赤柾目桧(ヒノキ)柾目赤松(アカマツ)柾目(マサメ)
杉(スギ)赤柾目桧(ヒノキ)柾目赤松(アカマツ)柾目(マサメ)

剣道場の床材についての問い合わせが増えております。
本当は、針葉樹の杉(スギ)赤柾目材、桧(ヒノキ)柾目材、赤松(アカマツ)の柾目材(マサメ)を希望しているけど、業者からは手に入らないと言われることも多いそうです。画像は杉、桧、赤松の柾目原板です。厚みは42mmあります。もちろん18mmや24mmなどに薄く加工する事も可能です。既存の剣道場床材は無垢材だけど、剣道場床改修工事の際には集成材を勧められることも多いようです。なぜそうなるかというと、売る側が簡単だからです。剣士(使用者)側は、今までの経験上、無垢材の方が足捌きがしやすいし、弾力性がある事を知っています。でも、売る側としては寸法安定性が高く、硬くて丈夫で割れにくい集成材の方が売りやすい。それぞれの立場でその木の良し悪しが変わってしまうという事ですね。本当は、剣士にとって最適であるべきだとは思います。しかし、剣士の方もわがままを言ってはいけません。柾目無垢材という足捌きがしやすく、弾力性がある床材で稽古させていただくことは、日々自身の足腰のけが予防になっています。それなのにヒビが入った、ササクレが出た、表面の木目が立ってきた等々… ある程度どれもメンテナンスで防げることです。また、このようなことは設計段階である程度防げるようなことです。どんなに希少で上等な木を使用しても、仕立てが悪ければ良い道場にはなり得ません。料理でも洋服でも同じようなことが言えますよね。逆にそれなりの材料でそれなりの剣道場床を作ることも可能です。歴史ある古い剣道場床の改修等で集成材や合板になる事も多いようですが、その原因がどこにあるのかしっかりとご確認いただければと思います。申し訳ございませんが、剣道の経験が無い設計士に剣道場床を依頼したところでまともな答えが返ってくることはまずないと思います。因みに柾目材が採用されている剣道場床は、京都武徳殿の東西両端の一部、東京武道館第二武道場の一部、天理大学剣道場の一部などです。全国的にも採用数は少ないですが柾目と板目が混ざって採用されている床は比較がしやすいですね。数寄屋は数寄屋。茶室は茶室。能舞台は能舞台。安土は安土。餅は餅屋。ちょっと難しそうなことは専門店に聞いてみるのがよろしいかと思います。