無垢フローリングを検討する際の予算感???③マンションリフォームの場合

いまでも高価な物だと思われがちな無垢フローリングですが、最近では、分譲マンションのリフォームやリノベーションにも使われます。日本のマンションでは無機質なコンクリートの塊りの中に住むことになります。新築時から床には合板フロアー、壁にはビニールクロスとお決まりのパターンがほとんどでした。無垢フローリングがなかなか採用されなかった背景としてはそもそも無垢フローリングが施工できると思っていなかったのではじめから検討材料に入れなかった。少しは、検討したけれどマンションの管理組合規則にある防音性能を満たす無垢フローリングが見つからなかった。

この様な理由から、マンションでの無垢フローリング生活は見送られてきました。でも、無機質なお部屋になりがちなマンションだからこそ壁はしっくい、床は無垢フローリングと少しでも温かみを感じられるような住空間にしたいものです。

最近では、リフォーム、リノベーション雑誌などをみてもどのお宅も無垢フローリングを採用しているといっても過言では無くなりました。リフォームをしようとかな?と思いたった時は、夢が広がりあんな風にしたいこんな風にしてみたいとどんどん調子よく夢を描きます。そして、実際に設計士さんや工務店さんに依頼を持ちかけたころでしょうか、最初の障壁「防音規定」が立ちはだかるのです。

防音規定は、マンションの管理組合で定めている階下住民に対する騒音の配慮のレベルが示されていることが多いです。床衝撃音は、軽量床衝撃音(LL:レベルライト)、重量衝撃音(LH:レベルヘビー)の2種類に分けられています。
軽量衝撃音とは、スプーンやコップを床に落とした時のチャリーンと言った軽い音や、スリッパでパタパタ歩いたときにでる音などです。
重量床衝撃音は飛び跳ねたり走り回ったり重いものを落とした場合にでるドズンッといったよう音を指します。
軽量床衝撃音は、主にスラブ面より上端の構造や床仕上げ材の種類によって音の大小に影響が出ると考えられています。なるべく音の出ない仕上げ材にすれば効果が出ると考えてよいでしょう。
それに対し、重量床衝撃音は、床スラブの厚さや梁の位置が音の大小に影響を与えます。重量衝撃音に関しては、後々の工事で対処する事は難しいと言われています。

現状、マンションの管理規約にL45(LL45)相当の床材を使用する事と記載されていることが多いです。それでは、遮音等級L45の床材を使用すれば階下からのクレームが絶対にでないのか?というとそういう訳でもないのです。
たまにしか聞きませんが、そのたまにが毎度同じようなパターンが多いのです。それは、畳のお部屋をフローリングに変えた場合です。床防音研究者の中で畳は最高の防音材と言われています。畳のお部屋をフローリングに変更した際が階下からのクレームが一番多いとも言われています。
畳は、L値で表記するととんでもなく高い遮音等級になると言われています。厚みは60㎜もあり表面は柔らかく、中身はぎっしり詰まっている。
遮音防音材として最高です。

しかし、基準は基準なので改修前より多少遮音性能が落ちても基準値であるL45相当の性能があれば大丈夫なはずです。工事前にはマンションの管理組合を通して階下の住民にも床仕上げ材を確認してもらって了解を受けましょう。

さて、マンションの床構造には大きくは乾式二重床方式と直貼り方式があります。乾式二重床方式は、床スラブの上に直接カーペットやフローリングを貼るのではなく、間に緩衝材を入れて床板を二重に工法です。直貼り方式は、その名の通り床スラブに直接床板を施工していく工法です。
直貼り方式は、西高東低で関西より西で採用されていることが多いようです。

マンション床構造
乾式二重床で床材をリフォームする際は、意外と簡単にマンション管理規約の防音規定をクリアーできる場合もあります。
乾式二重床の場合、床構造そのもので遮音等級を得ていますので表面の床材が変わってもそれほど影響を受けないと考えられます。単純に現況床材から無垢フローリングに貼り換えたり、重ね貼りしたりが可能です。
但し、現況の乾式二重床が管理規約の遮音等級をクリアーしている事は必須となるため現況の乾式二重床の品番を確認してそれを証明しなくてはいけません。証明方法としては、管理事務所に行って竣工図面から探してみたり、マンション新築時のパンフレットの載っている床構造で証明したりでしょうか。
どういう訳か、乾式二重床でも遮音等級を持った床材を使用する様に取り決めのある管理組合もございますのでよくよく管理規約をお確かめ下さい。
現況の二重床がそのまま使用できるようでしたらぜひ無垢フローリング一覧からお気に入りの無垢フローリングを探してみてください。
直貼り方式の場合は、床スラブに貼ってある現況のカーペットやフロアーを剥がし、そこに管理規約に沿った遮音等級を持った床材を貼り付けていく事になります。

少し前までは、遮音等級を持つ合板フロアーの上に無垢フローリングを貼るという荒業で無垢フローリングを施工されていた業者もいましたが、下地がブカブカするのでかなりの床鳴りなどの不具合が出ていたようです。

最近では、マンション用無垢フローリング防音マット木魂防音無垢フローリングなど、直貼り工法専用の部材が販売されています。
特に木魂防音無垢フローリングは、直接床スラブに貼り付けますので遮音防音マット類とは違い配送費、労務費、作業時間の削減が期待できます。直貼り工法でご検討いただく場合は、ぜひ木魂防音無垢フローリングの中からご検討ください。ここまでで工法による違いでそもそも選ぶ無垢フローリングが変わってくることをご理解いただけたかと思います。

そうしたらどうやって無垢フローリングを選んでいけばよいのでしょうか?
防音規定を気にしすぎて少しでも柔らかい方が良いのだろうか?
今、流行っている無垢フローリングはどれなんだろう?
とかは考えないでください。
一番大切にするべきは 自分の好み です。
当たり前のように感じられる方もいらっしゃると思いますが住宅計画をしているうちにブレちゃう事もしばしばあったりするのです。設計士やインテリアコーディネーターと違い、業界外の方なら住宅計画は人生でほんの数回しかないかと思います。それも、忙しい日々を過ごしながらの計画なのでなかなか難しい。そこで、本や雑誌やWebなどいろいろと見て回ると… 目が回ります(@_@)当社の無垢フローリングショールームにご来場いただくお施主様の中には映画のワンシーンを印刷して”こんな感じにしたい”という方もいらっしゃいます。
しかし、雑誌の表紙などに出てくる新進気鋭なデザイナーの奇抜で住みにくそうな住宅にも目が行ってしまうものです。雑誌も少しでも目をひこうとデザイナーを煽ります。それに流されても当然と言えば当然かもしれません。そういう時代の流れなんですし。最終的に写真写りが良い住宅よりもお施主様は自身が快適に過ごせる住空間を求める訳です。
この様な住宅計画漂流みたいにならないように最初に自分の好みをある程度ひかえておいた方が良いかもしれません。
文章でもラフ図でも走り書きでも良いと思いますよ。絶対に迷っちゃいますから。

では、本題。
マンション間取り
こちらのマンションに直貼りの木魂防音無垢フローリングを採用するとします。
和室はそのままで洋室①②とLDKの変更です。
最近、流行っている表面に2mmほどの挽き板を採用した合板遮音フロアーを例に価格差を見ていこうと思います。
※いくら厚い挽板を使用しても表面塗装が造膜型の硬い塗料なら足裏が直接触れるのは固い塗料なるので挽き板の厚い薄いはほとんど関係無い様な気もしますが…

挽き板フロアーにもチェリー、ウォルナット、チーク、オークなどがあります。
今回は、一番スタンダードなオークで計算してみましょう。
オーク挽き板フローリング LL45対応品
サイズ:145×13.7×909mm
実売㎡価格:18,000円(税別)
施工面積はおおよそ以下(ロス10%含む)になります。
洋室①:11㎡
洋室②:10㎡
LDK:28㎡
廊下:5㎡
合計:54㎡
全て挽き板フロアーにした場合:972,000円(税別)
ん?  合板フロアーなのにあまり安く感じない。
と思った方は大正解!
挽き板フロアーや突き板フロアーは、表面材を薄くスライスする為になるべく節や割れや入り皮などの欠点を省かざるをえないのです。
丸太で一番綺麗な箇所。マグロで言うと大トロの部分でしか生産できないのです。材料が高くなってしまうので、商品も高くなっちゃいます。
では、木魂防音無垢フローリングで上記品と近似商品はというとLLEO-52:イングリッシュオークが近いと思います。

LLEO-52:イングリッシュオーク
サイズ:1820x150x26mm
㎡価格:17,410円(税別)

全て木魂防音無垢フローリングLLEO-52にした場合:940,140円(税別)
あれあれ?挽き板合板フロアーよりも無垢フローリングの方が安くつきそうです。もし、節が有っても良いのですとなると以下品番になります。

品番:LLEO-53
サイズ:1820x150x26mm
㎡価格:14,075円(税別)

全て木魂防音無垢フローリングLLEO-53にした場合:760,050円(税別)
さらに、洋室①②の床はベッドで隠れちゃいますし無垢なら何でもでいいですとなれば香りが良く明るい阿波桧にしてみましょう。

品番:LLAH-37になります。
サイズ:910x108x26mm
㎡価格:9,760円
洋室①:11㎡→LLAH-37
洋室②:10㎡→LLAH-37
LDK:28㎡→LLEO-53
廊下:5㎡→LLEO-53
上記で計算すると合計:669,435円(税別)
1㎡あたり12,397円(税別)となりました。

絶対に無垢のフローリングが高価であると言うようなことはありません。予算を掛けるべきところとそうでないところを分けて考えるのも一つの手段です。一戸建て住宅でも1階と2階で床材を変えられることも多いです。
また、高価な住宅になればなるほどこの傾向にあります。木の価格は希少価値によるところが多いからです。
クロマグロとメバチ。マグロの大トロ。サクとタタキ。よく似てます。
時間があればなるだけ一戸建てを計画されている方は、無垢フローリングを検討する際の予算感???②一戸建編もどうぞご参考になさってください。